脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

U-20W杯 日本惜敗

2007年07月13日 | 脚で語る日本代表


 PK戦にもつれ込む激戦の末、チェコに敗れたU-20代表。結果的には2年前と同じベスト16止まりでこの世界大会から姿を消すことになった。

 彼らはこの試合に勝つべきだった。しかしながら2度にわたるPK献上とPK戦のミスが響いた。内容的には苦言を呈する所を最小限に抑え「善戦」したと捉えるべきだろうか。後半中盤まで欧州相手に2-0で試合を運んだ。それでもこの僅差の敗北は悔しさ余りあるところだ。
 日本はこれまで左足を痛めていた柏木がようやく「らしさ」を取り戻した矢先の敗北だった。青山隼も非常にいい動きをしていたし、延長後半より投入された香川もチャンスメイクに絡んだ。退場によって1人少なくなった相手から勝ち越し点を奪えなかったのが悔やまれるところで、PK戦は極力避けたかったが、これも真剣勝負の無情さ。必ずこの経験は彼らの今後に生かされるだろう。今回のU-20代表は所属チームでもトップで活躍している選手が多い。このまま五輪代表やA代表へのステップアップには十分繋がるはずだ。

 チェコ戦に勝利すれば、次戦はスペインとブラジルの勝者であったわけだが、この試合はスペインが延長戦の2得点でブラジルの息の根を止めた。ブラジルも注目のアレシャンドレ・パトは活躍したが、チーム自体の調子が上がらず、今大会の戦いぶりを象徴する敗北となった形である。南米選手権でA代表は決勝へと進んだが対極的にU-20チームはベスト16で世界の舞台から姿を消すことになった。1次リーグで首位を走れば、決勝トーナメント初戦でウルグアイと対戦する組み合わせになったものの、それ以外では2位に着けたとしても決勝トーナメントの1戦目からブラジルVSアルゼンチンの黄金カードが実現していた。ブラジルにとってはどの道険しい道のりだったのかもしれないが、1次リーグの低調さが必然的に早期敗退を招く原因だったと考えてもいいだろう。

 アジア勢では唯一決勝トーナメントに残った日本。2年前は2分1敗でかろうじて決勝トーナメントに進み、モロッコに敗れた。その時に比べれば1次リーグからの堂々とした戦いぶりを評価されるべきであるし、彼らは大きなエネルギーを感じさせるメンバーであった。ベスト8までは最低でも進みたいラインだったが、「惨敗」と称される負け方ではない。下を向かず堂々と帰国してきてもらいたい。センセーショナルを巻き起こした彼らが再びJの舞台で活躍してくれることを祈る。

 ちなみにこの大会、役者の揃うメキシコとアルゼンチン両雄が順当に進めばベスト8で潰し合うことになる。この大会一番のハイライトになる可能性が高い。前回大会はアルゼンチンの優勝、その中心的な選手となったメッシの大会となった。今回もまたアルゼンチンの優勝は濃厚。07年大会はアグエロの大会になると見ていいかもしれない。

北の地へ送るエール

2007年07月12日 | 脚で語るJリーグ


 その日程の濃密さから容赦なく水曜開催が繰り返されるJ2。思えば日付変わった今日7/12時点で既に25試合を消化している。攻守に盤石の安定感を見せる札幌が変わりなく首位を独走し、建て直してきた京都がそれを追う展開。3位仙台から6位湘南までは勝ち点差がわずか5ポイントであるから、まだ予断は許されない。

 日曜によくスカパーでもJ2をじっくり観てしまうことが多い。やはり国内主義の血が疼くのか、今季はこっそりC大阪のゲームも何度か足を運んでいる。(結果的には愛媛や湘南といったアウェイチームの虜になるのだが)
 現在やはり注目したいのは京都が徐々に挽回している点。現在ではJでも屈指のエレベーターチームになってしまったが、J2のカテゴリーになると毎回昇格候補に挙げられる現有戦力は持っている。特に今季は、序盤でこそ苦戦を強いられていたが、その後は大幅に成績を落とす様子も無く美濃部体制を貫く構えだ。今季からチームに加わった徳重とケガから復帰した倉貫の存在が際立っている。DFラインもチアゴが戦列に復帰してからは非常に安定感を増した印象だ。そして今年は毎年のように影の薄かった日本人エースの田原が気を吐き、パウリーニョとの2トップが好調。このまま調子を落とさなければ、十分に昇格は狙える安定感だと思う。しかし、だからといって今の戦力がJ1で通用するわけではない。チームをひっくり返すぐらいの大補強策は必須になるだろう。

