今日は折りよいこともあり、わが家のアポロについて話そうと思うのだが、
彼がわが家の家族になったのはちょうど2年前の夏(それは確か長らく続いた梅雨が明けたかどうかという頃だったと思う)、ある日ここにふらりと現れて私に激しく食べものをせがんだのだった。
山に捨てられた猫たちはみな一様に痩せこけて、栄養失調による皮膚病や蚤やダニなどに全身をたかられてる場合が多い。彼も例に漏れず背中を中心にして所々 . . . 本文を読む
ひと度走り出した長距離ランナーがそうであるように、日常の時間と情景はたゆまず流れ続けているのだが、しかしその間にもいつしか世の中目覚しく進歩しているようで、日本の田舎を代表する(に近い)ようなこの山里にもこの夏光ファイバーが敷設されました。家屋数28戸の隠れ里にどうして?と思うだろうけれど、実は私の住むこの江刺(今は市町村合併で「奥州市」となった)、意外なことになににつけ新進気鋭の政治家や人材が . . . 本文を読む
今日のお客さんは、スミナガシ
扉を開けたらひらひらパラリ
玉虫忍者のよそおいで、僕がくるのを
たぶん夜明けの頃から待っていた
待ちくたびれたのかい?
大きな羽で、吐く息吸う息
きらめく朝の陽射しの中、玄関先で出迎えてくれた蝶。手元の小さな図鑑を開いてもわからずに、昼に図書館に行ってやっと見つけました。スミナガシ。そういえば羽模様が、目も綾な水墨画のようにきれいだった。
わが家の玄関には時折蝶の . . . 本文を読む
木の葉の陰が暗くなる時分、ヒグラシが鳴き始めた。
ああ、今日も終わるんだな。とりあえずビール、とシュワリと泡のはじけるカップを傾けながら、ひと時最盛を極めたひとつのことがまたこうして幕を閉じるというささやかな感傷に浸る。この時間になると流れ落ちる汗も峠を越して、程よい肌の湿り具合がかえって涼しさを呼び寄せる。林の向こうからおぼつかなげな運搬車の音が聞こえる。まだ隣りのおじいさんは働いているみた . . . 本文を読む