脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

岐阜が勝った時だけバカになります ~C大阪 VS FC岐阜~

2008年03月29日 | 脚で語るJリーグ
 
 こいつは笑った。冒頭のタイトルはFC岐阜サポがゴール裏で掲げていたゲーフラより引用した文句だが、果たしてこの日岐阜サポは皆バカになってしまうのか?なんて今季初めてのJ2観戦となった長居スタジアムで一人考えてしまった。彼らにとっては“世界のナベアツ”ならぬ“世界のFC岐阜”とも言うべき、誇り高きおらがクラブのJ参戦。個人的にも早々にこの目でFC岐阜はチェックしておきたかった。

 今日気付いたことだが、奇しくもちょうど8ヶ月前の7/29に京都は太陽が丘で佐川印刷とのゲームを行ったJFL時代のFC岐阜を観ている。観戦ノートで当時のメンバーと比較しながらこの日のゲームを観ることができた。

 持論は覆されれば覆されるほど、更なる探究心をくすぐられる。個人的にも昨年の甘いJ昇格のレギュレーションはJFL4位に滑り込んだFC岐阜をJ昇格に導くことになったが、熊本も同じくまだJのレベルには厳しいという見方が筆者の持論ではあった。特に昨季、前述した佐川印刷戦ではスコアレスドロー。昨季は正直これまでの地域リーグとは違うレベルの高さを痛感しながらも根性の4位でフィニッシュを遂げた訳で、そのトントン拍子にここまでの階段を駆け上がってきた岐阜にとっては、忍耐のシーズンとなる2008年だと思っていた。
 しかし、開幕戦の甲府戦は1-1の引き分けで今シーズンのスタートを切ると、続く仙台戦は惜敗したものの、続く山形戦では大量5得点と爆発。そして前節徳島戦では2-1で勝利し、2連勝を飾るなど非常に上出来な出だしを見せている。8ヶ月前とどれだけチームが変わったのかこの目でじっくり観ることができた。

 テレビ観戦した開幕戦も含め、今季の岐阜の特徴としてはやはりその闘志溢れるプレーが印象に残る。“失うものは何もない”と言わんばかりのストイックなサッカーがこの日も時折のカウンター発動時や、中盤での守備に垣間見えた。特に地元出身でかつて西濃運輸(現在は廃部)でプレーしていたMF梅田高志の加入は中盤にこれまでに無かった“動き”をもたらしている。豊富な運動量で攻守に顔を出すこのキーマンが岐阜のサッカーのタクトを振るい続けていた。そして、左の高木和正と前線の片桐。コンビネーションはJFL時代から熟成されているホットライン。このあたりが噛み合った際の攻撃の面白さは度々C大阪を圧倒していた。後半は片桐が一列下がることによって、裏のスペースを狙ったボールが良く出ていた。ポゼッションは前半からC大阪が優位に立っていたが、そのミスをしっかり突いての岐阜の速攻は梅田が起点となって、サポーターをバカへと導くかに思われた。

 ただ、当然のことながら試合巧者としてはJリーグではるかに“先輩”となるC大阪に分があった。チェンジ・オブ・ペースで落ち着きの試合運び。突出したテクニックと広い視野も持つ左の香川、駆け引きに秀でたジェルマーノ、そしてこの日は柳沢と酒本という右のコンビが良い動きを見せる。12分に右サイドのスローインから酒本がそのまま突破。岐阜の最終ラインを駆け抜けては落ち着いてゴールへと流し込む。後半に入るとバタつく一面も窺わせたが、自身のエゴがシュートレンジを再三遠ざける形となったカレカに代え、DF江添を投入して守備重視の戦い方に早々切り替えるなど采配の妙も光った感じだ。しかし、そこまで岐阜はよく粘ったとも言えるだろう。
 つまり、終始岐阜にも試合をひっくり返すチャンスは多くあった。決定力の差が出たか。やはり、J1も経験しているC大阪のDF陣を崩すのは難しかった。ここ2試合で3得点と結果を出しているFW片山も再三の決定機をモノにできなかった。最終ラインではベテラン小峰のファイトある守備を中心に、右サイドの吉村などは香川のテクニックある突破を良く防いでいた。チームとしての手応えは掴んだとも言える善戦を繰り広げたのではないだろうか。

 試合終了のホイッスルと共にグッタリとピッチに倒れ伏した小峰の姿が印象的だったが、ちょうど8ヶ月前の彼らと比べて遙かにレベルアップした印象は受けた。持論の撤回を余儀なくされる岐阜の快進撃もこれから見ることができるかもしれない。そう、彼らは充分戦えるのだ。
 残念ながら今日はバカになる岐阜サポを見ることはできなかった。今後彼らが激しくバカになる試合を是非見届けられたらなと思う。

 それはそうと、土曜の長居で5,610人はマズいよね・・・C大阪さんよ・・・