アグリコ日記

岩手の山里で自給自足的な暮らしをしています。

乳食文化圏 5

2010-01-27 06:07:01 | 思い
 「高タンパクの食事を与えるほど、本来のスピードよりも早く成長する」ことは、動物全般に言える基本原理である。また成長と同時に老化の速度も速くなる。畜産の世界で家畜に自然の食事バランスを逸脱した高タンパク食を与えるのもこの原理に基づいている。また一昔前、日本人が西欧人と比べて年齢の割には若々しく、かつ老化も遅いように見えたのも同様だ。しかし今、日本人の成長と老化は確実に早まってきている。乳児期と成長 . . . 本文を読む
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乳食文化圏 4

2010-01-26 08:33:44 | 思い
 カルシウムの摂取量が多い国に骨折が多いという一般現象は、一名「カルシウム・パラドックス」と呼ばれている。その理由として、WHO(世界保健機関)の2002年の報告書では、「カルシウムの摂取量よりも、カルシウムを排出させる酸性の負荷をタンパク質がもたらすという悪影響の方が重い」と推論されている。牛乳は高タンパク食品であること、乳食を習慣とする国はなべて肉食をしていることなどが動物性タンパク質の過剰摂 . . . 本文を読む
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乳食文化圏 3

2010-01-25 05:43:04 | 思い
 今度は、乳食はヒトにとってどのようなものなのか、それを栄養の面から見てみよう。  人乳・獣乳を問わず、乳の主な栄養として、乳糖、タンパク質、カルシウムがある。「乳糖」は、他に自然界にはない特殊な糖で、グルコースとガラクトースからなり、乳児の分泌するラクターゼ(乳糖分解酵素)によって分解される。しかし生物学的に正常な人間は離乳とともにラクターゼの分泌は止まるので、このままでは乳糖をエネルギー源とし . . . 本文を読む
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乳食文化圏 2

2010-01-24 08:55:02 | 思い
 ここで獣乳を食用に供する民族の世界分布を見てみよう。図は、石毛直道編「世界の食事文化」(1973年 ドメス出版)から引用したものである。新大陸発見以前、15世紀を目安に世界中の乳食(生乳のみならず乳加工品を含む)文化を持つ地域を黄色で示している。緑色は、乳食をしない狩猟採集民の分布である。  ご覧のとおり、乳食はユーラシア大陸南西部分とアフリカ北部、それと飛び地としてアフリカ南端に広がっている . . . 本文を読む
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乳食文化圏 1

2010-01-23 08:52:38 | 思い
 「哺乳類」とは、文字通り「乳で子を育てる」ことから名付けられた生物群の名称である。他にこの群の特徴として、胎生であること(カモノハシ目5種を除く)、体表を覆う体毛を持つこと、横隔膜による肺呼吸を行うことなどが挙げられる。今となっては顕著な体毛こそ失ってしまったが、ヒトもまた、哺乳類の一属である。  そしてこの「授乳」の性質には哺乳類全般に見られる共通点がある。それは、「乳児期はやがて離乳期によっ . . . 本文を読む
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主食としての米 2

2010-01-18 10:03:40 | 思い
 一口に「米」と言っても、玄米と白米には栄養価に大きな開きがある。例えば次は「五訂増補食品成分表2008」から抜粋した白米と玄米の成分比較である。参考までに、パンの原料である強力粉の成分も右端に付記しておいた。 エネルギー kcal たんぱく質  g 脂質     g 炭水化物   g 灰分      g ナトリウム  mg カリウム   mg カルシウム mg マグネシウム . . . 本文を読む
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主食としての米 1

2010-01-17 14:29:04 | 思い
 日本人が米を食べなくなったと言われて久しいが、いったい昔はどれだけ食べられていて、そして今はどれだけになったのだろう。  このことを見るに、まず農林水産省が毎年公表する「食糧需給表」というものがある。次はそのデータに基づいた、1960年から2006年までの国民一人当たりの米消費量である。  これで見ると、日本人のコメ離れは一目瞭然と言える。戦後のピークであった1962年(昭和37年)の118. . . . 本文を読む
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鮭とウナギの志

2010-01-05 16:07:17 | 思い
 鮭は孵化してすぐに川を降り、3~5年の間北太平洋を回遊する。そうして成熟した彼らは、やがては自分が生まれた母川に帰ってくるのだが、その際、自分が生まれたその場所を正確に目指して来るという。また繁殖行動を開始するのも、自分の生まれた時期に合わせて行うという。  その鮭たちは、川を遡る間何も食べない。河口近くで生まれた鮭ならばともかく、上流で生まれたものならば、その地に辿り着くまでの数か月間一切なに . . . 本文を読む
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