中国はこのまま経済成長を続けていくと4年後2017年にはGNPでアメリカを上回るという。習近平国家主席が「中国の夢」と高らかに唱い上げるほどの勢いだ。
しかし、ここへ来て中国内外を取り巻く環境は厳しさを増している。成長の鈍化、バブル崩壊への懸念、格差拡大、とりわけ環境汚染は深刻だ。最近でも上海近郊の河川で豚の死体が1万頭も浮いているニュースがあった。なんと水道水が汚染されていたという。PM2.5を始めとした大気汚染も中国都市部をどんよりと覆っている。
GNP世界1位と世界最悪ともいえる環境汚染。中国の故事に「一将功なりて万骨枯れる」というのがある。一人の将軍の輝かしい功績の裏には膨大な兵士の屍がある。もしかしたら、今後の中国は将軍が勝利する前に兵士が屍を晒すだけに終わってしまうのではないか。
中国で環境対策に一番鈍感なのは国営企業だという。日本企業などの外資や私有企業には、行政が厳しい態度をとるが、親方日の丸で身内ともいえる国営企業には監視が甘くなかなかその規制が及ばない。
環境汚染は、すでに10年前から問題になっていたが、結局胡錦濤政権はなんら対策を施さず、汚染を放置してきた。せめて国民が進んで告発できる政治環境があれば、すこしは歯止めができいたのだが、逆にその表明には締め付けが厳しくなってきている。
中国は今後10年で国民所得を倍増させるという「夢」を国民に提示した。日本でも昔池田勇人内閣が所得倍増をスローガンに打ち出した。しかし、それは1960年の初頭であり、公害が深刻になったのは70年代になってからだ。中国は既に公害が深刻だ。中国専門家のなかにはもはや手遅れだという人もいる。公安費と軍事費が予算の上位を占めている状態では悲観的にならざるを得ない。
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