脚と角

関西を中心に国内外のサッカーシーンを観測する蹴球的徒然草。

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勝点1ポイントの重み -HOYO VS 相模原-

2010年11月21日 | 脚で語る地域リーグ
 第34回全国地域リーグ決勝大会が全国3会場にて開幕。Aグループのひたちなか会場では、第1試合で九州リーグの今季の王者であるHOYO Atletico ELANと神奈川県リーグからJFA優遇枠で一気にJFLへステップアップを目指すS.C.相模原が対戦。いきなり見応えのある乱打戦を見せてくれた両チーム。試合は2-2のまま、90分間で決着がつかず、PK戦へ突入すると、相模原が6-5でなんとかHOYOを振り切った。

 

 快晴のひたちなか市総合運動公園陸上競技場。10月の全社を遥かに超えるサポーターが集まり、JFL昇格を一気に狙う相模原陣営は気合い十分。HOYOも負けじと数人のサポーターが遥々ひたちなかまで駆けつけた。しかしながら、どうそれ意外の観客の多さとその盛り上がりを助長する要素がありそうだった。それもそのはず、ひたちなかと目と鼻の先、水戸市を本拠地とする水戸ホーリーホックにかつて所属していた選手(相模原 DF金澤、HOYO FW堀)がこの両チームの選手にいたのである。そのスタンドの声援は試合の展開に火を着けたのではないだろうか。試合はそう言わんばかりの白熱の展開を迎えた。

 
 相模原MFの水野は柏でプレーする水野晃樹の兄。
 サイドからチャンスを作った。

 
 HOYOの左サイドバック長谷川。
 Jでもプレー経験のあるそのプレーでチームを牽引。

 前半から相模原が堅実に繋いでHOYOを地力でリードする試合展開。しかし、押されるHOYOも徐々に盛り返していく。MF本田、MF堤の守備的MF2枚を中心にしっかり相模原のパスに対してチェックを仕掛ける。27分に相模原はDF井上が接触プレーで負傷交代を余儀なくされ、アップも程々に鈴木隼を投入する相模原だった。

 
 
 35分、途中出場の相模原MF鈴木隼がシュート。
 これは惜しくもバーの上に外れる。

 試合が動いたのは前半終了間際の45+1分、相模原が先制点を挙げる。富井のクロスを相手GKが弾いたところに坂井が詰めており、巧くコントロールしてゴールに流し込む。前半のうちに欲しかった先制点を得て相模原優位で前半を折り返した。

 
 
 
 落ち着いて先制点を決めた相模原MF坂井。
 相手GKのミスを逃さなかった。

 後半に入ると、試合が落ち着く前にFW齋藤が追加点を挙げて相模原がリードを広げる。この試合、駆けつけた水戸サポーターの熱視線を受ける金澤が、まずはその齋藤の得点をお膳立てするアシストで仕事をしてみせた。

 
 
 
 後半開始直後、相模原のエース齋藤が追加点。
 完全に相模原が試合の展開を掴んだに見えたが。

 リードされたHOYOだったが、ここでしっかりとチームが動いた。62分に生口に代わって渡邊、そして68分には堤に代えて岩本を投入。サイドから渡邊がチャンスを作るようになると、70分にその渡邊のクロスからFW堀が1点を返すことに成功。スタンドから大きな声援が巻き起こる。ここまで相模原の守備の前にほとんど前線を封じられていたHOYOが一気に活力を帯びた瞬間だった。

 
 
 
 ほとんどシュートを打てていなかったHOYO。
 気迫の1点はこちらもチームのエースである堀。

 しかし、スコアはまだ2-1で相模原がリード。一気に相模原が試合を決しようと、猛烈な攻勢を仕掛けた。ジエゴ・カンポスを途中投入した相模原は71分、72分と立て続けに決定機を作り出す。その度にHOYOの味方になったのはゴールバーとポスト。相模原のリードが広がってもおかしくない試合展開だったが、運をも味方につけてなんとかHOYOは我慢の時間帯を凌いだ。

 83分には古賀に代えてかつて名古屋で活躍した鴨川を投入するHOYO。対して相模原もクローザーとして終了間際に今季チームの監督(今大会では望月重良代表が監督を兼任)を務めていた秋葉がピッチへ送り込まれる。しかし、試合が動いたのは自陣エリア左サイドでのこのベテランのボール処理ミスからだった。アディショナルタイムに入ってすぐ、人数をかけて攻め込むHOYOの選手たちから秋葉がボールをカットするものの、それを拾ったのはHOYOの1点目を演出したレフトサイダーの渡邊。渡邊はボールを拾うと、少しドリブルを仕掛けてエリア内へ折り返した。そこに待っていたのは再び堀。彼が頭で決めてHOYOが劇的な同点劇を演じたのだった。

 
 
 
 2点目は頭で決めたHOYOのエース堀。
 これで試合を振り出しに。

 90分で決着がつかずに即座に試合はPK戦へ。スタンドには金澤VS堀のマッチアップを観に来た水戸サポーターがHOYOへ大きな声援を送る光景。6人目まで突入したPK戦では、HOYOの本田が外したのに対して、相模原は全員が決めて6-5で勝利を手にした。

 
 HOYO6人目の本田が痛恨の失敗。
 試合では中盤の底で良いプレーを見せていたのだが。

 
 何とかPK勝利で勝点2ポイントを掴んだ相模原。
 ラスト数分で逃した1ポイントが明日以降どう響くか。

 これで相模原は勝点2ポイント、敗色濃厚だったHOYOは1ポイントを得ることに。このPK戦の勝敗で分かれた勝点1ポイントが2日目以降にどう影響するだろうか。しかしながら、2点を追い上げたHOYOの実力はこの大会に出るチームとして立派に証明されただろう。昨季まで県リーグのチームだったとは思えない。このグループのキーとなりそうだ。


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