 首位を走る札幌は本当に大崩れしない。DFの要である曽田が6得点を挙げているのをはじめ、ダヴィが8得点、西谷が7得点とどのポジションもゴールゲッターが存在する。Jリーグ創生期からの選手であるMF大塚とDF西沢の二人も若いチームを支えている。突出した選手こそいないが、この安定感は柳下監督時代に築かれたベースメントを三浦監督がよく完成している証拠であるといえよう。守備的ながらも勝ち切れるサッカーは、昨年の横浜FCが今季J1で苦戦していることを考えて見れば、早くJ1で通用するか見てみたいものである。

 札幌の選手で個人的に応援する選手がいる。それはDFとしてチーム最多の25試合に出場し、左SBとCBとして活躍する西嶋弘之だ。

 柳下監督時代にトップに定着し、今季三浦監督の下ではDFラインのマルチロールプレイヤーとして、全幅の信頼を置かれている。広島から神戸を経由し、トライアウトも経験してようやく安息の地へと辿り着いた。彼は元来は中盤の選手で、時としては前線もこなすFWでもあった。
 彼とは奈良の中学時代によく試合でマッチアップした。当時から上背があり、ボールタッチも柔軟だった。10番がよく似合う選手だった。将来Jリーガーになるほどまでの突出した選手ではなかったが、彼の努力が人生を変えていったのだろう。県内屈指の名門である奈良育英高を経て、Jリーグ入りを果たした。やはり同郷からのJリーガーとして純粋にエールを送ってしまう。その彼が決して目立たぬ存在ながらも札幌の好調さを支える原動力として今、選手としての絶頂期にあるのはその出場数を見れば明らか。広島と神戸で全く出場機会に恵まれなかったのを知っているからこそ、彼についついエールを送ってしまう。そんな彼を来季J1の舞台で、敵チームとして対峙できるのを楽しみにしている。昨年、天皇杯にてそのチャンスは訪れたが、やはり彼自身の活躍で札幌を昇格に導いて欲しい。そしてJ1の舞台でガチンコでやろうじゃないか。
 
 まだ、シーズンは長い。J2も折り返したところである。前述の京都やそれ以外のチームも順位をひっくり返してくることはまだまだあり得るだろう。混戦になればなるほどそのチームの真価は問われる。今後も西嶋に注目しながら札幌がJ1に昇格してくるのを見守ろうではないか。

※(冒頭の写真は西谷選手です)

苦しむ兄貴たち

2007年07月11日 | 脚で語る日本代表


 U-20代表とアジア杯を戦う日本代表の対極的なコントラストが目に付く。2勝1分けと負けなしで決勝トーナメントに進んだ前者と初戦を後味の悪いドローゲームにて終えた後者。その雰囲気や試合内容を見ても、両チームは実に対照的だ。
 片や「調子のりJAPAN」と評され、吉田監督の存在感が霞むほど選手たちがイキイキしているU-20代表は、もしかすると99年ワールドユース以来の好成績を収めてくれるのかもしれない。チェコ戦に勝てば次戦はブラジルかスペイン。相手に不足はない。何よりも今の雰囲気そのままに力まず自然体に試合に臨めば、良い結果は生まれるだろう。是非とも決勝でアルゼンチンやメキシコあたりとぶつかってほしいものだ。

 一方、カナダから遠く離れた南国の地で、兄貴分のA代表は苦しんでいる。初戦のカタール戦で勝ち点3を落とした。激高したオシム監督が取り乱し、初戦で不甲斐無い戦いぶりを見せた選手たちをこれでもかと批判している。これまでにない異例の雰囲気がチームに漂っている。長年アジアで盤石の勝利を積み重ねてきた日本の姿はそこにはない。
 次戦のUAE戦がターニングポイントになることは明らかである。協会の小野技術委員長はあくまで2010年をオシム体制で見据えたビジョンを否定しないが、UAE戦で敗北を喫し、早々と予選リーグから敗退ということになれば、メディアや世論が責任問題を追及する前にオシム自身が引責辞任をしかねない。それぐらいにセルビアの老将は精神的に追い込まれているはずである。
 何しろ、これだけ準備期間が短く、その上結果も出せないのであれば、ただの寄せ集めチームと言われても仕方がない。スタミナ不足とフィニッシュの精度に決定的な致命傷を持つ選手に憤りを感じるオシムが、どうチームを建て直すのか注目したいところだ。

