手紙ありがとう。
久しぶりにみんなの言葉を聞いたら、とても懐しかった。
オーブは今まさに大切な時だし、
今回みんなに心配かけて
ちょこっと心苦しい。
でもおらちょっと疲れてしまってて、
あのままいてもみんなに迷惑かけてしまうと思ったし、
へたに相談するとみんなの士気にも影響してしまいそうで、
置手紙だけで帰って来てしまった。
虎ケン指令、怒ってるべな。
今までたくさんの相手と戦ってきたけど、 . . . 本文を読む
私が「オーブ」関連の記事を書き始めてから4ヶ月近くなる。
サイドバーの「マルちゃん・ストーリー」に収められている作品を数えてみると16にもなっている。我ながら不得手なテーマながらよくやったものだ。
しかし自己評価とは裏腹に、昨日で校了した「風雲!山ノ神」などは記事4日分で反響が無きに等しい。これも我ながら驚いたことだったが、結果的に私がBLOGを始めて以来の一番「詰まらない」記事になってしまった . . . 本文を読む
薙刀の切っ先が大きく弧を描いて一閃、二閃。
ジッちゃん!バッちゃん!・・・
マルは目を見開いて一瞬固くなった。
トラクターの座席はたちまちに覆い被さるネズロン兵によって黒山のごとく。
急ハンドル。横転するトラクター。激しく上がる雪煙。ネズロン兵たちが雪の上に投げ出される。フォークや鎌がマルの足元にまで散らばる。
と、トラクター後部に連結した作業機が動き出した。転倒した弾みでPTOの . . . 本文を読む
4. 暗殺剣
一方林の中では、マルがひとり雪の上に立ち竦んでいた。
目の前には緑色のカメレオンジャー。
ところどころにネズロン兵の黒装束と槍が散らばっているところを見ると、どうやら兵たちは全滅したようだ。その代わりマルも無傷では済まない。綿入れといいズボンといい、あちこち切り裂かれてぼろぼろになっている。ところどころ赤く滲んでもいる。
「ほう、さすがはオーブ戦士よ。我が手塩にかけた兵では . . . 本文を読む
「やっ! オメえは、ネズロンだな!」
「その通り、俺の名はカメレオンジャー。先のキヌサヤビルでは兄者のカメレオンサーが世話になったようだな。
お前らオーブには再三我らが帝国建設の邪魔をされて、邪魔皇帝陛下はお怒りであるぞ。」
言いながらも徐々に狛犬の顔が変貌して来る。体も盛り上がり、色も石のそれから毒々しい緑色に変わって行った。
マルはさり気なく綿入れの袂に手を入れて、左手に装着したオーブシーバー . . . 本文を読む
1. 平蔵とお多絵
平蔵爺さんはマルの母方の祖父に当たる。
齢82。若い時分は和牛30頭を越える近在では大規模な牧場主だった。寄る年波で今ではたった3頭に減ってしまってはいたが、それでも未だに現役の牛飼い。マルの実家から車で30分ほど離れた山奥に開拓で入ったのが戦後間もなくのこと。
当時は炭焼き小屋が幾つかあるだけの山以外何も無い所だったから、牧場といっても急斜面に草原が点在しているに過ぎない . . . 本文を読む
あれは昔、まだマルが小学生だった頃の話。
ある時近所の爺さんが亡くなった。
その家は隣りに抜ける峠の辺りにあってな、
4年程前に婆さんを亡くしてから、
1匹の猫と一緒に、ひとりっきりで暮らしてた男だった。
爺さんと言っても、歳は60くらいだったか。
働き者で、朝早くから夕方遅くまで、
毎日毎日野良で稼いでいるのをみんな知っていた。
爺さんには息子と娘、ふたりの子供がおったが、
息子の方は、 . . . 本文を読む
障子を開けて顔を出したのは、カツ子のお婆さんだった。
マルも小さい時からこのお婆さんを知っている。
かなり気難しい人で、マルもカツ子もよく怒られたものだ。
確か病気になって、どこかの病院に入院したという噂を聞いたことがある。
