企業・組織再生現場からの独り言

仕事の中で、覚えていったこと。感じたことなどなどを記していきます。我以外皆我師也。あと、読んでいる本を簡単に紹介。

イノベーションは公平から生まれるのか?

2007年07月29日 | 企業の一般的な話
キャノン会長の話、実際どういう文脈で話をしたのかわからないから、あくまで記事に対しての意見だと思ってください。なんせ記事が朝日新聞だから、扇情的なんだろうな、とは思っていますので。
新卒採用時から、評価に差をつけましょう、給与も変えましょうというのは、あくまで、ひとつの例示ではないかな?と思う。もし、本気でそんなこと考えているとしたら、あほ、やろな♪と。社会保険庁じゃないが、エリートコースの国1と、そうでない公務員とをわけましょう、みたいな議論に聞こえるから。
実際は、新卒もそうだし、それ以上に、年功序列的な仕組みについて、それではいかんだろう!って言っているのだろう。成果主義の失敗により、年功序列への揺れ戻しが起きている。一人ひとり、暮らしの事情が異なるのは当たり前だが、社会そして会社では、成果に対して公平に評価をしていくべき!って議論なんだと思う。
結果の平等ではなく機会の平等、というのが公平な仕組み!という意味合いで使われてきたことが多いと思うが、今回の公平というのは、より進んでいる概念かな?と思うが、そのあたりはどうなのか?明確に報道してもらいたいものだ。
さて、表題にも載せたが、イノベーションは公平から生まれるか?というと、この公平の概念にもよるのだとは思うけれども、そう簡単なものではない、と思う。革新って一言で言っても、パラダイムシフトレベルの大革新もあれば、企業経営におけるちょっとした改革もあると思う。
前者は、そう簡単には起こらない。後者については、新卒などの給与体系とかよりも、トップの問題のほうが多いのではないか?昔ながらのやり方を守ろうとする勢力、社内・社外政治ばかりしているトップ集団、そして大局観をもたない経営者。そういう勢力を維持したままで、革新が起こるのかということ。
従業員と、社外勢力とが一致して改革を進めようとして、もっとも抵抗するのは、古いものを引きずった経営陣である、と言っていいだろう。トップが抵抗勢力である限り革新なんて起こりえない。経団連だってそういうことはわかっているはず。でもそれを言わないのは、皆に革新されてしまうと、既存の勝ち組勢力が困ってしまうからではないか?
でも、日本の国際競争力がどんどん落ちてきていると言われる現在、だめな企業やだめな社長を放置しておいて良いのかな?とは思う。まぁ、経営陣もそうだが、株主も同様に古かったりして・・。それに、従業員も意識が低いと。。。そうだな、顧客に見捨てられる!ということかも。
円安(特に、対ヨーロッパ、アジア・オセアニア)が続くと、生活が苦しくなってくる人が出てくるだろう。輸出系企業はそうでもないのかもしれないけれど、輸出系メーカーとそれ以外での格差なんてのが、いずれは問題視されてくるのではないだろうか?経団連ってのは、グローバル企業、それも多くはメーカーが牛耳っているような組織だから、結局は、メーカーの利益を追い求めているようにも感じられる。

あ、最後に、新卒の給与を分けるって話は、それはそれでやるべきだと思います。学生時代にがんばってきた人で、即戦力って人もすくなからずいる。そういう人に、ある程度報いて上げられる給与制度は、特に大手企業には少ないと思いますね。昇進っていったって、まともなポストにつくのは10年後とか。。それでは遅いでしょう。
成長するためには、時にはお金も必要。若いときこそ、いろいろ体験するためのお金を持っていた方がいいタイミングもある。自分自身も、まだ小僧ではあるものの、しっかり投資するときは、したい♪
そうした意識の高い人、で、かつ実績も残せる人には給与だけではないかもしれないが、いろいろ経験をさせてあげられるような仕組み、そしてトップの決断が必要だとは思います。

「入社時から給与に格差を」経団連会長、フォーラムで(朝日新聞) - goo ニュース
日本経団連の夏季フォーラムが26日、静岡県小山町で開幕した。約40人の財界人が参加し、初日は教育問題を議論。御手洗冨士夫会長(キヤノン会長)は、学生を成績や論文で評価し、入社から給料に格差をつける仕組みの導入を提案した。
 御手洗会長は、採用の改革について「平等に採用して会社では年功序列。競争の原理からほど遠く、イノベーション(革新)は生まれない。社会正義を平等から公平に変え、それに沿った学校教育、採用試験、給料体系にしないといけない」と呼びかけた。
 また、教育再生会議座長代理の池田守男・資生堂相談役が講演の中で、初等・中等教育現場の問題点を指摘し、学校選択制の導入やゆとり教育の見直しの必要性を訴えた。
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