活動開始はAM8時ぐらいで、前日ちょっと飲み過ぎた感がある私の体調は微妙な気だるさ。シャワーを浴びようと自分の建屋に設置してある風呂で、裸になってお湯を出そうとするが全然熱湯が出ない。しかたなく水を浴び、寒い思いをしながら風呂入口付近を見たら、ボイラーの電源らしきスイッチがある。これを入れないと熱くならないのを知ってショックを受けた2日めのスタートだった。
AM8時半頃にがほーさんが迎えに来られ、皆、釣り具は軽トラックに積み込み、メンバーはタクシーに乗り込んで約15分程度の、写真の中里遊歩道(通称タンニャミ)という場所での磯釣り。
遊歩道入口付近は最近整備されたようで、景色も設備もなかなかだ。喜界島はチョウチョの島でもある。この入口付近では種類は不明だがチョウの乱舞を見ることができた。チョウは宿でも民家でも見る事ができ、なぜにこんなに多いのかを考えると、琉球諸島では一般的なハイビスカスを筆頭に美しい花々も多い。魚ではなく花探索・チョウ探索でも充分楽しめそうだ。オオゴマダラ蝶という大型のチョウも居る事が有名なようだが、どれがなんだかというのは私には区別できなかった。
タンニャミの磯場は、前日の湾磯場より更に岩が切り立っていて危ない。手もつけない感じでコケないように神経を尖らせる事で疲れるが、釣り場は多く、ちょっと岩先だとドン深なよう。海の色も底が見えず、手前の浅瀬から奥の暗さのグラデーションが魅力的というか、吸い込まれるような暗さには恐怖感も沸く。
地元の釣り人がポイントと聞く場所を埋め尽くしているので、しかたなく場所を開拓しながらの釣りだったが、ここでは「ヤマブキベラ」「モンガラカワハギ」の2匹のみ。これは宮崎でも普通に釣れる魚。近くで釣っていたsfcさんはさすがに場を知り尽くし、大き目のオキナメジナを上げていた。私はこのオキナメジナは釣りたくてしょうがない魚なのだが宮崎では数が少ない。あまり経験がないルアー(ワーム仕様)でもチャレンジしたが、何度か魚信も感じるもハリ掛かりしない。最後にはタイトプールで魚掬い。ギンポの仲間が多いが、集中したら何種か確保できたかも知れないけど、どうもそんな気分でもない。
昼を過ぎる頃には皆の状況が気になりだして、釣りも強制終了。
もし自分1人なら、これからが本番というか、ちょうど干潮時間帯にもなって、磯の先端にて釣り安い感じなのだが、考えるに昼飯も持ってないし、JUNさんは遊歩道付近で寝てるし、まあ多分、皆同じように考えているだろうと思ったが、さすがにその辺の空気読みはさすがで、ほぼ全員、打ち合わせもしてないのに集まってきた。そしてこの魅惑的な磯場から撤収。
昼は宿に戻り、前日の残りや味噌汁で昼食をとったあとは前日釣った湾磯の更に奥地の空港の横の磯場に行く。
またまた磯場を歩くのがちょっと億劫な感じだったが、波が駆け上がってくる雰囲気も微妙で竿の準備も迷ったあげく、磯遊びに変更。
食べられる貝はないかと大粒のものを拾うと、それは危険だとか、大学院メンバーに指摘され、これも断念。
釣りをしていた地元の方と思われるおじいさんにスカリの中を見せてもらうと、結構大漁で面白い魚がいる。そこでこの魚の写真を写させてもらう事にした。ブダイの仲間が多いがモンガラなども食材として入れてあり、がほーさんもしかりだが、ここでは毒魚でなければ何でも食材なんだなと思った。
そしてこの日のメインの出来事。
磯場でほどほどに遊び、皆が撤収モードで集まったが、MSさんが手網の中に大きな、変な物体を掲げている。(↓)
これって・・・魚??
私以外のメンバーが皆興奮していて(私もその大きさに興奮はしていたのだが)、当然という感じで「オニダルマオコゼ」と語る。
この魚はとても危険なんだそうで、背鰭の棘条に刺さると猛毒があり死に至る事もあるとのこと。喜界島でも年に2~3名犠牲になるそうだ。砂泥中に体を半分ぐらい埋め、捕食は目の前を通る小魚などをパクッと咥えるらしい。
岩に擬態していてとにかく判りにくいので、夏の海水浴シーズンの前には高校生がこの魚の駆除をするらしいが、知らずに裸足で浜辺などを歩く事がいかに危険かという事だ。
熱帯域に多いようなので、今後機会があっても素足禁止だな。
この魚、なんとMSさんは当然そんな知識を持っているにも関わらず、果敢に周囲の砂を素手で掘り起こして捕えたそうで、なんという眼力というか怖いもの知らずというべきなのか、感動に値する。そしてこの魚は、重量を量ったら何と3Kgもあり、沖縄の市場でキロ1万の高値の魚だという話だから3万円の価値。
なぜにそんなに高いかというと、超美味なのだ。当然ながら、この日のメインデッシュとなる(↓)
この唐揚げ・・・過去に食べた揚げ物の中でも最高級というか、どんな高級店でも食べた事がないというほどだった。トラフグも美味しいけど、それを上回る旨味。
ちなみにそんな毒魚をどのように調理するかというと、まずは生きたままのその魚にグラグラの熱湯をかける。すると猛毒も分解されて危険性もなくなり、表面の薄皮も向けて、普通にさばく事ができる。がほーさんのその作業工程を見ていて、これまた感動していた。
とても珍しい魚だと思っていたけど、なんと翌日もMSさんは捕えてきた。つまり2日間、この美味なる魚を堪能できたわけだ。がほーさんに、そんなに簡単に見つかるのかと聞くと、そんな事はなく、やはりMSさんの捕獲能力の凄さだ。
ところでこの日、実は本来メインデッシュとなるべき食材もあった。がほーさんが提供してくれたソデイカだ。(↓)
体調が1.5m程度にもなる大型イカだが、大きくても刺身でかなり美味しい。写真のような身厚なので、半分にスライスして、表面の固い分、内側の柔らかい部分の2つの食感を味わえるわけだ。これまた感動に値する美味さ。
この夜は評判を聞いて購入した黒糖焼酎「れんと」(※喜界島産ではない)も加わり、食材の良さと美味しい酒、そして翌日皆より1日早く引き上げられるsfcさんのマシンガントークで大いに盛り上がった事は言うまでもない。