 個人的には、このアジア杯で日本代表に溜まった膿が全て出ればいいと思っている。
適材適所で本当の人選ができているか?
協会のマッチメイクはその意義が明確か?
真理を問えば、今の日本は結果を追求できるチームか否かということもである。確かにコンフェデ杯を考えれば、是非ともアジアは制したいところだ。しかしそれらを全て見越した準備のプロセスを辿れたかどうかが疑わしくなるようでは、これまでの1年間が意味を成さない。オシムジャパンが何を残せたか、その明確な答えを誰もが求めている。
 這いずってでも優勝する義務が日本にはあると思っているが、もしそれができなかった場合、これまでをリセットする勇気も必要になるだろう。アジアを獲れなかった事実を噛み締めてチームを再建するのもまた正解かもしれない。
 
 日本は勝てるチームではなくなった。カタール戦を見る限り、これから今まで以上にオシムジャパンが追い求めなければいけないものが大きく、そして困難を伴うことは明らかになった。この7月、最後にドラマは待っているのか。遠く離れた北米で戦う将来のA代表の卵たちにそのメイクドラマを見せつけてやれば、彼ら以上にA代表も調子に乗れるはずなのだが・・・

三度のメシよりサッカーギア

2007年07月10日 | 脚で語るサッカーギア


 アジア杯もU-20W杯も真っただ中ではあるが、それはさておき、勝手気ままに一人で盛り上がるとする。

 浦和戦の翌日、大阪へと戻ってきてそのまま、サッカーショップKAMOでサッカーギアを物色していた。梅田店は素晴らしいJリーグユニの品揃えであるが、インテルの07-08シーズンのアウェイユニが10月まで発売がずれ込むのではというショッキングな情報を聞いてしまった。リヨンのマルダもチェルシーに行ってしまうし、何ということだ。

 2階のスパイクコーナーも久々にチェック。初代モレリアの復刻をはじめ、やはりミズノのお膝元大阪、ミズノが充実していると改めて実感。やはりモレリアウェーブの白×青ラインは渋い。
 PUMAの0255のネイビーも玄人好みの大きめのベロがカッコいい。KAMOはGCIソールを移植したオリジナルの0255をリリースしているが、展示品はなぜか赤ラインにソールが青・・・この色のチョイスを誰が買うんだろうか。それにしてもKAMOオリジナルは毎回よくできている、などと感心していた。

 これまで、あまりマジマジと実物を手にとっていなかったのが、NIKEのエアトータル90レーザーであった。奇抜な色使いとNIKEらしい先進的なデザイン。個人的に当たり外れ、及び好き嫌いは分かれるが、毎回NIKEのデザインは楽しみにしてしまう。
 トータル90シリーズはサプレマシーがイマイチだったが、今回のレーザーは見慣れると悪くない。特にトータル90Ⅲのラインアップから発売されているカンガルーレザーバージョンが非常に秀逸だ。やはりどれだけ人工皮革の技術が伸びても天然皮革には敵わない。そういった色だけでなく皮革の好みすらフォローするNIKEのラインアップには感心してしまう。

 でも個人的には、やっぱりインジェクターJAPANかなぁ・・・

ゲームプランの質

2007年07月09日 | 脚で語るJリーグ


 浦和と対峙したナビスコ杯準々決勝第1戦。乗るはずだった飛行機が滑走路に出てからのフライトキャンセルで、仕事の都合でギリギリの到着となった5月のリーグ戦と同じく開始10分前程に埼スタに到着。自分自身にとっていきなりの波乱のスタート。ゲームでも何かが起こると予感めいたものがあった。

 ガンバの3-6-1という布陣が試合後に西野監督のコメントにあった「プラン通り」の戦いを序盤からできたのか微妙なところであるが、確かに試合開始からいつもの連動したプレッシングが影を潜め、攻守の切り替えでリズムのつまづく場面が多々あったのは否めない。むしろこの布陣でいつものガンバのパスサッカーを遂行するのが無理な話ではあるのだが。とにかく、個人的には5バック気味ながらも両アウトサイドに配置された入江と青木の縦への推進力を一つのキーポイントに掲げ、「打倒浦和」に向けて90分間声を張り上げた。

