アグリコ日記

岩手の山里で自給自足的な暮らしをしています。

眩しき春

2008-03-27 22:31:20 | 暮らし
 田んぼにがっしりと張った氷が溶けたのは、3月に入って間もなく、そう、そういえばちょうど啓蟄の頃だった。昔の人はよく言ったものだね。啓蟄なんて、本当にうまく言い当ててる。この頃雪解け水が地面に沁みこんで、とんがった土くれをじわりと緩ませる。おおい、そろそろ出番だぞ。今年の春は少うし早いぞ。そんな呼び声がそこらここら、畦や土手の枯れた草むらなどから湧いて出る。そこでひょっこりと顔を出した所が、水を満 . . . 本文を読む
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梅干の復権

2008-03-21 21:04:46 | 暮らし
「梅干うどん」という新メニューを開発した。  朝にうどんを茹でながら、なんとなくこの丼の中に梅干を落としてみたら、合うんじゃないかと思った。視線がチラとたまたま傍らの梅干の瓶に行き当たったというだけなのかもしれない。一昨年漬けた2年モノの梅。置くほどに酸味が強くなってきていて、今やちょっとやそっとの物言いには動じない、わが家の梅干婆さんならぬ「古強者」のひとりである。  その日の献立はチャボを煮込 . . . 本文を読む
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小さな社会

2008-03-17 19:05:58 | 思い出
 もうだいぶ昔のことになるけれど、ふと思い出したことがある。  その時僕はある小さなグループの世話役を務めていた。ひとつひとつの細かいことは忘れたが、確か何かのプログラムを決める話し合いをその時していたのだと思う。五六人の子どもがテーブルを囲んで、期間中の行動計画を立てようとしていた。どの子もその日か前日に初めて会ったばかりで、洗いざらしのジャケットの上にみんなよそ行きの顔を拵えていた。 「できる . . . 本文を読む
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帰らない鶏たち

2008-03-14 21:05:37 | 暮らし
 外は雨が降っていた。黄昏を迎え薄暮を過ぎても雨足は衰えない。もうそろそろ行かないと。私は夕食の箸を置いて帽子を被り、手に小さな懐中電灯を携えて戸外に出た。  夕方の餌時に小舎に入らない鶏がいる時がある。餌は基本的に朝夕二回。雨や雪じゃなければ、その間の日中はできるだけ彼らを外で遊ばせるようにしている。冬の間はそうでもなかったが、昨今のように暖かい日が続くと彼らもまた外に出たくてたまらなくなるよう . . . 本文を読む
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