Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

イーストの働き

2018年07月25日 | パン

今までは、デンプン側からの解糖系を見てきたのですが、次はイースト側からの糖分解を眺めようと思います。出芽酵母(イースト)は出芽によって増える酵母の総称です。パンを作るには普通サッカロミュケース・ケレウィシアエ( Saccharomyces cerevisiae、サッカロマイセスセレビシエは英語読みです )を使います。

出芽酵母は嫌気呼吸をして、他の生物のように乳酸発酵を行わず、イーストが備えている細胞内取り込み酵素と分解酵素によってアルコール発酵が進められます。

分解酵素は3つあります。( 遺伝子操作によってラクトース等の分解酵素を持つようになったイーストもありますがここではそれについては触れないことにします

マルターゼ、サッカラーゼ、チマーゼです。小麦粉内にある糖類(4%程度)はこの3つの酵素によって分解、解糖され。最後にエタノール、炭酸ガス、水になります。

 合わせて約0.5%存在する小麦粉内に存在する糖類( グルコース、フルクトース、マルトース )はマルトースの、加水分解を触媒して単糖のグルコースに変換するマルターゼによって分解されます。( 小麦粉内の、アミラーゼによって最終的にマルトースになったデンプンも上と同じ手順でマルターゼによって分解されます

 グルコースとフルクトースが α-1,2- グリコシド結合した二糖類のスクロース( 1)、フルクトース分子の重合体であるフルクタン( 0.72.9% )、フルクトース、ガラクトース、グルコース分子が1つずつグリコシド結合で連なった三糖のラフィノース( 0.5% )は、フルクトースを認識して加水分解するサッカラーゼ( saccharase, E.C. 3.2.1.26、別名インベルターゼ,インバーターゼ( invertase )、インベルチン( invertin )により分解されます。

チマーゼ ( Zymase ) は、スクロースをエタノールと二酸化炭素に発酵させる酵素複合体です。

 (この部分は非常に重要なところで、今まで読み進めてきた苦労?が報われるか、否かの場面です。)

 それにしても、これらのやり取りが全てイーストの細胞壁でなされていることには ( Nilsson and others 1987 ) 驚きを禁じえません。小麦粉に含まれるスクロースの分解は素早く、ミキシングを始めてから減り始め最初の発酵時には消失しています。フルクタンは30-80%にまで減っています。