 浦和は試合前の予想に反し、小野とポンテが先発出場。やはりこの二人のホットラインは浦和の攻撃の象徴であり、このホットラインを自由にさせればワシントン不在も問題にならないだろうと思わせる二人の巧者ぶりにガンバは守備の時間を費やされる。前半12分には内舘のシュートが小野に当たりゴールネットを揺らすことに。先制され追う展開か。ここまではある程度予想できたことであった。問題はここからの試合運び=「ゲームプラン」だった。

 アジア杯と播戸、バレーのケガにより主力を多く欠くこのエクスキューズな布陣でガンバが1点のビハインドをどう追いかけるか。今季なかなか見れない展開であったが、浦和の運動量が減ってくるのを境にガンバのパスもそれなりに繋がってくる。失点をこれ以上重ねなければ、後半幾らでも点を取るチャンスは来ると信じれてしまうのが今季のガンバ。そしてこれがガンバのゲームプラン。徐々に相手のミスからボールを動かし、相手の集中力を削ぐ攻撃の姿勢を継続する。ここからの「ゲームプランの質」が追い付くかこのまま負けるかを分けることとなる。前半のマグノのPK失敗は明らかにイージーなミスだったが、この日のために必然的に抜擢されたルーキーの倉田を中心に前への姿勢を何とか90分間示せていたのではないだろうか。
 青木には及第点を与えることはできないが、入江がよく奮闘していた。特に後半、あまり日頃見受けられないスペースへの飛び出しからダイレクトのクロスをよく放り込めていた。精度は別として。入江の突破はそのきっかけとなる二川のプレースペースが随分自由になってきたことにも起因するが、あとは前線が、もしくは二川あたりがシュートを叩き込んでくればという展開だった。
 
 確かに流れの中での得点は難しい陣容であったのは確か。結果的に終了間際に山口が二川のCKを合わせ同点弾を突き刺すが、これもこの日のゲームプランからすれば、必然的な流れであったのかもしれない。このセットプレーもガンバのサッカーにおいて立派なゲームプランの1ピース。守り切ればという浦和の集中力をじわじわ削いだ結果の集大成であったと評価すべきだ。
 ただ、勝てた試合でもあった。しかし負けなかったことがカップ戦特有のルールを考慮すれば大きい。評価の集まった倉田に関してもまだまだこんなものではない。もっとやってくれるはずだ。とにもかくにもワシントンが帰還する浦和を万博で零封することが必須課題となった今、守備意識を最優先にして堅守速攻を徹底的に遂行していきたい。そしてバレーの復帰が間に合えば、この浦和戦でも物足りなかった前線へのビルドアップから組み立てることも可能になる。

 苦言を呈するならば、横谷までもがデビューしたこの試合を遠征メンバーに加わることなく見届けたサブ組の選手たちよ、西野のメッセージが伝わったなら這い上がってこい。もっと気持ちを見せて欲しい。ガンバでサッカーがやりたいのなら。

ストーブリーグ真っただ中!

2007年07月06日 | 脚で語る欧州・海外


 欧州のストーブリーグから目が離せない時期だ。つい先日もF.トーレスがリバプールへの移籍を決め、7年に渡るA.マドリーでの選手生活に別れを告げた。かつて2部に低迷したチームを救ったのは間違いなく彼の功績。「バルサキラー」の異名はこれからチャンピオンズリーグでしか呼ばれることがなくなるのは寂しい限りだが、アラゴネスの寵愛を受け、スペイン代表でも不動の地位を築く若きストライカーの更なる進化に期待したいところだ。

