【上の絵は、描き始めた当時のマルダヌキ】
マルダヌキを描き始めたのは、もうずいぶん昔のことだ。
あのときは夏だった。廃屋のようなこの家に引っ越してきて、1年かそこらが経った。チラシや広告の裏にいきなり筆ペンで描いた。登場人物はわが猫家の家族たちで、題材は暮らしの中にたくさんあった。子どものころ、実は私、漫画家志望だった。
描いた画用紙の束は日に日に厚くなって、次第にひとつの「物語」を形成していっ . . . 本文を読む
昔はいっぺえヒヨドリがいたもんだ。今はどこに行ったんだべ・・・
山に入ってると鷹が一直線に舞い降りてな、行ってみっと雉を捕えてた・・・
針金でこう輪をこさえてよ、それを木の間に仕掛けっとウサギがかかる。あいつらは決まって同じ道しか通らねえ・・・
年寄りたちからよくそんな話を聞かされる。冬山の動物たち、凍てついた大地で雛を育てる鳥たち、そして山里で彼らとともに暮らす人間たちのドラマの数々。
でもそれ . . . 本文を読む
「だから・・・
だからおばちゃん、許してけろ!
あん時オラたちぁ、壊滅状態だったんだ。
おばちゃんが来てくれたことはわかってたけんど、だからといってなんもできなんだ。
おばちゃん、許してけろ!」
「Q坊!
Q坊、いいのよ。
わかってる!」
「アンタたちのことは、よおくわかってる。
でも、人間がみんな、ああなんじゃないのヨ。
アタシたちと違って人間たちは、
聞こうと思わないと、 . . . 本文を読む
ポンポコ ポンポコ スッポンポン
ポンポコ ポンポコ スッポンポン
あれ?・・・
「本家のタヌキが来たわよ。」
「えっ? 本家って・・・マルダヌキの?」
「寝ていて、よくわかるなあ・・・」
「うわっ! . . . 本文を読む
あれ?・・・
「どうしたの?マルダヌキ。」
「タヌキ山の方で、なんか音がするわね・・・」
「タヌキ山?」
「そう。この向こうの、笠根山の麓にあるのヨ。アタシの本家があるの。
・・・アタシは昔、そこで生まれたのヨ。」
「へえ~~~!マルダヌキのふるさとかあ~!」
「まあね。・・・もっともアタシがいたのはもうずうっと昔で、今は本家の子どもたちが住んでるんだけどね・・・」
「ねえ、タヌキ山には . . . 本文を読む
風が乾いて冷たくなりました。
「寒い風吹くときにゃあ、稲穂も乾くもんだ。」・・・
昔と違って今はこの時期とうに脱穀まで終わってるので風に吹かれる稲架の稲穂を見ることはありません。でも一昔前はちらつく雪を見ながら稲こきをしたそうですね。遅れて12月ともなれば稲架の上に雪が降り積む。そんな時代もあったようです。
さて、このところマルダヌキがさっぱり登場しないじゃないか!またサボってるのか!と思ってら . . . 本文を読む
さて、この回ですべてが決まるっ!
犬家チーム側サービス、
出た!力にモノを言わせた、必殺、
とんこつサーブっっ!
バウウァウッ!
ボールは唸りを立てて飛ぶっ!
しかし後衛のクレオ
辛くもとったっっ!
決まった!ゴロダラリーーーン(回転伸び伸び)・レシーブ!
しかしっ!
ボールは大きく撥ね飛んだ . . . 本文を読む
タイムっ!
「駄目だ。このままじゃあまた負けてしまう。
そこで作戦なんだが・・・」
マルダヌキが前衛!
あぁっっ!
ま、前が見えないっ!
どこからボールが飛んでくるか、わからないぞっ!
おぉっ、クマ選手相手チームの盲点を突いて攻撃!
猫家チーム、完全に波に乗りましたっ!
うひゃあ~~~~っ!
うっ!
まずいっ。負けてしまう!
タイムッ!
お前ら、
犬 . . . 本文を読む
今日はとてもいい天気。猫家は家族総出で稲刈です。
「あぁ、いよいよ稲刈が始まったね。」
「そうね。本当に、猫の手も借りたいくらい忙しいワ!」
「いや、それを言うなら『タヌキの手も』だろ?
ほら、ちゃんとマルダヌキも手伝ってくれてるんだから。」
「なになに? アタシを呼んだのネ?」
おっっ!
「あ、マルダヌキ。いや・・・な、なんでもないんだよ。・・・」
「隠したって駄目ヨ。今、タ . . . 本文を読む
「えっ? マルダヌキ、学校を出てるの?」
「そうなのヨ。それも高等技術専門学校タヌキ山分校っていう、日本にもひとつしかない学校なのよ。」
「へえ~~っ! すごいんだねえ・・・」
「ふっ・・・。何を隠そう高学歴なのヨ。
高カロリー、高血圧、高学歴を、日本の社会じゃ『三高』っ . . . 本文を読む
マンドリルが手を振り回すと、辺りの立ち木がバキバキと音を立てて薙ぎ倒された。
「マルチョ! お前は急ぎ里に下ってこのことを告げよ!」
「し、しかし、師匠! アンタはどうするのヨ!?」
「あの子ども、今助けないと危ない。
案ずるな、痩せても枯れてもわしは騎士!
例えどのような状況いかなる境遇に会おうとも、おのれを越えて道をまっとうするのが騎士というもの。マルチョよ、老い先の無いここにきて真の勇気を . . . 本文を読む
「師匠! ここらでひと休みしない?
ホラ、ちょうど休むに手頃な草原があるし、この森の奥には何だかキノコがたくさんありそうな気がするのヨ。」
「・・・いや、マルチョ。もう少し行こう。
実はこの辺りは『あやかしの森』と言ってな、わしも昔通ったことがあるのじゃが・・・人があまり立ち入ってはならぬ所なのじゃ。」
「そうなの?・・・アタシャもう、腹が減ったのじゃ。・・・」
マルチョとキホーテは木立の間 . . . 本文を読む
・・・のう、マルチョ。
わしはこの歳になるまで、恥ずかしながら
動物を哀れんだり可哀想だと思ったりしたことはないのじゃが、
・・・・・・
ちょっとロバから降りて、歩いてみんか?
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