世界の国歌もいろいろあるが、君が代以外で自分にとって最も印象が強いのはドイツ国歌である。この曲はあの交響曲の父ハイドンが作曲したものである。おそらく、世界で最も有名な作曲家が創った国歌といえる。オーストリアの国歌はモーツアルトの小曲を採用しているといわれるが、偽作説も出ていて彼自身のものかは定かでない。
18世紀末にハイドンは当時の神聖ローマ帝国皇帝をたたえる曲「神よ、皇帝フランツを守り給え」として作曲した。そしてその後継であるオーストリア・ハンガリー帝国の国歌として歌われていく。しかし19世紀後半にドイツ統一が進むにつれていつの間にか歌詞も変わってドイツ国歌になっていった。
20世紀にワイマール共和国で正式のドイツ国歌となり、ナチス時代、さらに西ドイツ、そして統一ドイツへと引き継がれていく。
40年以上前の自分の中学時代、音楽の教科書に喜びの歌とともにこの歌が採用されていた。自分たちの世代では君が代以外では最も有名な国歌だったかもしれない。現在の音楽の教科書にも載っているのだろうか。
ハイドンは、この旋律を後に弦楽四重奏曲の第2楽章に使い美しい変奏曲に仕上げている。そしてこの弦楽四重奏曲は「皇帝」というニックネームで親しまれハイドンの作品でも最も有名な曲の一つになっている。自分もこの曲特に第二楽章が大好きである。
変奏曲といっても旋律自体はさほど変わっていないが、主体になる楽器が次々と変奏とともに変わって色彩も変化しいく。思わずその美しさに引き込まれてしまう。
おそらく、ハイドンのこんな変奏曲があるからこそ、今のドイツ国歌も世界中で愛され親しまれているのではないかと思う。でなければ、オーストリア国歌がいつの間にかドイツ国歌になりナチス時代でも歌われることはなかっただろう。
その点、日本の君が代は曲調そのものは荘厳であるが、もう少し「遊び」が欲しい気がする。以前、忌野清志郎がロック調で歌っていたのを聞いたことがあるが、騒がしいだけであまり良い感じはしなかった。おそらく彼は君が代に対して特別の愛着はなかったようだ
誰かこの君が代をテーマにした楽しい変奏曲を創ってくれないだろうか。モーツアルトが今の日本に現れたなら、華麗で奇抜な即興の変奏曲をつくってしまうだろう。ベートーヴェンなら30以上の変奏をもつ大作に仕上げるかもしれない。曲も最初の原曲と全然違ったものなってしまいそうだ。
おっと!今の日本でも奇想天外の天才ピアニストがいる。ショパンと都はるみを同時に奏でたりするユニークな音楽家HIROSHIである。といっても一発芸のお笑いタレントのことではない。あの鍵盤の魔術師の方だ。彼なら、君が代がモーツアルトの曲に変わったり、めだかの学校、あるいはAKBになったりするのは朝飯前であろう。そうすれば、君が代斉唱に起立でしないお硬い先生も思わず立ち上がってしまうかもしれない。
追記:実際HIROSHIには、「水戸黄門変奏曲」という名前の曲もある。「君が代変奏曲」も娯楽性が高くそれでいて芸術的なものになりそうな気がする。
それは君が代を冒涜しているなどと言う人は、これまた頭が固いと思う。問題は原曲にどれだけ敬意を示しているかに尽きるのではないか。
ブログ主の記事にまったく同感であります。国内の作曲家で、だれか手がけてくれたら・・・演奏会のアンコールで締めの一曲として普及したらよいのにと思います。
ハイドンの弦楽四重奏曲第二楽章は、いつ聴いても美しくて心にしみる曲ですね。確かに、君が代がこんな風にアレンジされると素敵ですね。
君が代は最近、大きなスポーツイベントなどで演奏されたり歌われたりして、身近な存在になってきていますが、まだ限定的ともいえます。
ご指摘のように、アレンジ曲が演奏会のアンコール用に普及すると楽しいですし、それで国歌としての硬いイメージが変わるといいですね。