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韓国ミュージカル「トゥーランドット」上海公演を観てきました~~ミュージカル俳優イゴンミョンさんの魅力

2014年11月04日 | エンタメの日記
韓国ミュージカル「トゥーランドット」を観てきました。この作品は、第16回(2014年)中国上海国際芸術祭出品作品の一つとして上演されました。K-POPアイドルが出演することで日本でも認知度が若干上がっていますが、韓国はミュージカルが盛んです。


上演日:2014年11月1日、11月2日 19:15~(合計2公演)
場所 :上海東方芸術センター 歌劇庁(1015席)


チケット:480元/380元/280元/180元 (480元=約8500円、180元=約2700円。※海外ミュージカルとしては非常に低価格に設定されています)

本作品は大邱国際ミュージカルフェスティバル(Daegu International Musical Festiva、通称DIMF)の作品として上海芸術祭に出品されました。2010年に韓国で試演された後、2011年第5回DIMF(大邱国際ミュージカルフェスティバル)の開幕作品として上演されました。
DIMF公式サイト:http://f.dimf.or.kr/

今回2014年11月の上海公演は、トゥーランドットをパク・ソヨン、カリフ王子をイ・ゴンミョン、召使のリューをイ・ジョンミが演じました。



■チケットサイト 大麦(damai.cn)サイトの写真 出典:http://item.damai.cn/73331.html






韓国ミュージカル「トゥーランドット」は、オペラ「トゥーランドット」をベースにしていますが、以下のような改編が加えられています。
まず、原版にある中国的な要素はほとんど排除されています。舞台設定は中国王朝の宮廷ではなく、ファンタジー系ゲームの世界のようなビジュアルです。
また、音楽は韓国ミュージカルオリジナルなのではと思います。有名な「誰も寝てはならぬ」など、プッチーニのオペラ楽曲は使われていないような気がします。
狂言回し的な役割を果たす大臣たちは本来3人ですが、4人になっています。
物語の中核となる「3つの謎解き」の内容と答えは、書き換えられています。
トゥーランドットの母親が登場します。トゥーランドットは母の死に由来する恨みと呪いによって、氷のような残酷な心になるという背景に重点が置かれており、トゥーランドットと母親の妄執が物語の鍵になっています。
主要キャストはまったく踊りませんが、モブダンサーの動きはアクロバティックな要素が盛り込まれており、衣装や髪型も前衛的です。

韓国ミュージカルならでは・・・・と思うところ。

まず、女奴隷のリューが、アイドルのようにかわいらしくて、とても奴隷や召使には見えませんでした。
衣装や髪型、メークが、造形としては非の打ちどころのないプラスチックな美しさでした。K-POPアイドルのようです。
衣装、メーク、顔、スタイル、造形的な美しさという点では、メインキャストの3人は本当に美しかったです。豪華な衣装を着こなすスタイルもさすがです。
特にカリフ王子を演じたイ・ゴンミョンさんがものすごくかっこよかったです。
背が高くて180cmくらいあるのではないでしょうか。長髪に、中央アジアの荒野を旅する若者風衣装が非常によく似合っていました。色白で非常に若く見えるイケメンミュージカル俳優です。歌も芝居も上手いですが、立ち姿の美しさが圧倒的です。背が高いというのは非常に大事なことだと思ってしまいました。

ビジュアルだけだなく、主役から脇役まで全体的に歌、芝居、ダンスがとても上手いです。ミュージカルが盛んだからなのか、舞台の場数を踏んでいる感じがします。

「3つの謎解き」は原版とは違ったものにアレンジされており、極端なほどの愛の追及と耽美性が色濃く出た謎解きになっています。韓国は「死をかけた愛、愛のための犠牲」というテーマを創作虚構の中で表現することに長けており、作品の個性になっています。

少し残念だったのは、主要キャストは全然踊らないことです。ゴンミョンさんが踊るのかと思って楽しみにしていたのですが、全然踊りませんでした。
また、ミュージカルとしては上演時間が短いです。19:15に開演し、21:25には終わりました。間に20分の休憩があるので、作品自体は2時間弱です。原版のオペラはそのくらいの時間なのかもしれませんが、現代的な展開のミュージカルとして演じる場合、2時間弱では時間が足りないと思いました。3時間くらいあれば、人物の背景などももう少し描けたのではと思います。

海外ミュージカルの上演は字幕が必要になります。本作が上演された上海東方芸術センターの場合、左右のスクリーンに字幕が表示されますが、見にくかったです。7列目より前は字幕スクリーンよりも席が前になってしまうので、字幕が見えません。


スクリーンが左右の壁にあるので(正面写真ではスクリーンが写真に収まらない)、中腹の席でも正面客席からはかなり字幕が観にくいです。


海外ミュージカルの上演でネックになるのは、字幕の問題かもしれません。字幕の尺の取り方、字幕文字の長さ、言い回しなど、字幕の質の重要性を感じました。

しかし一方で、ミュージカルというものは、ある程度字幕を必要としない人が見るのが前提なのかもとも思います。
中国は子供に対する英語教育熱が高いせいか、娯楽性の強いアメリカミュージカルが上演されると、高額なチケットを払って家族連れで英語ミュージカルを観に来る人がたくさんいます。観察していると、字幕はあまり必要とされていません。

11月2日(日)の公演を観にいきましたが、1階席の客の半分くらい上海在住の韓国人と上海韓国人社会と何らかの関わりがある中国人だったのではと思います。集客率は8割くらいでした。客席のマナーは決して悪くないものの、熱狂的に盛り上がるというかんじではなく、2日目最終日でしたがカーテンコールがなかったです。純粋にこのミュージカルに興味を持って観に来た中国人観客は相対的にいうと多くはないと思います。中国での韓国ミュージカルの認知度は高くないといえます。「韓国ミュージカル」が中国市場の中でポジションを得られるかは、まだ未知数です。
コメント (6)
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