あお!ひー

叫べ!いななけ!そして泣け!雑多なことを書いてみる。

特別展「対決-巨匠たちの日本美術」前編(東京国立博物館)

2008-07-26 09:38:55 | アート系


待ちに待った特別展「対決-巨匠たちの日本美術」へ行ってきました。

土日は絶対に混雑するだろうと踏んで、代休を貰った水曜日に行きました。といってもこれは先週の水曜日。

しまった、見てからもう10日も経ってしまった。。。

本当はあと2回見て、何回かに分けて書きたいのですが、それやってると8月に突入しちゃうのでもう書いてしまおう。でも、一気に書くのは無理なので2回に分けて書くことにします。

にしてもこのラインアップ!

運慶 vs 快慶  ―人に象る仏の性―
雪舟 vs 雪村  ―画趣に秘める禅境―
永徳 vs 等伯  ―墨と彩の気韻生動―
長次郎 vs 光悦  ―楽碗に競う わび数寄の美―
宗達 vs 光琳  ―画想無碍・画才無尽―
仁清 vs 乾山  ―彩雅陶から書画陶へ―
円空 vs 木喰  ―仏縁世に満ちみつ―
大雅 vs 蕪村  ―詩は画の心・画は句の姿―
若冲 vs 蕭白  ―画人・画狂・画仙・画魔―
応挙 vs 芦雪  ―写生の静・奇想の動―
歌麿 vs 写楽  ―憂き世を浮き世に化粧して―
鉄斎 vs 大観  ―温故創新の双巨峰―

