脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

喜怒哀楽の真髄は蹴球にこそ有り。

如実に出た180分間のチーム力の差

2007年10月14日 | 脚で語るJリーグ


 10日に行われたホーム万博での1-0の勝利が大きく反映されたアウェイカシマでのナビスコ杯準決勝第2戦。ファイナリストの道を開いたのは、何を隠そうアウェイゴールの数であった。

 鹿島は立ち上がりからアウェイゴールは許してなるものかと云わんばかりに岩政を中心とした堅守で固める。ガンバのメンバーが決してベストでないにも関わらず、堅守からの速攻を念頭に掲げ、この試合ガンバと対峙した。
 五輪代表に家長と安田を召集され、怪我の寺田を強行出場させたガンバはこの日前田が先発出場。播戸の1トップ気味のフォーメーションにこの前田が積極的にボールに絡み、足元にボールを収めるタイプの家長と違って、スペースを使った持ち味のスピードを生かして鹿島に立ち向かう。
 第1戦と同じく一進一退の攻防が続く中、鹿島が徐々に攻撃のイニシアチヴを握り、田代、マルキーニョスを軸にゴールに再三迫る展開となった。鹿島は本当に機能していた。本山と小笠原が中盤でボールを拾えば、連動して田代とマルキーニョスが反応する。先制点はその2トップを警戒した中で、一瞬の隙を突かれて本山が裏へ抜け出しゴールを決める。鹿島が待望の先取点を掴むこととなった。

 このゲームで本山が2得点と冴えていたのは鹿島にとっては大きなポイントであったが、最終的に90分2本勝負においての勝因とはならなかった。ビハインドを背負いながらもその後にゴールを追い求めたガンバにはアウェイゴールという強みがある。ここカシマで取る1点は何よりも大きかった。
 播戸のゴールで1点を返した後半、撃ち合い態勢に入れば底力のあるガンバが徐々にペースを上げる。そのわずか後に直接沈められたFKは結果的にはさほど問題ではなかった。逆にビハインドの中で前半沈黙していた寺田や二川のエンジンがかかった。
 シジクレイがCKから頭で難なく沈めて2-3とし、残り時間ゲームをクロージングするだけに集中することができた。この戦い方ができたのは貴重な経験であるはず。焦燥感に駆られた鹿島からは得点の匂いは消え去る。後は集中を切らさずにタイムアップのホイッスルを聞き届けるだけであった。

 選手采配も申し分なかった。1発を期待してということもあったが、コンディション調整が必要な復帰間もないマグノを比較的早い時間から起用でき、中澤も第1戦に続いて守備のクローザーとして使うことができた。何しろベストメンバーから程遠いこの布陣で、180分1本勝負を制したのは大きい。ホームでの勝利はここでの2-3というスコアを歓喜のスコアにひっくり返す要因となったのである。

 ホーム&アウェイの連戦とアウェイゴールというカップ戦独自の戦い方で、ゲームプランを完遂したガンバ、時すでに遅かった鹿島、2つのチームのコントラストはリーグの戦いから得た経験も強ち無関係ではない。

 如実に現れたチーム力の差。これがファイナリストに相応しいチーム力だということアウェイで十二分に見せつけた我々が2年ぶりの悲願に向けて国立のピッチに辿り着いた。
 相手は川崎。不足はない。今季2冠目はもう目の前に迫っている。もう誰もが負けられない。