今日の朝刊の天声人語は,『欧州では「ゆっくり行く者が遠くまで行く」と言うそうだ。』という書き出しで始まり,結びは『皆で原発から遠くへ行くために』という表現でまとめられていました。
本論にあたる部分では,性急に事にあたる悪例として,中国政府が高速列車の脱線事故を原因究明に時間をかけず早く終わらせようとする姿勢,原発の監視役にあたる原子力安全・保安院が裏で推進役を演じていたこと等が取り上げられていました。
速やかに事を進めることが大切な場合も確かにあります。震災への具体的な復興策や福島原発事故の終息等は,迅速な取り組みが求められます。しかし,急ぎ過ぎることによって安全や安心がおろそかになっては,事を仕損じることにもなります。
かんじんなことにはゆっくりと時間をかけ,未来を見通して取り組むことが必要なのではないかと思います。
放射能で汚染された牛肉問題では,宮城や岩手まで出荷停止という状況になりました。汚染牛肉の取り扱いを調べていくと,学校給食の食材として使われていたことも分かりました。放射線の被害は,幼い子どもたちほどより強い影響を受けるわけですから,日々の食材について親はこれまで以上に神経質にならざるを得ません。
畑で収穫した作物も,よく洗い熱湯を通す等の除染の対応が必要なのかもしれません。
日本全国に在る原発施設の中のわずか一か所の事故によっても,これだけ甚大な被害がある状況を考えた時,原発の必要性について疑問を感じてきます。地震列島とも呼ばれる日本の国土の上に,たくさんの原発が乗っていること自体が不安に感じられてきます。地震等の自然災害やテロ等によって事故が起こった時に,また想定外の事故としてしまうのでしょうか。
福島の小学生が,七夕の短冊に書いた願いごとの中に,『がんにならないように!』という願いがあったそうです。切実な思いで書いた願いごとかもしれませんが,未来ある子どもがこんな思いでいることに,とても悲しくなりました。
子どもたちが大きな夢を描くことのできる 安全で安心な未来,きれいな環境の中で生きることのできる未来をつくっていくことが,大人の責任でもあるように思います。
遠くにある未来を展望しながら,ゆっくりと 原発に頼らない自然エネルギーを多様に生かして快適に暮らせる社会をつくっていきたいものです。