脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

インテリスタの時間

2007年07月02日 | 脚で語る欧州・海外


 ガンバが安定してリーグ首位の座を走っている。先日も駒場で胸の空く好ゲーム。勝ち点41で中断前の一戦を気持ち良く締め括ってくれた。

 これで、ここ2週間ほど浦和に勝つことだけを考えればいい・・・

 まぁガンバのことはいつでも書けるし、ちょっと置いておいて、今日はインテルの話。先日もヴィオラについて好き勝手に今季の戦いぶりを評価したが、最も評価されるべきはこの今季のスクデットを文句無しに獲ったインテルである。
 
 昨季のカルチョスキャンダルでインテルは棚ぼた的にスクデットを獲得した。しかしこれは彼らに何の意味ももたらしはしなかった。確かに今季のインテルの独走の原動力の燃料にはなったかもしれないが、何よりも彼らに真のスクデットをもたらしたのは、そのたゆまぬ補強策と爆発的な潜在能力を秘めた礎が元来築かれていた点だ。
 特にズラタン・イブラヒモビッチの獲得は何よりも大きかった。元来ポストワークに優れたこのFWは今季のインテルで爆発。昨季ユーベで記録した7得点を大きく上回る15得点を叩き出した。自力で突破する場面も顕著に増え、同時期に加入したクレスポと共に、スランプに陥るアドリアーノの姿を吹き消してしまった。
 このズラタンだけでなく、加入1年目から恐ろしくフィットした右サイドのマイコンとケガで離脱したカンビアッソの穴を埋める以上の貢献ぶりが光ったビエラの活躍もインテルの原動力となった。その新加入組と融合したチームを最後列から鼓舞したマテラッツィの活躍には以前ブログに書いた通り、もはや言葉はいらないだろう。

 では、そんなインテルの今季のMVPを選ぶとすれば。。。?

 個人的にはデヤン・スタンコビッチを挙げたい。今年29歳を迎える彼は今季のインテリスタを狂喜乱舞させた影の主役である。昨季は左サイドが主戦場だった彼もカンビアッソ離脱の影響からマンチーニが敷いた4-3-1-2の中心として君臨。前半戦はトップ下、後半戦はフィーゴと連携を取りながら右に左に縦横無尽の活躍を見せた。チームではサネッティに次ぐ34試合に出場し、時折見せる得意のミドルシュートはチームの大きな武器となった。現在では欧州随一の「ポリバレント」なプレイヤーとなった。
 何よりも以前よりカードをもらわなくなった印象が強い。不必要な警告が減り、コンスタントに出場機会を得た彼は、インテル加入時からマンチーニに寵愛されたその恩義を見事にスクデットで返した形だ。

 そのスタンコビッチを支えたのはフィーゴ。キャリアの終盤を迎えた中盤の名手はその輝きを最後の1年に解き放とうとしている。めっきり途中出場が増えたが、12月頃から囁かれた中東移籍の雑音を物ともせず、ベテランらしいいぶし銀の活躍を見せてくれた。何よりもキャリアラストとなる来季はチャンピオンズリーグ制覇を誰よりも熱望している。

 さて、そのインテルの来季について少し展望していくと、カリアリから相思相愛だったダビド・オスカル・スアソを獲得。ここ2年安定して力を発揮していたプロヴィンチャの星はミランのラブコールを断りインテルを選んだ。これによってアドリアーノの去就が注目されるところだが、スアソの加入でますます彼の存在は消えてしまうであろう。
 具体的な加入はまだスアソ一人だが、現在その動向を注目されているのはバルセロナと総奪戦を繰り広げるキヴだ。スペクタクルなローマのサッカーを牽引し、DFとして今季の欧州で最も評価されているといっても過言ではないこのキヴの去就はどうなるのか。個人的にはセビージャのマレスカ加入の噂も気になるところだ。

 まだヨーロッパの移籍市場は毎日のように動いている。ただ一つ間違いないのは来季もカルチョの主役はネラッズーリであるということ。隙のないチームのリノベーションにもはやレコバやアドリアーノが「過去の人」と化しているのだから、その総合力は世界一である。

 マンチーニ体制も4年目。そりゃ日本のガンバに比べれば派手さが全然違うが、海を隔てた遠い欧州でもネラッズーリはリーグの中心としてその旋風を巻き起こし続けるだろう。