グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

土は 知っている。

2015-03-16 22:07:23 | Weblog
土は 知っている。

土の持つ記憶力は、過去の遺構ばかりを記憶するだけではありません。農作
業を例にとると、『以前に植えつけられていた作物』なども記憶します。

たとえば裏作として冬の間にキャベツやハクサイなどが植えられていた場合
は、その畝〔うね〕のあとがはっきりとしたイネの生育差となって現れます。

また、全体に散布する予定だったたい肥をとりあえず下ろした場所に植えら
れた作物は、時としてその場所の作物だけが異様にできすぎちゃったりします。

たとえば、千切りダイコン作る場合の、作業の工程でダイコンの汁がこぼれ
た場所や、ハウス野菜栽培の摘葉作業で不要になった摘葉や茎を捨てた場所
では、作物の生育がまわりよりも確実におおきくなります。

もちろんこれは肥料でも同じで、たとえば撒こうとして田にもってはいった
肥料をうっかりこぼしゃったりすると、その肥料をこぼしてしまった部分の
作物の体は[時として必要以上に]大きくなります。

そう、土は 肥料成分をもつことによって過去を記憶できる のです。

そして、おわかりになりますか。
なにごとかが起こった場所の土、その土も もちろん記憶しています。不謹
慎である言い方かもしれませんが・・・

 ● たとえば、貝塚などといったゴミ捨て場だったあとの場所
 ● たとえば、ひとや動物の集団の排せつ物が集まっている場所
 ● たとえば、かつて大規模な動物の狩猟やと殺が行なわれた場所
 ● たとえば、かつての戦死した兵士の大量の屍がすておかれた場所
 ● たとえば、戦死した兵士を集めて埋葬した場所
 ● たとえば、かつての大規模な集団墓地のあと

これらの土地では、見た目がまわりと変わらなくなっていたとしても、

 ● その規模が おおきければ大きいほど
 ● おこった時間が 近ければ近いほど

その場所の土はなんらかの養分を持ち、その養分を吸収した植物は

 ほかの場所とはなにか異なる生育

をするものなのです。

ということで今回は、作物の生育の具合をよくよく観察したり、さらに土壌
分析をおこなったりすれば、
たとえば骨の成分がおおいなとか、血粉をやったときの生育に似てるなとか
排せつ物由来の塩分が多いな
 などという

 その土地で・その場所で・過去におこったできごと

を 知ることができる・わかる と いうおはなしでした。

つづく。

◎ ベテラン農家さんが肥料をまくと均一に育つ割合が多いのに
  比較して、初心者が肥料をまくと作物の育ちが不均一になる
  割合が増加したりもします。
  ということで生育の不揃いの程度で、農家さんの技術の熟練
  度もわかっちゃったりする
のですから、土というのはほんと
  に物知り。。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「 本当は危ない有機野菜