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あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

映画『コクリコ坂から』の もう一つの見方

2011-08-18 09:48:39 | インポート

  以前ブログでも取り上げた,スタジオジブリの最新作『コクリコ坂から』について,朝日新聞の文化欄に,新たな視点からのコメントが掲載されていました。なるほどとうなずける内容でしたので,次に紹介します。

  コメントは,「高校生の海と俊の初々しい恋が主軸だが,2人の亡き父の青春時代を絡めた   物語からは「父から子への継承」というテーマも浮かび上がる。」と指摘しています。以下,原文を引用します。

  …… 海と俊たちは,文化系クラブの巣窟となっている古い建物「カルチェラタン」取り壊しに反対し,大掃除して高校の徳丸理事長に見せる。原作のマンガにはない,映画オリジナルの展開だ。徳丸のモデルはジブリ創設者で,故人の徳間書店元社長:徳間康快氏。建物の玄関近くには「 志 雲より高く 」という垂れ幕が見える。これはジブリの前に立つ,徳間の記した碑文と同じだ。徳丸は建物を再生させた若者たちをたたえ,存続を認める。まるでジブリ創設者に「受け継いで頑張れよ」と言わせたようなものでは?苦難を乗り越えた海と俊の恋を,終幕で父の旧友が父になりかわり祝福する。帰らぬ人を思い続けたヒロインの心も,父から子の世代へと受け渡されていくのだ。

  父:宮崎駿がノータッチだった吾朗の初監督作「ゲド戦記」と違い,本作は「カルチェラタン」のデザインなどで父のアイデアを採り入れたという。父から子へ,何がどう受け継がれたのか。作品はそんな楽しみも用意してくれている。 ……

 古き良きものの継承。カルチェラタンという建物の存続は,目に見える物の存続です。高校生たちはそれを大掃除し,新たな命を与え再生させます。継承とは,存続を願うことから出発し,それに新たな命を吹き込む行為とも言えるのだと思います。

 「志 雲より高く」は,継承しさらにそれを発展させていくための原動力となる,目には見えないけれども,最も大切にしたい心のもち方なのだと思います。その思いで,宮崎駿さんはジブリをつくり,たくさんの作品を誕生させてきたのではないかと思います。そして,今回の作品づくりを親子で進める中で,「志 雲より高く」という熱い思いとジブリの継承・発展とを,息子の吾朗さんに託したのではないかと思いました。

 海と俊の父親たちは,戦争という状況の中でもお互いに相手を心から気遣い支え合う友情を育てます。父の帰りを待ち続け旗を揚げ続ける海の思いは,決して変わることのない父への深い愛です。その旗を見た俊は,海に惹かれ,恋するようになります。海は,俊のことを,父が自分の代わりに連れてきた人だと思います。

 一途に相手を想い慕い続けるハートは,亡き父親たちから受け継いだものなのだと思います。

 また,もう一度映画を見たくなりました。今の時代に失われているもの,今の自分が忘れているものを取り戻しに行くのには,最高の映画ですから……。

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66回目の終戦記念日を迎えて

2011-08-15 23:49:04 | インポート

今日が66回目の終戦記念日です。

太平洋戦争で亡くなった人は,民間人も含めて約310万人(戦死者:230万人,民間人:80万人)と言われています。<数字は,タイムズ・アトラス第二次世界大戦資料を引用>

戦場となった国々の戦没者数(民間人を含めた)は,中国:1132万人以上  インドネシア:400万人  ベトナム:200万人  フィリピン:111万人  韓国・北朝鮮:20万人  ミャンマー:15万人  シンガポール・マレーシア:10万人以上  タイ:8千人  

日本も含めた戦没者の総数は,アジア全域で2066.8万人以上にもなります。

アジア以外の第二次世界大戦の各国別戦没者数(民間人も含めた)を多い順に調べてみますと, ソ連:2150万人以上  ポーランド:662.8万人  ドイツ:515万人 で この3国だけで3427.8万人もの尊い命が失われていることになります。

ソ連一国だけでも,アジアの総数を上回る数になっていることに驚きます。 

改めて,これだけ多くの命が失われた戦争という悲しい歴史を繰り返してはならないと思います。一つの命の分だけ,その人の人生があり,共に生きた愛する家族や恋人・友人がいたはずです。第二次世界大戦では,世界中で5,500万人を越える命が失われました。そして,その何倍もの人々が悲しみを背負いながら戦後を懸命に生きたことになります。

先日のブログで紹介したアメリカ人の青年が(アリ・ビーザーさん:祖父が広島と長崎に原爆を投下した飛行機の乗組員だった)広島と長崎を訪れ,人間の命を奪うことに正義がないことを感じることができたように,命を否定する行為に正義はあり得ません。戦争は,たくさんの命を奪い,悲しみや憎しみを産みます。平和は,お互いの命を大切に想い,お互いの幸せを願います。かけがえのない命の尊さを考えるところから,平和への第一歩は始まるような気がします。

終戦記念日を迎え,亡くなった方々のご冥福と戦争のない平和な世界の実現を心から祈りたいと思います。

 

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サルスベリの花を見て

2011-08-13 10:35:38 | インポート

家の二階の窓から,満開のサルスベリの花を見ることができます。

私の部屋の椅子に座ると,ちょうど目の高さに,サルスベリの木の上部に鮮やかに咲く花々が見えます。このごろは,椅子に腰を下ろすと,窓越しに花を眺めるのが日課となりました。

