「肥満」「貧血」「冷え症」・・・どれもこれも健康業界が喜びそうなお馴染みの言葉である。もう随分前から、これらの文字を電車の吊り広告や本屋などで見かけるようになった。さて、と周りを見回すと、確かに太りすぎや痩せすぎの姿が目立つ。子どもらは朝礼でよく倒れるし、若い女性は電車のプラットホームで貧血で倒れる。アイスクリームが年中売れる一方、冬になれば寝床にあんかを入れたり電気毛布を敷いたり、夏でさえも毛 . . . 本文を読む
この春に4選を果たした石原慎太郎・東京都知事が、節電対策に当たって自動販売機とパチンコ業界をやり玉に挙げたことは記憶に新しい。
「自動販売機なんてやめちまえ。コンビニで買って家で冷やせばいいじゃない」
「ジャラジャラと音を立てるために電気を煌々とつけるのは、世界中で日本だけだ」
「パチンコや自動販売機で余計な電力を喰うことで日本の経済を疲弊させる」
どれも聞いてもっともな説である。パチンコも自 . . . 本文を読む
日本で捨てられる食品廃棄物は、年間約1900万トン。このうちまだ食べられるのに捨てられてしまうもの、いわゆる「食品ロス」が500万から900万トンもあるという(2005年度データを基にした総合食料局の推計)。
どうしてこんなに捨てられるのだろうか。こんなに食べものを粗末にして、なにか不都合は生じないのだろうか。いやその前に、1900万トンという数字を、私たち自身の身近な感覚に置き換えるとどれほ . . . 本文を読む
世界最古の虫歯は、ザンビアで発見された12万5千年前のカヴウェ人骨(ホモ・エレクトスからホモ・サピエンスに進化する中間形らしい)に見られるという。当時、人類は果実や葉などの植物を中心に食べていた。
その後年代が下がって、ヨーロッパで発見されたネアンデルタール人(20万年~2万数千年前)やクロマニョン人(4万〜1万年前)の頭骨にも虫歯が発見されている。この頃はまだ農耕が始まっておら . . . 本文を読む
砂糖は実は胃にも腸にも悪い。消化がいいか悪いかなんてものじゃない。単に不調にさせるのではなくて、機能を停止させ、臓器の位置までも変えてしまうのである。
まず砂糖を摂取した時の体の反応として「糖反射」というものがある。
胃の中に食べものが入ると、胃は消化活動を行うと同時に、およそ15秒に一回の割合で動いて内容物を腸の方へ絞り出す。しかし糖分が入ってくると、なぜか胃の動きがピタリと止まるのである . . . 本文を読む
ところで「砂糖を食べると体が冷える」と言われるが、それはどうしてなのだろう。この問題もまた医学的にまだ充分に立証されていない面があるので賛否両論、さまざまな意見があるが、しかし砂糖を摂る量や回数が増えると次第に体が冷えてくるのは本当である。私自身もそれを体験している。
それを解明するためには、まず人体がを体を温めるメカニズムを知っておく必要がある。
一般に哺乳類と鳥類は自律的に体温を制御する . . . 本文を読む
以上でわかるとおり、純度100%に近い高度精製糖はもちろんのこと、精製度の低い黒砂糖も含めて、砂糖は他の食品と比べて組成が著しく偏った「化学物質」なのである。自然界に焼酎やエタノールが存在しないのと同じように、「砂糖」という物質もまた存在しない。だからヒトは誕生以来およそ700万年の長きに亙ってこのようなモノを口にしてこなかった。よって我々の生体は、それを有益なものとして摂取する仕組みを持ってい . . . 本文を読む
外食の折、その日は週末だったので店内には家族連れが多かった。小さな子どもらと席に着いた若夫婦が「ほら!おいしいから食べなさい」などと言いながらわが子に料理を食べさせようとする。それはそれである意味微笑ましい風景なのだが、当の子どもたちはと言えば、コップを抱えて席を立ち通路を行き来すること多い。見ると奥には「ドリンクバー」のコーナーがあって、そこで思い思いにジュースを注いでいるのだ。
そうか、子 . . . 本文を読む
発生時刻 1923(大正12)年9月1日 午前11時58分44秒
震源地 相模湾北西沖80km
地震の規模 マグニチュード 7.9
今からおよそ90年前に関東地方を襲った巨大地震は、東京・横浜を始めとする日本の中枢部に壊滅的な打撃を与えた。世に言う「関東大震災」。折しも土曜日。下町に正午の「ドン」が鳴る直前の出来事だった。
死者・行方不明者 10万5385人
負傷者 10万37 . . . 本文を読む
この課題に取り組むにあたって、まずは一日二食と三食の人体に対する影響の違いを見てみよう。食の問題はヒトという種の食性を抜きにしては考えられない。ヒトが少なくとも有史から近代までの数千年間一日一食ないしは二食だったのには、なにか生存上・健康上の理由がなかったのだろうか。
例えば、食餌療法によって数多くの病気、難病、体調不良を治してきた甲田光雄医師は、著書「小食が健康の原点」の中で次のように報告し . . . 本文を読む
有史以来長い間、日本人は一日一食、ないしは二食(平安から近世まで、概ね昼の10時~12時頃と、16時~18時頃)の生活だった。それが一日三食に変わったという、その起源は文献上では安土桃山時代に遡る。時は戦国、合戦に望む兵は、どのような状況でも食べれるように各自携帯食を持参していた。また戦時中とて当然ながら食事も不規則になり、「食べれるときに食べておく」式の食形態になることしばしばだった。
余談 . . . 本文を読む
咀嚼の習慣の形成と密接に結びついているのが、主食である「米」の食べようである。
今まで見てきたように、日本の庶民が白米を食べ始めたのは古くは江戸時代、爆発的に普及しだしたのは明治から大正、昭和初期にかけてである。しかしこのことと、明治以降の肉食・洋食化の進展とが相まって、当時の社会ではさまざまな病気が起こっていた。
ビタミンB1不足による脚気だけではない。今日でいうアレルギーや喘息、結核、原 . . . 本文を読む
次に源頼朝の食事(12世紀・鎌倉時代)を見てみよう。玄米おこわにイワシの丸干し、味噌汁と梅干。なんだか平安期の貴族の食事より質素である。しかしまあ、平安貴族が豊かすぎたのだから、これも本来の食の姿に復する形になったとは言える。また貴族と違い肉体を動かして仕事に当たる武士階級は、奢侈を戒め質素を旨とし、白米を食べるなどという習慣を好まなかったのも事実だろう。日本の食の歴史を紐解くに、平安貴族層と現 . . . 本文を読む