 個人的に盛り上がる欧州ストーブリーグを勝手気ままに振り返りああだこうだ語ろうと思う。

 来季へ向けての補強策を早くからスロットル全開で駆け抜けているのが、バイエルンだ。現有戦力の限界を感じさせる戦いぶりはかつての常勝軍団の面影もなく、CL出場権を失う4位に低迷。ポドルスキやシュバインシュタイガーらが期待外れに終わり、ファンボメルが独り気を吐いたが、ブレーメンとの勝ち点差6は予想以上に大きかった。そのバイエルンはこのオフに並々ならぬ決意で補強に余念がない。
 まずはトニをヴィオラから獲得。ロッテルダムへと戻るマカーイの後釜以上に大きな補強をこなしたと言えるだろう。そして、マルセイユからはジズーの後継者と名高いリベリを獲得した。この2人の補強はハーグリーブス、カリミらを出した来季のバイエルンの大きな柱となるはずだ。
 昨季のバラックとゼ・ロベルトの放出とこれまでケチケチとその豊満な貯えを吐き出すことの無かったバイエルンは一気にストーブリーグの主役に躍り出る。ブレーメンからクローゼを獲得し、その前線の陣容を盤石なものとする。そもそもクローゼもW杯の活躍を自身のプレーにフィードバックさせることができず、今季は苦しんでいた。ピサロ、マカーイが抜けたFW陣はこれで一気にリフレッシュされることとなった。
 これだけでなくバイエルンはゼ・ロベルトの復帰と今季は2部へまっしぐらの低迷ぶりを晒したボルシアMGからヤンゼンをも獲得、アルティントップやドス・サントスなど国内からも積極的に補強し、来季の復権へ向けて早くから余念がない。

 さて、個人的にもう一つ注目するのは本家本元「レッズ」ことリバプールだ。今季はプレミアシップ3位、CL準優勝とまた勝者の当て馬になってしまった感の否めないリバプールだったが、今オフの動向はかなり本気だ。
 今季は序盤から中盤の組み合わせが流動的で、全くメンバー固定ができなかったという致命傷がシーズン通してレッズの牙を削いでしまった。それと同時に単独で局面を打開できるFWの不在が響き、チーム得点王のカイトでさえわずか12得点とまだまだできるのではという不完全燃焼ぶり。キャラガーやリーセ、アッガーらDF陣が目立ってしまうシーズンでもあった。
 そこに救いの手を差し伸べたのは2月より新たにオーナーとなったジョージ・ジレットとトム・ヒックスという2人の米国企業家である。この両氏はベニテス監督に惜しみない補強予算を約束。遂に世界の移籍市場の第一線にリバプールが参戦することになった。現に今日現在だけでも冒頭のF・トーレスをはじめ8名の新加入選手が決定している。まだまだ即戦力の選手はブラジルU-20代表のルーカスやレバークーゼンより補強したヴォロニンぐらいで少ないが、F・トーレスの獲得を火種にこれからエンジン全開になってくるであろう。
 そのリバプールの来季に向けた目玉が、今季リーグ・アンで最優秀選手を獲得したリヨンのマルダである。今日7/5時点での情報では、リヨンがチェルシーからのオファーを真剣に検討するという情報が入っているが、このマルダがリバプールに加われば不安定だった中盤もL・ガルシアの後釜にマルダ、中盤はマスケラーノとルーカス。右サイドのジェラードを固定できるといったリバプール再生の1ページが間違いなく開かれるのであろうが・・・
 とにかくマルダの去就とリバプールの更なる動向に目が離せない数日間となりそうだ。

 それと、以前も書いたが、インテルが獲得に乗り出していたローマのキヴの獲得レースから脱落。キヴはレアルかバルサか?アンリに次ぐ今季最大の注目選手である。

 本当に欧州のストーブリーグは毎年の如く盛り上がる。日本では考えにくいビッグネームの移籍が日常茶飯事だ。この活発な移籍市場は企業努力の側面でも是非日本は見習うべき。セルジオ越後氏が某雑誌でそう言ってたでしょ?

 

イビチャよ、優勝は最低条件

2007年07月05日 | 脚で語る日本代表


 アジア杯のため、日本代表がベトナムへと降り立った。昨日のスポニチにて走り込めていないスタミナ不足の選手たちに「最悪の場合、ベトナムにも負けるかもしれない。」とネガティブな発言をしていたのは、ご存じイビチャ・オシム監督。

