粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

煽り週刊誌の今

2013-05-05 13:31:03 | 煽り週刊誌

一昨年の原発事故後、放射能の危険を煽り福島の苦難をことさら強調する週刊誌記事が年内続いた。しかし翌年からは原発再稼働問題を巡る話題は時々登場するが、事故の恐怖を蒸し返すような記事はほとんど見られない。

あの煽りはどこへいったと今更ながら首を傾げる。かつて煽り週刊誌として毒ガスが充満していたこれらの雑誌は最近、どんな記事を取り上げているか、暇つぶしに検索してみた。アエラ、週刊朝日、サンデー毎日、週刊現代、週刊文春、週刊金曜日のNo NUKES6(反原発6大誌)だ。今週原発関連といえなくもない記事があるのはアエラと週刊朝日だけだった。

アエラ5月13日号

福島の「葉桜」観賞に1千万円投入の見識

週刊朝日4月23日号

東電 福島第一原発事故「賠償金算定」驚愕の実態

元NHK堀潤アナが本誌に独白「参院選には出ません」

アエラは相変わらず、地方のどうでもいい問題に重箱の隅を突くような執拗さだ。セシウム花粉、プールの放射能汚染、はてはペットの汚染といったマイナーな問題を目ざとく探してきては、内容に乏しく不発を繰り返す伝統は健在だ。

朝日での堀潤だが、まるで芸名のような名前のこのNHKアナウンサーは、原発問題で曖昧な局の方針に失望して退社しフリーになった人物だ。つい最近あの武田邦彦中部大学教授と対談しているのも見る限り、このフリージャーナリストの将来は明るいとは思えない。朝日はイケメンの有名人が好きなようだが女性読者を意識しているのだろうか。

週刊現代(5月11日号)、週刊文春はもはやかつての毒々しい放射能恐怖記事は全く見られない。特に週刊現代は煽り逃げといってよいほど露骨な商業主義で身代わりも早い。「100歳で元気ビンビンな人の秘密」「死ぬまでセックス2013」といった本来の下ネタ記事が踊っているのには感心するしあきれもする。

週刊文春(5月2日9日号)は、「女が嫌いな女全32人」「AKB河西智美、社長宅に禁断のお泊まり撮った」といった芸能ネタが賑やかだ。それにしてもなぜ文春はAKBの動向にこんなに詳しいのか?どうでもよいことだが。かつて「おしどりマコ」といった芸歴不詳の芸人が、暗躍した面影はない。

サンデー毎日(5月5日号)は早くも参議院の当落を予想しているが、そんなことを話題にする時期なのだろうか。「就活最前線(2)一挙公開 卒業生はこんな会社で働いている」もこの週刊誌らしい地味な企画だ。

週刊金曜日(4月26日号)だが、原発関連記事は時々登場するが、方向はリアルな政治の問題にシフトしている。「自民党の暴走」(9条が危ない)の特集などは硬派な左翼雑誌そのものだ。それにしても、佐高信、田中優子といった編集委員が我が物顔にコメントするTBSテレビ番組「サンデーモーニング」の偏向ぶりには辟易する。番組を私物化するメディアが憲法を語る資格があるのだろうかと疑問に思う。

これら週刊誌は、もはや煽りも影を潜めてあの騒ぎが嘘のようだ。しかし煽りの後遺症というべきものは依然として国民の心の中にトラウマとして残っている。それが原発問題に対する健全な認識を妨げ、日本のエネルギー政策の行方にも暗い影を落としている。その責任は決して免れないだろう。



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