脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

ゲームプランの質

2007年07月09日 | 脚で語るJリーグ


 浦和と対峙したナビスコ杯準々決勝第1戦。乗るはずだった飛行機が滑走路に出てからのフライトキャンセルで、仕事の都合でギリギリの到着となった5月のリーグ戦と同じく開始10分前程に埼スタに到着。自分自身にとっていきなりの波乱のスタート。ゲームでも何かが起こると予感めいたものがあった。

 ガンバの3-6-1という布陣が試合後に西野監督のコメントにあった「プラン通り」の戦いを序盤からできたのか微妙なところであるが、確かに試合開始からいつもの連動したプレッシングが影を潜め、攻守の切り替えでリズムのつまづく場面が多々あったのは否めない。むしろこの布陣でいつものガンバのパスサッカーを遂行するのが無理な話ではあるのだが。とにかく、個人的には5バック気味ながらも両アウトサイドに配置された入江と青木の縦への推進力を一つのキーポイントに掲げ、「打倒浦和」に向けて90分間声を張り上げた。

 浦和は試合前の予想に反し、小野とポンテが先発出場。やはりこの二人のホットラインは浦和の攻撃の象徴であり、このホットラインを自由にさせればワシントン不在も問題にならないだろうと思わせる二人の巧者ぶりにガンバは守備の時間を費やされる。前半12分には内舘のシュートが小野に当たりゴールネットを揺らすことに。先制され追う展開か。ここまではある程度予想できたことであった。問題はここからの試合運び=「ゲームプラン」だった。

 アジア杯と播戸、バレーのケガにより主力を多く欠くこのエクスキューズな布陣でガンバが1点のビハインドをどう追いかけるか。今季なかなか見れない展開であったが、浦和の運動量が減ってくるのを境にガンバのパスもそれなりに繋がってくる。失点をこれ以上重ねなければ、後半幾らでも点を取るチャンスは来ると信じれてしまうのが今季のガンバ。そしてこれがガンバのゲームプラン。徐々に相手のミスからボールを動かし、相手の集中力を削ぐ攻撃の姿勢を継続する。ここからの「ゲームプランの質」が追い付くかこのまま負けるかを分けることとなる。前半のマグノのPK失敗は明らかにイージーなミスだったが、この日のために必然的に抜擢されたルーキーの倉田を中心に前への姿勢を何とか90分間示せていたのではないだろうか。
 青木には及第点を与えることはできないが、入江がよく奮闘していた。特に後半、あまり日頃見受けられないスペースへの飛び出しからダイレクトのクロスをよく放り込めていた。精度は別として。入江の突破はそのきっかけとなる二川のプレースペースが随分自由になってきたことにも起因するが、あとは前線が、もしくは二川あたりがシュートを叩き込んでくればという展開だった。
 
 確かに流れの中での得点は難しい陣容であったのは確か。結果的に終了間際に山口が二川のCKを合わせ同点弾を突き刺すが、これもこの日のゲームプランからすれば、必然的な流れであったのかもしれない。このセットプレーもガンバのサッカーにおいて立派なゲームプランの1ピース。守り切ればという浦和の集中力をじわじわ削いだ結果の集大成であったと評価すべきだ。
 ただ、勝てた試合でもあった。しかし負けなかったことがカップ戦特有のルールを考慮すれば大きい。評価の集まった倉田に関してもまだまだこんなものではない。もっとやってくれるはずだ。とにもかくにもワシントンが帰還する浦和を万博で零封することが必須課題となった今、守備意識を最優先にして堅守速攻を徹底的に遂行していきたい。そしてバレーの復帰が間に合えば、この浦和戦でも物足りなかった前線へのビルドアップから組み立てることも可能になる。

 苦言を呈するならば、横谷までもがデビューしたこの試合を遠征メンバーに加わることなく見届けたサブ組の選手たちよ、西野のメッセージが伝わったなら這い上がってこい。もっと気持ちを見せて欲しい。ガンバでサッカーがやりたいのなら。


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