 メディア牽制、チームに発破をかけるのもあっただろうが、この発言はいささかいただけないものだ。本気で言っているわけではないだろうし、オシムなりの言い回しではあると思うが、もし、本気でそんなことを言っているならばさっさと荷物をまとめて、アマルと故郷に帰ったほうがいい。自分自身今回のアジア杯で日本が優勝できる可能性は、オーストラリアの出現で幾分か脅かされているのも正直なところであると思う。
 オーストラリアは初のアジア杯だが、チームを率いるアーノルド監督(Jマニアにとっては広島時代が懐かしい!)の前評判は思わしくなく、正直まだヒディンクのサッカーをぶら下げたままの陣容である。しかし、ビドゥカが復帰し、キューウェルら欧州で活躍するその個々の経験値は日本を上回るものであるというのは認めざるを得ない。このオーストラリアがいる以上、これまでのアジア杯と同じではない。

 個人的には今回の日本代表には強烈に勝てるイメージを浮かべられない。まだ国際大会でのガチンコ勝負がなく、ジーコジャパンからのシフト段階であったからであろうが、かつて意気揚々とアジア最強と自負して臨んだ96年のアジア杯で、加茂ジャパンが準決勝にてクウェートに完敗したのは強烈に印象に残っている。あの時のデジャヴが日本を襲う可能性は十分にあるだろう。
 ほんの1年前のオーストラリアに惨敗を喫したあの日を払拭するためにも、アジア杯を機に日本代表は一つリセットボタンを押すべき。執拗に結果を求めるチームにシフトするべきだ。誰もが分かっているはず、もう調整段階は終わりだ。

 イビチャよ、優勝が最低条件であることは日本のサッカーファン全員の暗黙の了解なのだ。

絶対に負けられない7月

2007年07月04日 | 脚で語るJリーグ


 アジア杯を目前に控え、ほぼ同時期にナビスコ杯の準々決勝も7/7(土)に第1戦が行われる。正直申し上げて、個人的にはアジア杯よりもナビスコ杯だ。今季3度目の対戦になる相手は浦和。つくづくこの赤いヤツらとは因縁の巡り合わせが作用するものである。神のイタズラか、はたまた必然か。
 
 ポイントは、第1戦の舞台が埼スタであるということ。我々青と黒の戦士たちは、この半ば宗教がかった雰囲気の赤いヤツらにとっての聖地で勝利をもぎ取らなければならない。いまだこの埼スタで勝てていないことが浦和の上を目指す意味でも重要である。リーグ、カップ戦の分け隔ては一切ない。昨年の12月2日を思い起こせば皆の気持ちは一つのはずだ。代表組が抜けたなんてことは一切言い訳にできない崇高な誇りをかけた日本屈指の好カードが2週に渡って繰り広げられる。

 代表組が抜けた双方の戦い方に関心が集まるのは必然的なことではある。U-20W杯に参加している安田とケガで離脱中のバレーも含め主力6人が抜けたガンバは、日頃バックアッパーである選手たちの奮起を信じるしかないのだが、今季の練習などを見ていても、公式戦で未だ出番の無い倉田が橋本の穴を埋める計算は立つ。遠藤の穴も寺田と家長もしくは二川のシフトで充分である。焦点は両SBになってくるであろう。右SBは今季加地不在時に無難にその役回りをこなした青木、そして左SBには入江もしくは山口を左に回して、中央に中澤を投入することが考えられるだろう。

 何よりも重要になってくるのは、日頃バックアッパーに甘んじる彼らがどれだけ勝利の執念を持ちあわせているかというところだ。浦和には勝たなければならない。組み合わせの妙にも左右されるが、ナビスコ杯での浦和戦の前回の勝利はなんと94年まで遡らけなければならない。これまでナビスコでは浦和と6度対峙し、1勝しか挙げれていない。
 特に2002年の10月2日にはホーム万博にて準決勝で浦和と対戦。2-2のまま延長戦と持ち込むも、エメルソンにハットトリックを許すVゴールに沈み、初の決勝進出を目前で逃している。その前年には2回戦のホーム&アウェイ2連戦で1度も勝てず、早々に敗退する辛酸を舐めさせられた。思えばその年から浦和との因縁は始まっていたのかもしれない。

 とにかく是が非でも勝たねばならないターニングポイントである。一昨年の国立で悔しい思いをしたサポは全員がナビスコ杯を意識しているはずだ。そして全員が対戦相手である浦和を特別な相手として見ているはずである。このチームで勝利すれば、チームとしてまた大きなステップとなるはずだ。

