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2年ぶりの上海映画祭~2023年第25回上海国際映画祭開催

2023年06月14日 | エンタメの日記
6月9日から第25回上海国際映画祭(SIFF)が始まりました。開催期間は2023年6月9日~6月18日までです。


昨年の上海映画祭はロックダウンの影響で「来年に延期」されたので、2年ぶりの開催となります。
上海映画祭は市内の映画館で各国の作品が上映されると同時にコンペティション(「金爵賞」)が行われます。2022年のコンペティションにエントリー済みだった作品は2023年度に審査が持ち越されるという意味で、「来年に延期」という表現が用いられました。
上海映画祭はアジア地区の映画祭としては、釜山、香港・東京に次ぐ影響力を持っていると言われていますが、アジア内で4番目という位置付けからしてコンペティション部門への注目度はそれほど高くはありません。ただし、中国では日頃海外映画が劇場公開される機会が少ないので、普段は観ることのできない海外作品や旧作・名作を観るために上海映画祭には大勢の観客が詰め寄せます。

今年は上海市内41の映画館、50スクリーンで約450部の作品が上映されました。そのうち世界初公開作品は53作です。
チケット販売プラットフォームによるとチケット発売開始から1時間で30万枚を売り上げたそうです。
映画祭では大人数を収容できるスクリーンが求められますが、1000席規模の大型映画館は限られているので、普段は演劇用に使われている劇場も映画館として臨時使用されます。
昭和の時代には日本に1000席規模の大型映画館はいくつもありましたが、新宿ミラノ座が閉館(リニューアル)されたことで1000席以上の映画館は姿を消しました。上海でも1000席規模の大型映画館は持て余す傾向にあり、徐々に減っています。純粋な映画館として残っているのはSFC上海影城と1928年開業のクラシック映画館「大光明電影院」くらいです。普段は滅多に満席になることのない1000席規模のスクリーンも、上海映画祭ではほぼ満席の状態となります。

上海映画祭のチケット価格は徐々に上がっており、2023年は60元~180元の間で細分化されています。
普通の旧作70元(約1400円)、新作90元(約1800円)、4k版120元(約2400円)、140元(約2800円)といった設定で、90元か120元の作品が多いです。2017年頃までは一律60元だったので、この数年で急激に値上がりしたと感じます。

今年の上映作品は例年と比べると話題作に欠ける感じがするのは否めません。
それはコロナの影響もあり世界的に映画の制作ペースが落ちているためかもしれないし、映画の内容・スタイルが多様化しているため「話題作」が何か分かりにくくなっているのかもしれません。

2023年上海映画祭の話題作
・「シン・エヴァンゲリオン劇場版」(2021年)
・「ラストエンペラー」(4k修復版)ベルナルド・ベルトルッチ監督 
・「悲情城市」(1989年)侯孝賢監督台湾映画
・「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」(2022年公開)ミッシェル・ヨー主演。米国華人を主人公としたSFコメディ。アカデミー賞で多数受賞した米国映画。

現在、niko and...上海南京西路店で「EVA×niko and...」コラボを開催中です(開催期間:2023年5月27日から7月9日)。
コラボ初日の週末にはファンが殺到し、店頭コラボ商品の品切れ、カフェのコラボメニューの販売一時中止などが生じました。そのため2週目以降の人出はやや落ち着いています。




上海影城がリニューアル
第25回上海映画祭に合わせてメイン会場であるSFC上海影城がリニューアルされました。
上海影城は1000人以上収容可能な扇状に広がる一層式の巨大スクリーンを持つ劇場です。1991年開業で老朽化はしていませんでしたが2023年に改装されました。改装後は、エントランスエリアが展示、出店、カフェなど映画以外の商業・交流スペースとして利用できるようになります。


白く流れるような立体的な外観で写真映えします。上海影城は映画祭に間に合わせるべく改装工事をかなり急いだようで、外部のカフェや上層階はまだ工事中で、上映中にもドリルの音が鳴り響いていました。



毎年驚くことなのですが、上海映画祭では沢山の中国の若い人たちが古い日本映画を観に来ます。アニメを含め、上海映画祭では相変わらず日本映画の人気は高いです。
映画祭初日の6月9日(金)夜は「犬神家の一族」(1976年公開)が上映されました。1008席の“アジア最大のドルビースクリーン”で上映され満席になりました。


2年ぶりの開催のせいか、今年は観客のマナーに関する衝突が特に多いように感じます。
まず、遅刻してくる人が多いです。
単純に遅刻してくる人もいれば、映画祭のスケジュール上、1日に複数の劇場をハシゴしているため移動が間に合わず遅刻してくる人もいます。
スケジュールの問題とはいえ、移動時間をよく計算せずにチケットを買ったり、若干遅刻することが分かっていながら購入する人もいます。

そのほか、上映中のおしゃべりや飲食、そしてスマホに関する問題が多いです。
上映中にスマホをいじる人のディスプレイの明かりが邪魔、スマホでタイトル映像などを撮影する人といったマナー違反行為に対し、
他の観客から叱責の怒号が飛び、劇場が緊張に包まれることもあります。
映画観賞マナーに対する考え方の違いは大きく、「たかが映画のことで、そんなに厳しいことを言う必要はない」と思っている人も多く、実際、普段の映画館ではスマホの扱いに対する意識は緩いです。
また、映画のタイトル映像や特定のシーンを撮影したがる人はすごく多いです。
スラムダンク映画版「THE FIRST SLAM DUNK」が4月に中国公開されたときも、隠し撮りというより上映中の記念撮影行為が大きな問題になりました。
作品のために観に来ているファンと、作品は作品で好きだけれど自分が楽しむためのアトラクションと考えている人ではスタンスが異なり、一つの狭い空間に2時間も一緒にいるのはお互いに苦痛なことかもしれません。
映画祭でマナーを注意する人を「映画警察」として煙たがっている人もおり、さらに摩擦が生じるのではと心配になりますが、こんな喧嘩まがいのことが起きるのは客層が若く活気がある証拠だとも思います。
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