あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

特別展「対決-巨匠たちの日本美術」後編(東京国立博物館)

2008-07-28 22:25:55 | アート系


というわけで、特別展「対決-巨匠たちの日本美術」の続きです。

(前編はこちら→特別展「対決-巨匠たちの日本美術」前編(東京国立博物館)
餃子とペンギンTシャツに浮気して1日空いてしまいました

がちゃがちゃをやった後、物販コーナーを横目に見つつ、いざ後半戦へ突入!


○円空 vs 木喰

一昨年の秋に開催された「特別展 仏像 一木にこめられた祈り」でも、ラストで円空 vs 木喰という展開になってました。

あの時にインパクトあるのをたくさん見てるので、今回はそれほどの衝撃はありません。

でも、明らかに好みでしかないのだけど、円空のほうが面白みがあるんですよね。

見て、はっとさせられるのですよ。

収穫だったのはそれぞれ二人とも自分をモデルにして作った像。

円空の自刻像、木喰の自身像。

円空はすっきりとはしない表情が印象に残りました。

対して、木喰はにっこにこ。しかも、光背までつけちゃってる。

ほんと、この二人は対照的です。


○若冲 vs 蕭白  ―画人・画狂・画仙・画魔―

さあ、今回一番期待してたうちのひとつがこれ。

若冲と聞いただけで体温が一度上がってしまいそう。

ですが、今回はちょっと微妙。この内容だったら蕭白だなあと思いました。

若冲の作品は「仙人掌群鶏図襖」「石灯籠図屏風」「雪中遊禽図」の3点。

(「旭日鳳凰図」は7/29から)

「雪中遊禽図」はプライスコレクションの際に展示された「雪中鴛鴦図」にとても近い。動植彩絵にも「雪中鴛鴦図」がある。

だから、どうしても「あれ?以前に見たっけな」となってしまう。

まあ、若冲の絹本着色はこれだけなので、じっくりと堪能しました。あの雪べっとりは若冲の専売特許ですから。

「石灯籠図屏風」は今年1月に京都国立博物館での小特集「若冲を愉しむ」でじっくりと鑑賞してきました。

今回、そのことが仇になったなあという感じ。燈籠の虫食いちっくに朽ちてるのとかすごく好き。でも、京都は独占して鑑賞出来た満足が大きかったのです。

となると、やはり「仙人掌群鶏図襖」に期待しちゃうのです。

西福寺で11/3に公開されるくらいでなかなかお目にかかれそうにないお宝です。

若冲の金バックの襖絵ってこれだけでしょうね。

左右に配置されたサボテンがなんとも不思議な風合い。

サボテンに絡んでる紺色のが謎。

6枚の襖には若冲お得意の鶏がいろいろなポーズで出てきます。

ですが、、、若冲のカラーはやはり絹本がいいなあと。もしくは、例のタイルパターン。

襖なら京都で見たモノクロの鶏で十分よかったかなあと。

このぴかぴかした感じがちょっと浮いてるなあという感じがしたもので。

でも、もう一回見たら印象が変わるかもしれません。

で、蕭白です。

これがもう想像を越えてしまっててよかった!

「群仙図屏風」を目に前にしたら、「群童遊戯図屏風」のことが吹っ飛んでしまいました。

「群童遊戯図屏風」は先日、九州国立博物館で見てきたのです。

やはりこれも極彩色であのタッチ、水墨ハイブリッド、しかも銀箔です。

状態がいくはないものの作品が放つチカラがすごくてこれ単独で記事にしようかと思ってたくらい。

でも、「群童遊戯図屏風」がかなりいい状態だと敵わないなって思いました。

あの面妖なイメージで細密に描かれているからこそ、色と墨とが同居しても破綻なく成立してるんですよね。

あと、「唐獅子図」はあの大きさででーんとあったら、唐獅子と狛犬が大好きなわたしとしてはやられたなという感じ。

我ながら、こんな結果になるとは思いもよらず。

若冲の作品が前述した京博の小特集「若冲を愉しむ」であったら、間違いなく勝ってたかと思います。


○応挙 vs 芦雪  ―写生の静・奇想の動―


円山応挙「猛虎図屏風」(部分)


長沢芦雪「虎図襖」(部分)

これが一番、今回のタイトルの対決ってのに合ってたように思います。

まあ、メインビジュアルで露出が多かったのでそう感じたのかもしれません。

応挙は虎の毛がこれでもかと細かく描かれてて、あれだけでもうお腹いっぱい。ご飯3杯食べられます。

対する芦雪は正面きって飛び出てくる墨の虎。これはこれで潔し。

わたしは正直、どちらも大好きです。

応挙の「三美人図」はぜんぜん美人には見えないものの作品としての質と品格がやはり素晴らしい。応挙の人物ってそもそもあまり見ないので、こうやってきちんと見られるのが素直にうれしい。


○歌麿 vs 写楽  ―憂き世を浮き世に化粧して―

写楽は以前はすごく好きだったのですが、いかんせん活動期間が短くどうしても作品の種類が少ない。

いろいろと浮世絵の展示を見ていくと大抵、同じものがだぶってしまう。だいたいは見たことのあるものばかり。ま、仕方ないんですがね。

すごいなと思ったのは歌麿の「衝立の上下」。

まあ、摺師の技によるところも大きいのだと思います。

着物のレーズをすかして見る女の顔!このテクニックの使い時が素晴らしい。

プリントだからこそですよね。だから浮世絵は楽しい。


○大雅 vs 蕪村  ―詩は画の心・画は句の姿―

このコーナーはわたしとしてはブレークタイム。

ちょっと好みからは逸れていた。

だけど、最後に見た蕪村の「鳶鴉図」がよかったのです。

2幅あるうちの「鴉図」のほうの雪の描き方。

墨で黒く埋めた隙間の紙の地の白を雪に見立てる。しかもそれがいい具合にバラバラの形になってハラハラと降る雪のリズムに昇華してるのです。


とまあ、トータル2時間半。普通に見てこれだけかかりました。

特別展「フランスが夢見た日本―陶器に写した北斎、広重」と法隆寺宝物館、それに本館&東洋館の常設展示と全部見たらほんとに丸一日かかりますね。
さあ、後半も暑さに負けず行きますよ


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コメント (3)
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