 ナビスコ杯と浦和には近年リーグで培ってきた因縁以上の因縁がある。絶対に負けられない7月がいよいよやってきた。

インテリスタの時間

2007年07月02日 | 脚で語る欧州・海外


 ガンバが安定してリーグ首位の座を走っている。先日も駒場で胸の空く好ゲーム。勝ち点41で中断前の一戦を気持ち良く締め括ってくれた。

 これで、ここ2週間ほど浦和に勝つことだけを考えればいい・・・

 まぁガンバのことはいつでも書けるし、ちょっと置いておいて、今日はインテルの話。先日もヴィオラについて好き勝手に今季の戦いぶりを評価したが、最も評価されるべきはこの今季のスクデットを文句無しに獲ったインテルである。
 
 昨季のカルチョスキャンダルでインテルは棚ぼた的にスクデットを獲得した。しかしこれは彼らに何の意味ももたらしはしなかった。確かに今季のインテルの独走の原動力の燃料にはなったかもしれないが、何よりも彼らに真のスクデットをもたらしたのは、そのたゆまぬ補強策と爆発的な潜在能力を秘めた礎が元来築かれていた点だ。
 特にズラタン・イブラヒモビッチの獲得は何よりも大きかった。元来ポストワークに優れたこのFWは今季のインテルで爆発。昨季ユーベで記録した7得点を大きく上回る15得点を叩き出した。自力で突破する場面も顕著に増え、同時期に加入したクレスポと共に、スランプに陥るアドリアーノの姿を吹き消してしまった。
 このズラタンだけでなく、加入1年目から恐ろしくフィットした右サイドのマイコンとケガで離脱したカンビアッソの穴を埋める以上の貢献ぶりが光ったビエラの活躍もインテルの原動力となった。その新加入組と融合したチームを最後列から鼓舞したマテラッツィの活躍には以前ブログに書いた通り、もはや言葉はいらないだろう。

 では、そんなインテルの今季のMVPを選ぶとすれば。。。?

 個人的にはデヤン・スタンコビッチを挙げたい。今年29歳を迎える彼は今季のインテリスタを狂喜乱舞させた影の主役である。昨季は左サイドが主戦場だった彼もカンビアッソ離脱の影響からマンチーニが敷いた4-3-1-2の中心として君臨。前半戦はトップ下、後半戦はフィーゴと連携を取りながら右に左に縦横無尽の活躍を見せた。チームではサネッティに次ぐ34試合に出場し、時折見せる得意のミドルシュートはチームの大きな武器となった。現在では欧州随一の「ポリバレント」なプレイヤーとなった。
 何よりも以前よりカードをもらわなくなった印象が強い。不必要な警告が減り、コンスタントに出場機会を得た彼は、インテル加入時からマンチーニに寵愛されたその恩義を見事にスクデットで返した形だ。

 そのスタンコビッチを支えたのはフィーゴ。キャリアの終盤を迎えた中盤の名手はその輝きを最後の1年に解き放とうとしている。めっきり途中出場が増えたが、12月頃から囁かれた中東移籍の雑音を物ともせず、ベテランらしいいぶし銀の活躍を見せてくれた。何よりもキャリアラストとなる来季はチャンピオンズリーグ制覇を誰よりも熱望している。

 さて、そのインテルの来季について少し展望していくと、カリアリから相思相愛だったダビド・オスカル・スアソを獲得。ここ2年安定して力を発揮していたプロヴィンチャの星はミランのラブコールを断りインテルを選んだ。これによってアドリアーノの去就が注目されるところだが、スアソの加入でますます彼の存在は消えてしまうであろう。
 具体的な加入はまだスアソ一人だが、現在その動向を注目されているのはバルセロナと総奪戦を繰り広げるキヴだ。スペクタクルなローマのサッカーを牽引し、DFとして今季の欧州で最も評価されているといっても過言ではないこのキヴの去就はどうなるのか。個人的にはセビージャのマレスカ加入の噂も気になるところだ。

 まだヨーロッパの移籍市場は毎日のように動いている。ただ一つ間違いないのは来季もカルチョの主役はネラッズーリであるということ。隙のないチームのリノベーションにもはやレコバやアドリアーノが「過去の人」と化しているのだから、その総合力は世界一である。

 マンチーニ体制も4年目。そりゃ日本のガンバに比べれば派手さが全然違うが、海を隔てた遠い欧州でもネラッズーリはリーグの中心としてその旋風を巻き起こし続けるだろう。