活字でこれだけ並んでるのを見るだけで体温が上がりそう。

実際に見る前に気になってたのは永徳 vs 等伯、若冲 vs 蕭白、応挙 vs 芦雪。

で、見てみたら長次郎 vs 光悦、仁清 vs 乾山のジャンル的にちょい苦手なの以外はどれも楽しめました。

せいぜい1時間半あればいいかなあと思ってたのですが、普通に見て2時間半かかりました。

見直したりすると3時間かかりますよ。ある意味でものすごく危険な展示です。


○運慶 vs 快慶

やっぱり仏像大好きって実感しちゃう。

地蔵菩薩坐像は表情があってよろし。

でも、快慶の地蔵菩薩立像の彩色にみとれてしまう。


○雪舟 vs 雪村

正直、そんなに意識してなかったのですが、傑作ばかりで圧倒されました。

雪舟の慧可断臂図が秀逸。


達磨の弟子になるためにその覚悟を左手の切断という形で提示する慧可。

痛みを超絶した恍惚の表情。

達磨の体を描く墨線の部分だけはポップ。にもかかわらず、背景の描き込みは対照的に細かい。

雪村の蝦蟇鉄拐図も可笑しい。

蝦蟇仙人のあやつる3本足のカエルからエクトプラズムちっくなのが弧を描いて吐き出されてる。

その先には鉄拐仙人の口から吐き出されてる弧の先と呼応するという構成。

その構図よりも一度みたら頭から離れないくらいのインパクトのある蝦蟇仙人の表情に目がいってしまう。


○永徳 vs 等伯

檜図屏風 vs 松林図屏風、国宝対決。

なのですが、どちらもそれぞれに見てるので初見時の衝撃はさすがにないんですよね。


檜図屏風


松林図屏風

檜図屏風は去年、京博の「狩野永徳展」で、松林図屏風は東博で出会っています。

ですが、やはり2つを並べてみるとすごく対照的。

カラーとモノトーン。画面いっぱいの満載感と空間の引きを使った構成。

一生懸命にじっくりと乗せた絵の具とうりゃっとばかりに勢いで描いた筆の跡。

でも、そちらも好きな作品です。

檜図屏風はそうそうお目にかかれないのでこちらのほうを長く見てました。


○宗達 vs 光琳

風神雷神図屏風を見られるのは8/11から。これがメインとなるのは間違いありません。

でも、いい作品がありますね。

宗達の蔦の細道図屏風。

これ、空間の切り取り方がすごいのです。

金地ベースの手前を横切る濃い緑。これはまあ、地面の緑でしょう。

問題はその両者の間を川が流れるかのような金地に藤(?)。

このデザインには感服しました。

じわりじわりととんでもないなあというのが分かるのが面白かったです。

光琳は白楽天図屏風。

まず、うねる波に目を奪われるのですが、実はこちらも緑が重要です。

画面左に山から連なる陸を緑で描いてるのですが、ほんとならその上に波が描かれているはず。

ところが波を描いた上に緑の陸が描かれてる。かと思うと先端では逆転してて位相の描写がおかしくてくらくらしちゃう。

さらにその間隙を縫って金雲が描かれててこちらは微妙に端々がグラデ入ってるのがまた罪作り。

反則だなあと思いつつもやはり魅了されてしまう。やはりとんでもない作品ばかり。

というわけで前半はここまで。


<ブレーク>


じゃーん。

やっぱりやっちゃいましたよ、缶バッジのがちゃがちゃ。

今回の展示の告知ビジュアルで大活躍の各絵師は山口晃さんによるもの。

自画像が残ってるひとのは参考にしてるとは思いますがほとんど想像で描いてる。

がちゃがちゃは4種類。というわけでそれぞれ一回ずつトライしてみました。200円は適当です。300円は躊躇しますからね。

長次郎

蕭白


雪舟

芦雪

なかなかいいお土産です。さて、次回またトライしてみます。若冲と応挙は絶対に欲しいなあ~。

<追記>
ということで後編をアップしました!
つづきはこちら↓
特別展「対決-巨匠たちの日本美術」後編(東京国立博物館)

『対決 ‐ 巨匠たちの日本美術』のすべてを楽しむ公式ガイドブック (ぴあMOOK)

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15 コメント

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ワタシでも (bleu et rouge)
2008-07-26 10:12:17
対決展。JRの大きなポスターで気になってました。美術に疎いワタシでも行きたいと思わせる上手い仕掛けです。
スゴク混むんだろうな。たぶん入場するだけで疲れてしまいそう。でも、行くなら早い方が良さそうですね。
返信する
私も。 (sawa)
2008-07-26 18:52:16
行ってきました!
金曜日の午前に行ったのですが、
混んでいたけどなんとか見れる感じでした。
お昼はレストランとかめちゃ混みのようでしたが。

この展示本当に良かったです!
缶バッチのイラストもステキでしたよね!
雪舟と雪村の作品の違いが分かるような、分からないような…
作品によって。

時代によって絵の傾向が変わっていくのが
おもしろいなと思いました。
後半デザインの要素が強くなって行く。
返信する
コメントありがとうございます (あおひー)
2008-07-27 11:27:28
>bleu et rougeさん
今回、宣伝が半端ではないですよね。
井の頭線の渋谷駅にもたくさんポップがあって壮観です。
独立行政法人ですから、ちゃんと利益を出してやってかなくてはならないのでそのあたりで真剣なんだと思います。
金曜の夜は8時まで空いてるのでそのあたりで行かれるといいかもしれません。
是非、行ってみてください。

>sawaさん
やはり混んでましたか。
わたしの行った日も混雑しててレストランは2つともいっぱい。昼ビールを断念しました

みごたえのある内容だったと思います。
なかなかこれだけの作品が一同に会する機会ってないと思います。

>後半デザインの要素が強くなって行く。
なるほど~。言われてみるとそうですね。時代によっての変化というのはありますよね。
返信する
対決展 (とら)
2008-07-27 12:01:38
ジックリ観ると、いくら時間があっても足りません。好みはそれぞれですね。後期にも行ってみたいと思っています。
返信する
これは (KIN)
2008-07-27 13:11:17
後期もいかねばならないですね。
でも後になればなるほど混みそうだなぁ(特に
お盆+風神雷神期間)。
感想の後半も期待してます!
バッチはなかなか欲しい物が出て来ない・・・。
返信する
Unknown (ruru)
2008-07-27 17:15:15
雪舟は私も今回見るまでさして気にかけておりませんでした。
ですが、かなり感動~
ダヴィンチと同時代にこんなに素晴らしい日本画が...と思うと嬉しくなり、益々日本画に傾向していく自分を感じました。
後期も楽しみですね
返信する
本当に凄かったですね (palpal)
2008-07-27 21:07:15
こんばんは。
TBを頂きまして有難う御座いました。
興奮しながら鑑賞したので、かなり時間を掛けて観ていたのですがあっという間でした。
私が行った時はそれほど混んでいなくて、じっくりと鑑賞していらっしゃる方が多かったのですが、「単眼鏡」を持っている方が多かったんです。
最近私も単眼鏡を買おうかなーと思ったいたので、特に目に入ったのかもしれません。
あおひーさんもお持ちなんですよね?
使い心地などはいかがですか?
よろしければ教えて下さい。
返信する
あと2回は・・ (ogawama)
2008-07-27 21:18:41
初回はちょっと肩に力が入っていたので、次回からはゆったりマイペースで鑑賞したいです。
若冲・蕭白のあとは気力がしぼんじゃったし。
でも、全篇すごく楽しいですよね。
図録を見ると頬がゆるみます。
返信する
大変な、対決 (あべまつ)
2008-07-27 22:46:43
こんばんは。
当方にコメントTBありがとうございます。
私も見てから記事にするまで時間がかかりました。
日本のお宝続出ですからね。
見る方も気合いはいります。
後期の風神雷神対決、東博の会場がどうなるのか、
楽しみです。
返信する
Unknown (一村雨)
2008-07-28 05:54:49
風神雷神の頃にもう一度出かける予定ですが、
ただでさえ混んでいるようなので、どうなることやらと
思っています。
返信する

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