僕の生家は農家ではなかったけれど、商売柄店のお客には在の農家の人たちが多くて、鼻の頭を赤黒くしたおっちゃんらが客あしらい上手なおふくろを相手に、湯飲みを片手にまくしたてる無駄話を、テーブルやストーブごしに耳にすることがよくあった。それは山の鳥獣のことであったり、雪の積もり具合や天候のこと、鶏や牛の世話の話や、田や畑の今年の出来柄などについてだったりした。
その中のひとつに擬卵(ぎらん)の話があ . . . 本文を読む
最近読んだ本の中に、ちょっと面白い情報があったので記しておこう。男と女は(本能として)お互いのどこに惹かれ合うかといった内容だ。出典はマット・リドレー著「やわらかな遺伝子」(中村桂子・斉藤隆央訳。紀伊国屋書店刊)。以下はその箇所についての自分なりの要約だけれど、極めて大雑把なものなので、微妙な部分では必ずしも内容を厳密に伝えているものではないことを断っておく。
調査は心理学者たちによって19 . . . 本文を読む