「釣初心者日記」

宮崎の釣り情報・釣れた魚の事・魚料理・その他ゴルフ話など書いてます。

キュウセン※雄(FileNO47)

2006年05月13日 | お魚紹介

ベラ科の魚は種類が豊富で簡単な身体的特徴として色がとてもカラフルである事があるが、上唇から細い歯がちょこんと飛び出していることでもおおむね判断できてしまう。(すべてのベラ科がそうだという事ではない)
まあ、感覚的にベラ科の魚だ・・・と感じてしまうんだな。
でも侮るなかれ、中には全長2mを超える通称「ナポレオンフィッシュ」※標準和名「メガネモチノウオ」なども属するし、私が見た最大の魚では、同行者が釣り上げたカンムリベラなどは60Cmを超える大物だった。
九州では大分の防波堤などで「カンダイ」として騒がれる大物、標準和名「コブダイ」もベラ科に属する。
この大物達だが、幼魚と成魚では姿・模様が大きく変わるのも特徴的で、また雄と雌の模様が違うという事も面白い。

写真の魚はキュウセンというが雄である。
キュウセンの名の由来は、雌の体の様子から付いたという説がある。雌は中央に太いたて筋が1本あり、その上下に赤褐色の点線が8本あるため合計「9本の線」ということからだ。
ベラ科の魚は磯場や防波堤の壁に居ついている事が多いが、このキュウセンはちょっと小岩があるような砂浜で釣れる。私は磯が中心の釣りなのでほとんど釣った事がなかったが、先日の船キス狙いの釣りで久しぶりに釣れた。
宮崎でも内湾の砂地なら何処でも釣れるのかもしれないが意外と見かけない魚である。関西や瀬戸内では食材としても珍重され、京都では京料理のネタにもされるそうだ。私は食べた事がない。
もっとも低温に強いんだそうだ。ベラ科の魚達はカラフルだが、カラフル=南方の魚というイメージもある。恐らく生息域がサンゴや海草などが鮮やかな海底の場合に魚も擬態として色を近いものに変える進化をしているのだろう。しかしキュウセンは私が見た魚の中でも1・2を争うほどカラフルだ。砂浜でこんなに鮮やかだと、狙われ易いのではないかと危惧しちゃうけど、実際写真の魚は25Cmというかなりの大型のせいか、お腹の下に傷があった。1度は何がしかと戦った証拠だ。
ベラ科の魚は性転換するものが多いが、キュウセンもその魚の1つだ。雌から雄への変異である。従って赤褐色の模様を持つ雌は小型のものが多く雄は大型が多いということであるが、この魚は最初から雄の個体もいて、これは一次雄といい雌と同じ姿をしているのだそうだ。転換したものが青(写真のような色)になるそうで、そのような個体を2次雄という。
釣手法のせいかもしれないが、次は雌の姿も一度拝みたいもんだ。

ネズミゴチ※青斑変異(FileNO46)

2006年05月13日 | お魚紹介

ネズミゴチという魚はシロギス狙いの外道として釣れる。
ネズミゴチと言うより「メゴチ」と宮崎では一般的に呼ばれる事が多い。子供の頃に親父からそう習った。メゴチとはネズッポ科ネズッポ属の魚の総称に成るんだと思うがWEBさかな図鑑で見る限りネズッポ属には8種がある。でも「ネズッポ」という魚はいないし「メゴチ」もいない。

ネズッポ科の魚を見分けるのはかなり難しそうだ。ネズミゴチの身体的特徴はWEBさかな図鑑を引用すると
「雄は第1背鰭の縁辺が黒く、臀鰭の下半部が黒くなり、体側下半部に多くの暗色斜線があり、頬部には黄色地に暗色で縁取られた青色波状斑がある。雌は第1背鰭に白で縁取られた黒斑があり、臀鰭は白く鰭膜に黄色斑がある。また未成熟の雄の第1背鰭にも白で縁取られた黒色斑がある。」ということなんだけど、写真のネズミゴチはちょっと違う。

ネズッポ科の魚は背鰭を広げた際の模様に特徴があるのだが、写真の魚はネズミゴチの雌に近い。ただ第1背鰭の黒色斑が黒ではなくメタリックブルーで白で縁取られてもいない。

この魚は1999年、私の知り合いでもある宮崎在住の「WEBさかな図鑑」「釣りフォーラム」の管理人、JUNさんが発見。その後宮崎からは発見例が相次ぎ、それが全国に波及していった。つまり昔からいたんだけどそれまで意識されてなかったが、気にする全国の魚好きが、釣れた魚を調べて「いるじゃん!」って事である。

この魚の特徴は第1背鰭だけではない。唇が黄色いのである。一般的なネズミゴチは白い。だから釣れてもすぐに「アオハンだっ!」って判るし嬉しくなる。
この魚の写真を初めてまともに撮影したが、体高がないので、ホワイトのボードに体の形の穴を開けて体を固定する。それから鰭をボードに貼り付けるように広げるのだが適度な水分が無いとちょっと暴れるとすぐに鰭は閉じてしまう。なんどもなんども鰭を広げる作業を繰り返し、やっと魚が落ち着いたところでパシャッと写す。完成した写真がデジカメなら直ぐに確認はできるが細部の確認は難しい。パソコンに取り込んでやっと正体が分かるのだが、これが思っていたよりもなんとも味わいある模様なのだ。

私はまだ経験したことが無いが、同じネズッポ科の「ヤリヌメリ」という魚はとても臭いらしい。クーラーボックスに入れてしまうと一緒に入れていたシロギスなどは食べられなくなるほど。クーラーボックスも使いたくなくなるほどだそうだ。その魚を手に持つと、数日間はその匂いがこびりついて気分が悪くなるらしい。姿だけでは判断できないので釣れたらすぐに匂いを嗅ぐ。大丈夫だと思ったら上記のような撮影作業に入る。
WEBさかな図鑑に投稿している猛者達の中には、その匂いにもめげず果敢に撮影に挑み、しっかりと撮影している。
http://fishing-forum.org/zukan/mashtml/M000514_1.htm
魚種は増やしたいがあまり出会いたくない魚だ。

ネズミゴチはかなり美味しい。食感としてはシロギスより好まれるかも知れない。ただグロテスクな姿と釣れて体から出る体液の粘りで嫌われてしまう魚である。
釣れてもリリースされてしまうんだけど、見た目で嫌われ捨てられてしまう魚達って、ある意味それを生存の武器にしているのかも知れないなと思う。遠い未来に海の中の砂浜地帯を占有している魚はこの手の魚なのでは無いかと思っちゃう。ヒラメやマゴチといったフィッシュイーター(魚を捕食する魚たち)もネズミゴチなどはその身体的特徴の顔の横から飛び出す棘(前鰓蓋骨棘)が邪魔になり食べられにくいと思う。
食べて美味しい魚は、食べられて種が絶滅するのを防ぐために姿を醜くしたり棘を持ったりという進化をしているのかも知れないな。