グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

花粉症の季節に思う山林の所有者責任 VOl.2。

2015-03-03 11:25:14 | Weblog
花粉症の季節に思う山林の所有者責任 VOl.2。

山の問題の資料として、前回にひきつづき2005年11月の当ブログ記事
の再録3回目。内容は当時のままですが、よろしかったらご参考に[米価下
落が続けば田畑もこうなっていくのかもしれませんし
]。

 ↓

たとえばイナ作です。

あなたが イネをつくっていたとして、たとえば水田の水路の清掃や管理を
ほったらかしにしていると、

 「お宅の田の水路が草が茂って水が流れない」
 「お宅の田のあぜ草が伸びて草がはびこる」
 「お宅の田から水がせりこむ〔浸入する〕または、水が漏れる」
 「放置した田が病害虫の発生源になる」

といった苦情が相次ぐことになりかねません。

そうなんです、なんといっても平地での農業、特にそれが名だたるイナ作地
帯であればあるほど[水稲栽培における水管理というものはその土地の農地
全体の共同作業でありますから
]どうしてもこういったありようが
問題とされることも多いのです。

ところがですね、たとえ

 放置していたとしても、さほど苦情のこない土地

というものがあるんです。しかも場合によっては[放置していたとしても]
しかるべき保全作業をおこなうにあたっての・しかるべき機関や団体からの
補助がでたり、あまつさえ手助けしてもらえたりもする土地があるのです。

まさに、うらやましい夢のような話ではありませんか。

そんな夢のような土地の正体。そう、それは・・・山林です。

渇水や洪水を緩和し良質な水を育む水源かん養機能、山地災害の防止機能の
水関係に影響するもの。
そして二酸化炭素の吸収・貯蔵や騒音防止などの生活環境保全機能、レクリ
エーションの場の提供・教育の場の提供・野生鳥獣の生息の場などの保健文
化機能など多面的な機能を持つもの。 とされる山林なのです。

もっと極端な話をすれば、山林を管理する以前の問題さえもあります。
たとえば

 ● 所有しているはずの山林にいったこともない
 ● もっている山林の場所がどこにあるのかわからない
 ● 実際にいったとしても、どこが自分の山林なのかわからない

などといった、山を持っているというだけの・いわゆる不在地主さんさえも
現実には少なからず存在
するのです。

じつに不思議な話ですよね、かんがえてみれば平地の田畑以上に公益性の強
い山林を、 管理するどころか見にもいかないほどに長年放置したとしても、
農地ほどに風当たりが強くない現実
というのは。

そして思うのです、これでは自然災害も多いはずだよな、そしてこれからは
いま以上に水や土に関する自然災害が増加していくのだろうな、と。

災害をおこす可能性が高なる]伐採後3年以上放置されたままの山であっ
ても、交通量の多いトンネル出入り口付近や民家近くの傾斜地にある山であ
っても、大雨時に川をせき止める可能性のある管理不足の倒木の流出の恐れ
のある山であっても、法律的に罪に問われることがないのですから、それは
当然のなりゆきとなる。

ということで今回は、人に被害が及ぶ可能性は平地の田畑の何十倍もあるは
ずなのに、たとえその管理をおろそかにしても、さほど苦情のこない土地で
ある日本の山林についてのおはなしでした。


◎ 日本においては農地は農家の持ち物ですが、山林は農家や林家だけの
  持ち物ではない・・・というのが、❝放置❞が 増える原因なのかもしれ
  ないなとも思ってしまうんですよね、どうしても。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染