Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

発酵~活性

2018年07月15日 | パン

発酵~活性

パンを作っていて分からないことの一つに、膨らみの減退があります。(イーストを使って2回膨らませるところを3回膨らませたり、2倍の大きさに膨らませるところを3倍に膨らませてから成型したのちにオーブンの中に入れると大きく膨らまないことがあります。イーストは分裂を約25回繰り返し死んでいくと聞いたことがあります。母酵母から分裂したイーストは親と同じ回数分裂して死んでいきます。)

そこで疑問生じます。

『アミラーゼはいくらでも、際限なくデンプンに働きかけてマルトースを作ると思っていたのですが、限界はあるのでしょうか。補因子であるカルシウムイオンが生地の中で消費されてしまった結果膨らまなくなったのでしょうか。)イーストの働きが減退するのは、イースト自身に問題があるからでしょうか。それとも酵素が絡んでいるのでしょうか。あるいは別の要素が?pHあたりかも。』等という。 

こうやって疑問点を書きだしてみると、すぐさま疑問が解決するわけではないけれど、濁りきった頭の中が整理され、見通しがきくようになってきます。(気のせいかな?)別の方向から眺めることが出来るようになります。

 イーストは再生が繰り返されることは紛れもない事実です。現に自分で作り出したライ麦のサワー種、小麦粉のサワー種、パネトーネ種は何週間、何か月間も生きています。水と小麦粉を継ぎ足すだけでいまだにイーストを追加で入れたことがありません。・・・・・・ここまで書いてきて、はたと思い当たりました。そうなんです。イーストの活性が落ちた時には、水と小麦粉を追加すればいいんだ。

同じように考えれば、アミラーゼの活性が低下した時には、水と全粒粉(グリュオのような)を入れればいいんだ。

 

モルト(麦芽)https://ja.wikipedia.org/wiki/麦芽 から 

植物の種子の中には不活性のアミラーゼが多量に含まれています。発芽によって酵素が活性すると、種子中の澱粉質が糖化され麦芽糖が生成されます。高い酵素活性を発現するのは、根と芽が出て光合成が可能になるまで、成長に必要なエネルギーを種子中の澱粉質から得る為の生体メカニズムです。このメカニズムは全ての種子に共通しますが、種類によって異なり、米やとうもろこしは比較的酵素の量が少なく、食用に適する穀物の中では大麦が最も酵素の質、量ともに優れています。 

そこでこの大麦のモルトを作ってそれを製パンに活用しようということになります。市販品はたくさん出ています。 

     

これは大麦から作った麦芽を乾燥したのちに、粉末状にしたものです。

これを使うとハード系のパンにきれいな焼き色を付け、ボリュームを出すことができるとうたっています。( 含まれているアミラーゼが糖化を促す結果であることはもう理解出来ました。) 

フランスパン、ベーグル、プレッツェルなど発酵時間が数時間、あるいは一晩になる場合、生地の中の麦芽糖(マルトース;デンプンの直鎖部分に相当するα-グルコース2分子がα-1,4-グリコシド結合した二糖類)の量が少なくなり発酵が行き詰まることになります。そのためにアミラーゼを入れてマルトースを作らせ、発酵を促すとともに、マルトースのもうひとつの性質-糖であることを利用してパンの表面をカリッと仕上げます。 

アミラーゼ単独の商品ではなく、大麦の粉末であるところがみそです。

 

https://www.acanadianfoodie.com/2015/12/11/homemade-diastatic-malt-powder/ には自家製モルトパウダーの作り方が紹介されています。