お婆さんは、深くお辞儀して部屋に入って来た。
「あ、どうも、お邪魔してます。」
マルの挨拶を気にする風もなく、お婆さんは言った。
「どうも、おばんでがす。
いっづもカツ . . . 本文を読む
晩秋、
山里の夕暮れは早い。
日中暖かいと思っても、午後3時ともなるともう陽は山の端に隠れてしまい、
家も畑もすっぽりと日陰になってしまう。
陰の部分は見る見るうちに広がり、やがて西の空は鮮やかなオレンジ色に染まり始める。
マルは幼馴染みのカツ子の家に遊びに来ていた。
彼女とはお互い中学のソフトボール部でバッテリーを組んだ友達同士だ。
隣りだったから、子どもの頃から何かにつけて一緒に遊んだ . . . 本文を読む
ふとマルは、我に帰った。
炬燵に寝転びながらうつらうつらしているうちに、
どうやら夢を見たようだ。
でも、それは普通の夢とはどこか違っていた。
あ、そうだ。
あれはうちの猫たちがまだたくさん生きていた頃に、
実際に起こった出来事だった。
どうしてそれを10年も経った今、夢に見たのだろう。
マルは今、ひとりで東京に暮らしている。
中華料理店でアルバイトをしながらのアパート暮らし。
今はたまたまちょ . . . 本文を読む
ヨイショのふぎゃふぎゃ
ふふふのふ
もひとつふぎゃふぎゃ
うにゃにゃのにゃ
夜中に目が醒めたら、外で声がしていた。
マルが小学2年生の夏休み。
みんなが寝静まった真夜中、何かしら大勢で掛け声を掛けているみたい。
その声は遠くのようでいて微かに、
風に漂うように聞こえてくる。
なんだか眠気も吹き飛んでしまったので、マルは外に出てみることにした。
その声にはリズムと抑揚があって、何とも言えない面 . . . 本文を読む
ぬばたまの 常世の闇の 黒き淵
月と見えしが
月にあらざる・・・
漆黒の闇夜に女の悲鳴が響き渡った・・・・・
最近この界隈に、発狂する者が多いという。
ごく当たり前の人間が、ある時急に変わり、
欲望を丸出しにして、人に襲い掛かったり物を盗んだり、
果ては殺人さえも犯すという。
そういう発作的というか、発狂的というか、
そんな事件がこのところ立て続けに起こるようになった。
最初それがひ . . . 本文を読む
八ヶ岳山中
今しも高圧鉄塔を押し倒し、足元の樹林を踏み潰しながら麓の町に向けて移動する巨大ロボットに、
オーブクローラーのレーザービームが吸い込まれる。
貫通したレーザービームは足下の藪を焦がす。
ネズロボットは動きを止め、徐々に内部爆発を誘発し出した。
そして大音響とともに、ロボットは粉々に砕け散り、
樹海の藻屑と消えた。
「なんなんだよ、アイツ。
ガラが大きくて、頑丈だけがとりえのロボ . . . 本文を読む
淑大僧正と闘わなければ。
マルがイエローモールのハッチをまさに開けようとした時に、
鍾乳洞の中に爆音が響いて、ネズロン電磁波発生塔が根元から崩れ落ちた。
その時マルは、夢から醒めたかのように我に還った。
振り返ると、穴の入り口にビートルの砲身が見える。
チオリはネズロンの一斉砲火の中で偶然マルの掘り進んで来た穴に落ち入り、
そのままそこを通ってここまで辿り着いたのである。
「ほらほら、マルち . . . 本文を読む
森という森から飛び立ったネズロン空戦モンスターたちは、
レッドやブルー、ピンクのスカイオーブには目もくれずに、
一直線にオーブクローラーを目がけて飛翔した。
その様は、さしずめ草木を食い尽くすバッタの大群のようだ。
どれもこれも生物兵器としての改良を加えられているので、並みの動物ではない。
速さはジェット機並。体格は大きいものだと5mくらいはあろう。
そしてどれも、足に爆弾を掴んでいた。
上空5 . . . 本文を読む