暑い日差しをものともせずに,毅然と品のあるピンクの笑顔をふりまく姿。風にゆれるたびに,命あるものの生の輝きを感じます。映画『コクリコ坂から』の主人公:海のような,凛としてさわやかな輝きです。見ているだけで,すがすがしい気持ちになります。

外に出た時には,ゆっくりとサルスベリ全体を眺めます。そして,下から花を見上げます。

花の向こうに青い空が見えます。鮮やかなピンクと深緑の葉が,空の青と調和し,美しい景色を演出します。自然の奏でるハーモニーといった感じがします。

暑さに負けてしまいそうな厳しい日が続いています。残暑見舞いを込めて,サルスベリの花を次に紹介します。目で涼しさを感じていただけるとうれしいのですが………。

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広島,長崎を想いながら

2011-08-09 23:31:09 | インポート

今日は,長崎に原爆を投下されて66年目の8月9日です。8月6日の広島での原爆投下と合わせて,日本人として忘れてはいけない日だと思っています。私にとって,この両日は青い空を青いままで未来に残す誓いの日でもあります。

二度と戦争のない,核兵器が使用されることのない,平和で美しい日本であり,世界でありますように。

しかし今でも,アフガニスタンやパキスタン,中東では,テロや戦争があり,多くの尊い命が犠牲になっています。アフリカの東部では,これまでにない干ばつによって食料が不足し,多くの餓死者が出ています。そして,その犠牲者の多くが弱い立場の子どもたちです。

今回の震災でも,親や家族を失った子どもたちがたくさんいます。福島の原発の事故による放射線は,大人以上に子どもたちの健康に深刻な影響を与えます。

やがては,今の子どもたちが大人となり未来の世界をつくる主体となります。

今の大人たちができることは,未来の主体となる子どもたちが,安心して生活できる環境や場をつくってあげることなのではないかと考えます。

そのためには,一日でも早く戦争のない平和な世界,飢えのない世界をつくることなのではないかと思います。そしてまた,核兵器が廃絶され,核の平和利用という美名に惑わされることなく核に頼らない安全で安心な世界を目指すことが,人類の本当の意味での幸せにつながっていくものと確信します。

今回の震災では,世界中からたくさんの温かい支援をいただきました。国境という壁をはるかに超えて,同じ人間としての心のつながりを感じました。それは,地球という惑星でともに生活する地球人としての絆とも言えるのではないかと思いました。

宮沢賢治が求めた,すべての人々が幸いなる世界こそ,地球人として,人類として求める理想の世界なのかもしれません。

青い空を,地球上のすべての子どもたちが笑顔で見上げることのできる日が来ることを願いながら,広島と長崎で亡くなった方々のご冥福を心から祈りたいと思います。

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アニメ『コクリコ坂から』を見て

2011-08-09 12:00:03 | インポート

宮崎吾朗監督ということで,前の『ゲド戦記』の印象が余りよくなかったせいか,過度の期待をしないで見ました。しかし,出来は最高で,心に残る作品になりました。見終わった後には,(とても,よかった。)という満足感がありました。

なつかしい時代の空気が,精巧に描かれた風景や用具を背景に,ストレートに伝わってきました。実写の『三丁目の夕日』の映画からも感じることのできた昭和30年~40年代の空気が,アニメであるにもかかわらず,作品全体を貫くように流れていました。一人一人の登場人物たちがその時代の空気に合った個性を持ち,存在感にリアリティーがあったせいかもしれません。宮崎駿の台本と吾朗監督の作品に込めた思いが,深い所で結びついた作品に仕上がったのではないかと思いました。

バンカラなものにあこがれ,その思いをとても大切にしていた昔の自分を思い出しました。初恋のときの一途な思いも…。挿入歌と展開するストーリーが,いろんな思い出と交差し,忘れていたものが生き生きとよみがえってくるような感じがしました。

理屈抜きで,主人公の海と俊の幸せを祈り,恋が成就することを願いました。古き良き時代を象徴するカルチェラタンの存続を応援したいと思いました。見ていて,二度の場面で目頭が熱くなりました。

カルチェラタンの存続を願う 俊の演説 <映画のパンフレットより引用>

『古くなったから壊すというなら 君たちの頭こそ打ち砕け。古いものを壊すことは 過去の記憶を捨てることと同じじゃないのか。人が生きて死んでいった記憶を ないがしろにするということじゃないのか。新しいものばかりに飛びついて 歴史を顧みない君たちに未来などあるか。少数者の意見を聞こうとしない君たちに 民主主義を語る資格はない。』

古き良きものには時を超えて貫かれてきたもの<大切に受け継がれてきたもの>があるように思います。それは,新しいものを決して否定するものではなく,時を超えて流れてきたものを真摯に受け止めながら行き先を見据え,未来を切り開いていこうとする力<原点となる生きる力>なのではないかと考えます。民主的な社会は,一人が大切にされることで,すべての人が大切にされる社会でもあります。

作品全体から一人一人の命,幸せ,思想や意見が,尊重され大切にされる社会でありたいというメッセージが,伝わってくるような感じがしました。

妻や娘たちも一緒に見たのですが,みな「とてもよかった」という印象を持ったようです。妻は私と同様に昔の時代の空気を知っていたわけですが,娘たちは知りません。それでも好印象を持つことができたのは,作品を通して,時を超えて流れているものを感じ,時が変わっても変わることのない普遍的な人間のすばらしさを感じることができたからなのかもしれません。

小学生には難しいかもしれませんが,それより上の世代の方ならだれでも好印象をもつ作品だと思いますので,機会がありましたら是非ご覧ください。感想等もお聞かせください。

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