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あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

「火花」を読んで

2015-08-03 20:34:47 | 日記
芥川賞を受賞した 話題の又吉直樹さんの著書「火花」を読みました。

率直な感想は、賞に値する 私にとっても心に残る作品でした。

学生時代の自分の どこか破天荒で常識を超えた何かを熱く求めていた頃の思いを 懐かしく思い出すことが
できました。
芸人としての世界を生きたわけではありませんが、求道者としての葛藤や熱意が、青春時代の熱い思いを想起
させてくれるような気がしました。

主人公の徳永さんが、作者又吉さんの思いを色濃く投影した人物なのでしょうが、何といっても魅力的な人物
は、師匠と慕う 神谷さんという存在です。
芸人の世界で出会った 敬愛する先輩をモデルにした存在なのでしょうか。
作者が求めるものを 具現化した存在でもあるのかもしれません。
果てのない 芸人としての理想的な生き方や在り方を 実像化した人物であるのかもしれません。
破天荒な行動力を身につけていながら、どこか常識的で、気弱で 愛すべき人間的な存在。
この神谷さんの存在が、作品世界の奥行と深さを 形作っているような印象があります。

その神谷さんと主人公の 理想的なマドンナでもあった 真樹さんという女性も魅力的です。
すべてを肯定的に受け入れ、献身的に愛する人に尽くす 母性愛あふれる女性。
神谷さんにとっても、別れがたい 愛すべき女性だったのでしょう。

芸人の世界独特の作品世界であるものの、生きることの意味や辛さ・理想と現実との距離・人生の出会いと別れ・
挫折と再起… 生きているからこそ感じ・考え・悩み・苦しむ 普遍的な人間模様が描かれた作品でもあるのだ
と思います。

この作品を乗り越える 又吉さんの次の作品が待望されます。

それにしても思うのは、作品に登場する「あほんだら」と「スパークス」の漫才を 目の前で見てみたい という
願いです。
現実の「ピース」の漫才の中に 二つの漫才も 投影されているのでしょうか・・・
コメント
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