あの青い空のように

限りなく澄んだ青空は、憧れそのものです。

詩集「くじけないで」を読んで

2010-07-21 10:06:47 | インポート

朝日新聞の天声人語で紹介された99歳の詩人:柴田トヨさんの詩集「くじけないで」飛鳥新社

刊をさっそく注文し、読んでみました。

平成15年から22年2月までに書かれた詩が42編収録されています。

どの詩も、母親として、妻として、女性として、子として(亡き母への想い)、人生経験豊富な先

輩・人間として、それぞれの視点から感じ取った思いが、飾らない言葉でストレートに表現さ

れ、まっすぐに読み手の心に届いてくる感じがしました。

   

  返事              くじけないで              思い出Ⅱ

風が耳元で          ねえ 不幸だなんて         子どもと手をつないで

「もうそろそろ         溜息をつかないで           あなたの帰りを

 あの世に                                待った駅

 行きましょう」         陽射しやそよ風は           大勢の人の中から     

なんて 猫撫で声で      えこひいきをしない          あなたを見つけて

誘うのよ                                                      手を振った

                  夢は                         

だから 私           平等に見られるのよ          三人で戻る小道に

すぐに返事をしたの                                                金木犀の甘いかおり 

「あと少し             私 辛いことが             何処かの家から流れる

 こっちに居るわ                 あったけれど              ラジオの歌

 やり残した                           生きていてよかった                               

 事があるから」                              あの駅あの小道は

風は               あなたもくじけずに           今でも元気で 

困った顔をして                               いるかしら

すーっと帰って行った

詩集の後に書かれてある「私の軌跡」を読むと、これまで柴田さんが生きてきた足跡をたどる

ことができます。その終わりに、次のような一節があり、心に残りました。

  「人生、いつだってこれから、だれにも朝はかならずやってくる」

いい言葉ですね。何を始めるにしても、いつだってこれから … 99歳で詩集を出した人の言

葉ですから、説得力があります。

素直に受け止め、始める中味を改めてしっかりと見つめなおしていきたいものです。

いつだって、誰だって、日々 出発点に 立っているのですから。

そして 誰にも 朝が 待っている  …… のですから。