脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

名タッグに馳せるかつての名勝負

2008年01月09日 | 脚で語る日本代表


 8日に発表されたU-17日本代表チーム。2年後のU-17ワールドカップを目指していくのだが、元プロ野球選手の高木豊氏の長男であり、東京V1969ユースのFW高木俊幸や元広島や京都で活躍した元日本代表、森保一氏の長男であるDF森保翔平(広島ユース)などが選出された。
 かつてのJリーガーやスポーツ選手の子供がもうこんなカテゴリーで代表などに選出されるのは歳月の流れを感じると共に、一握りの才能溢れる次世代の集団に彼らが名を連ねることは改めてその「サラブレッド」ぶりもつくづく感じる。

 暫定的ながらこのU-17日本代表チームを率いるのは、布啓一郎氏。かつて市立船橋高の監督として高校総体優勝、全国高校サッカー選手権優勝など数々の輝かしい戦績を残してきた名監督である。現在は、日本協会技術副委員長を務めるその布氏が指揮官として、1月23日から行われるメキシコ遠征にてコパ・チーバス2008という大会に参戦する。
 特筆すべきは、この2011年U-20ワールドカップを狙う代表チームのコーチとして奈良育英高校の上間政彦監督が帯同しているということだ。指導歴25年を迎える上間氏が高校サッカー界のきっての指導者として多くのJリーガーを奈良か輩出したことは周知の事実。奈良のみならず、関西のユース世代のサッカーシーンの発展に大きな尽力を果たしてきた。布監督と並んでS級ライセンスを保有していることから、この抜擢にも繋がったと窺えるが、この上間監督が代表コーチとして世界にチャレンジするのは奈良人としても非常に喜ばしいことである。

 筆者が小学6年生の冬、つまり95年の1月になるが、この上間監督率いる奈良育英高校が全国高校サッカー選手権でベスト3となる快挙を達成したのは非常に鮮烈な印象として脳裏にこびりついている。
 当時の守護神は現在日本代表でもお馴染みの楢崎正剛。初戦で前年度優勝の清水商を破り、怒涛の快進撃を遂げた。特に3回戦の四日市中央工高との9-8までもつれ込んだ熾烈なPK戦は忘れ得ぬ名勝負である。その後、準々決勝で三本木農高に1-0と辛勝し、準決勝でこの年の優勝校となる市立船橋高に0-3と敗れる。当時、1年生だったFW北嶋(現柏)、得点王にも輝いた3年生FW森崎嘉(元市原、水戸、横河)、2年生MF式田(元市原)を中心とした市立船橋高は驚異的な強さだった。全試合でわずか1失点。そして帝京高との決勝で5-0と圧勝を遂げた攻撃陣は6試合で23得点。その強豪を率い、全国の初戴冠をもたらしたのが布啓一郎監督であるのだ。
 何とも運命的な巡り合わせといえるだろうか。個人的には非常に思い入れの強いタッグである。この強烈な指揮官2人に導かれ、遠くメキシコの地で若きサムライたちが大きく成長を遂げてくれるのを願うばかりだ。
 
 そんなに取り上げられないニュースかもしれない。注目度も決して高くない代表カテゴリーだ。しかし、そんなノスタルジックなかつての名勝負を演出した名指揮官がコンビを組んで、現在の日本サッカーを牽引してくれていることを思うと、胸が熱くなるのは筆者だけだろうか。


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