粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

自主避難者への高速料金無料化

2013-04-27 13:59:26 | 過剰不安の先

今日のNHKの報道によれば、福島から県外に自主避難している人は3万人に及び、そのうち父親を福島に残したまま離れて暮らす家族は5000世帯に上るという。そんな家族のために今月26日から、父親が県外の家族に会うために利用する高速道路の料金が国の政策により無料になった。

父親がさいたま市の家族の元へ毎週訪れると高速料金とガソリン代で5万円ほどかかるから、今回の政策は自主避難家族には朗報だろう。しかし、この報道を見てどうにも割り切れないものを感じる。確かに県外の自主避難者が3万人と少なくないが、福島に残る人の方が圧倒的に多い。こうした国の優遇措置を当地の福島県民はどう見ているのだろうか。おそらく複雑な目で見ているに違いない。

たとえば、警戒地域から強制避難で郡山市やいわき市のような県内の別の都市にうつってきた人が多い。しかし、この報道のように、そんな郡山市などから県外に自主避難する人がいるというのもおかしな話だ。そこには、やはり放射線被爆での健康への影響に対して個人個人意識の違いがある。

原発事故当時は、この不安を煽る報道に満ち満ちていた。人体には危険きわまりなく、将来重大な健康被害に苦しむという恐怖心が覆っていた事も事実だ。しかし、2年も過ぎてメディアの煽りも治まり、段々と冷静な認識が深まりつつある。最近になって続々とそれを裏付ける客観的な事実が明らかになり、健康被害が当初想像されたものより遥かに軽微であることがわかってきた。

いまこそ、この事故での健康被害を冷静に考える時期に国自身が敢えて自主避難を是認するのは問題ではないかと思う。確かに高速料金が無料になって家族皆で団らんを囲む事は悪い事ではない。それで日頃のストレスが幾分でも解消されるのならそれにこした事はない。しかし、それによって離れて家族が暮らすこうした形態が固定化していくことには首を傾げてしまう。できれば、夫婦が被爆の影響を冷静に話し合う機会にしてもらいたいと願う。そして、福島に戻るという選択肢も考えてほしい。