脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

とりあえず4番に気持ち良くサッカーをさせろ

2008年03月31日 | 脚で語るJリーグ
 強い浦和が戻ってきた?

 答えは限りなくノーに近いだろう。日曜に行われた新潟戦で久々に3-0と快勝した浦和だが、この試合は少し新潟が不甲斐無さ過ぎた。闘莉王を初めてボランチで起用し、今季長谷部の抜けた“悩みの種”をこの超攻撃的DFで埋めることにとりあえずは光明を見出したようだ。特に後半開始直後の闘莉王の得点は目の覚めるような連携とパワフルなシュートでのフィニッシュでもあったし、形としては誰もが理想的な、そしてこれまでの浦和に見られなかった“化学反応”を垣間見たと言っても良いだろう。
 しかし、前述したようにこの日の新潟は悪過ぎた。これで浦和の強さが戻ったと言い切るには時期尚早と言うべきだろう。

 新潟は、中盤のプレスがほとんど機能せず、再三闘莉王の攻撃参加を許すどころか、永井や相馬にも非常に彼らの個性を発揮させるルーズなサッカーをしてしまった。中盤まで下がってボールを奪い、そのままドリブルで突破する永井の独壇場と言うべきシーンが何度も見られた。新外国人のダヴィとアレッサンドロはチームへのフィット感に乏しく、矢野と2トップを組んだアレッサンドロはこの日シュートゼロに終わっている。後半途中に投入された田中や河原といった若手は気を吐いたが、どうもこのチームが浦和とここで当たったことは、復調の目指す浦和にとってもラッキーだったようだ。

 3-0と理想的な勝利の裏には新たな問題も噴出した。後半23分に梅崎と交代することになったエジミウソンは明らかにその不満をピッチから去る際にぶちまける。案の定、今日付けのスポーツ紙は一斉に再び着火した造反劇に焦点を当てた。ケガで戦線離脱の高原も含め、今季浦和の補強には単純にビッグネームで攻撃の駒を揃えることとなったが、これだけコンスタントに結果が出ず、既存戦力とのフィット感に乏しい彼らとチームの“対話”が出来ていない証拠を露出したようなものだ。藤口社長は「FWなら当たり前」と強硬的にエジミウソンを揶揄したが、これでエジミウソン本人が自主退団なんかを申し込んだ日には、何のための補強だったのかさっぱり分からない。エンゲルス監督は選手に対する精神面の掌握力にも長けた人物ではあるが、監督本人もこれだけ豪華な素材を用意されたにも関わらず、どうそれを調理していくべきかその手腕を問われる渦中にいる。試行錯誤はまだ続きそうだ。

 とりあえず最低限の目標であった今季初勝利を達成した浦和ではあるが、今後どういったサッカーで落ち着いていくのかは非常に注目の的。前監督のオジェックが開き直って吐き捨てた「フィットまで6週間かかる」というコメントはあながちウソではなかったようだ。雨の影響もあったか新潟戦の観客は46,962人。しかしそれが決して雨だけの影響では無かったというのはクラブ側が一番良く分かっているはず。選手との“対話”と“調和”が最もこのクラブには欠けている。とにかく今はその実力を発揮させる新天地を見つけた4番に気持ち良くサッカーをさせながら、高原、エジミウソンを飼殺しにしない方法を見つけるのがベストだと思うが。


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