グリーンブレーカーズ by 高木肥料店

農業の現場の おはなしなどなど。

借田でのイネの茎数を確保する工夫。

2013-08-17 15:45:16 | Weblog
借田でのイネの茎数を確保する工夫。

高齢化された農家さんなどから、イナ作を委託される農家さん〔機械化さ
れた農家さんや大規模栽培農家さんなど
〕が増えてきました。
そのような栽培を委託された農家さんにとって頭の痛い問題に、委託され
た水田の地力維持に関わる管理作業があります。

そうなんです、自分の水田でさえあれば

  作るのに手間ひまのかかる植物質たい肥
  施肥し続けることによって効果がでてくるケイカルやヨウリン

などを毎年施用し続けていくことで、植えたイネの品質や収量をじょじょ
に高めていく楽しみがあります。しかし、委託された水田ではそうもいか
ない。それは、水田の持ち主の都合ひとつで委託されていた水田を急に返
還しなければならなくなる〔急に自分の都合がつかなくなる場合だったあ
りますしね
〕場合などが、往往にしてあるからです。

それでは経費と時間をかけて土づくりした甲斐がなくなる

そこで今回ですが、そのような委託された水田のうち、とくに田植えされ
た直後のリンサンや苦土が効かないために、イネの分けつが少なめに生育
してしまう水田の対策についてのおはなしになります。

 

例年の普通作ヒノヒカリで茎数を確保できない借田があるのだが、なん
とかならないだろうか
」と、兼業農家のAさんのご相談を受けたのが、普
通作ヒノヒカリの田植えまえの4月のこと。そこでさっそく、その借田を
見にいったところ・・・こちらが想像していたとおりの、ばりばりの黒ボク田
とくにリンサンが効き難い〕でした。


 分けつ とれない田.jpg


こちらもAさんの・ご本人の持ち物である水田であるなら、ケイサン資材
やリンサン系資材による、いわゆる“数年にわたる土づくり”を、お薦め
したいところですが、そうもいかない・・・まあ当然のことですよね。こ
こ数年来のコメの価格であれば関係者なら誰でもそう考える。

そこでAさんに提案したのが

 通常どうり側条施肥機〔基準の元肥2袋〕で田植えする
 ↓
 田植え後一週間目
 ↓
 リンサンとカリ・苦土のはいった資材20キロを表層に追肥する

というものです。

実際には〔側条田植えした後の1週間目である〕6月15日にミスト機を
使用して散布してもらいましたが・・・その後のこの水田のイネが7月末
までに茎数確保していったようすはこうなります。


 分けつ経過.jpg 



こちらが7月末の茎数確保のようすとなりますが、おかげさまで平均して
1株当りで26本程度という理想的な茎数を揃えることができました。


ののののののののののののののの分けつ確保.jpg


ということで今回は、「なるべく てまひまをかけないで穂肥までに借田の
イネの茎数を確保したい」というAさんのご希望を〔最低限の投資で〕叶え
た技術のご紹介でした。
そしてもちろん、茎数管理には適切な水管理が必要。今回は中干しや間断か
ん水といったイネ栽培における前半の水管理に関するAさんご自身によるご
努力が実を結んだ収穫はまだですけれど/笑〕結果のご紹介でもありました。
→ 水管理はこちら


◎ ちなみに田植後の追肥に使用したのは多木化学のPKカタム
  0―17―17 に苦土が 5という成分割合の肥料です。

 51P4M6yKWYL__SL500_SS75_.jpg 「夢で終らせない農業起業」「里地里山複合大汚染