華やかに猫家を彩った菜の花ももう終わりに近い。
アブラナたちはもう、どの株もしっかりと莢を結んでいる。花から種へ、黄から緑へと草の外見は変わるのだけど、しかし「いのち」という視点で見れば形や色は変わっても同じものが途絶えることなく受け継がれている。
どこからが新しい生命で、どこからが古い世代なのだろうか。
毎年彼らを見ていて思う。一年草のアブラナは夏に自分の育てた種を地に落とす。それが芽吹いて . . . 本文を読む
朝まだき、猫の声で目が醒めた。
ぅうん・・・誰かな?・・アポロ?・・・
体が布団に粘着して離れない。すっかり明るくなった頃にやっとこさ戸を開けたら、なんとそこにはロッキーがいた。
ひと目でわかった。下駄箱の上にへばったように腹ばいながら、窓の外のオス猫たちに向かって唸っている。
ロッキー!・・・おい、ロッキー、帰って来たのか!
おおよそ半年振りの帰宅である。コマリン(ロッキーの母)が鼻をすり . . . 本文を読む
どうも雄鶏のとさかに不満の色が現れてるので少々・・・。
父親のチャボが不機嫌なんですよ。なんだ、昨日の記事にオレが映ってないじゃないか!親父の影がこんなにうすいなんてことに、我慢できるか!オレだってこの3週間じっと我慢してきたんだゾ!
・・どうも鶏の世界にも、インターネットが普及してるみたいで・・・
いや、こんなもんなんだよ人間界は・・・と言い訳しても収まりそうもありません。
そこで追加で少 . . . 本文を読む
日曜の夕方、小舎にピヨピヨしたもんだから、
こりゃあ、生まれたぞ!
と思ってた。
あくる日わくわくしながら覗いてみると、
案の定、産毛もあやなひよこが一羽
ちょこんと母さんの背中から顔のぞかせてる。
Fragile! ホントに赤ちゃんだね。ハゲてるみたいに見えるよおまえ!
生まれたてのいのちは神さまに近い。
弱っちいところに、だけれど無敵の強さをもっている。
やったな!おまえ!
やったな!母さ . . . 本文を読む
猫たちが食事をしてる。
例えばそのうちの、クマなどが大皿を一人占めしようとしてウウッ・と唸りながら他の猫を追い払ってしまう時がある。
そんな時、私は彼を叱って玄関から追い出す。戸外ではどうあれ、猫同士の力関係がこの場にまで及ぼうものなら、立場や力の弱い者の居場所がなくなってしまうからだ。
玄関から中、この食事の場が彼らにとって究極の「わが家」なのであり、仲がよかろうが悪かろうが私たちは家族だ。弱 . . . 本文を読む
あの枝を切るから・・・
クルミの枝が一本、屋根にかかっていた。あれは切らなきゃならない。でないと今度の冬には、雪の重みでどっちみち折られてしまう。
今年はたくさん、クルミを食べれるな。
クルミと言ったって、「実」じゃない。「芽」なんだよ。そう、桜の咲くちょうど今頃タラノメのように羽根を広げる、若葉の芽。(クルミの若芽はバドミントンの羽根を逆さに立てたように見える。)
見上げたら枝の先々にた . . . 本文を読む
ヒバの根株に刃先を入れた時に、ふと感じるものがあって頭上を仰いだ。
法面の上におじいさんが立っていた。両手に古びた新聞紙の包みを抱えている。
「あ、どうも、おはようございます。」
私は刃を抜いてチェンソーを止めた。音と振動の余韻が大気に木霊する。彼は今まで長い間そこに立っていたみたいだ。お互いに農家なので、機械を使っている人の耳には声を掛けても聞こえないことを知っている。また伐倒や草刈をしている . . . 本文を読む
モンシロチョウが飛んでいた。
ひらひらと明滅して飛ぶ姿に、しばし苗床の手を止める。
もうこんな季節になったんだね。早いものだ。これからは野菜を調理する時には、気をつけないといけないな。虫たちのいない季節には、わが家では土でも付いてない限り野菜は洗わずに調理してしまう。アブラナなんて野原から採ってきたてのものを、ブチッ、ブチッと適当に手で千切って、そのまま鍋に入れたり炒めたり・・・だから春先は気楽 . . . 本文を読む