粗忽な夕べの想い

落語の演目(粗忽長屋)とモーツアルトの歌曲(夕べの想い)を合成しただけで深い意味はありません

親日派大統領への幻想

2013-04-18 14:42:43 | 厄介な隣国

日韓関係で独自の評論を展開する呉善花氏が最近のネット記事で、朴槿惠大統領に対して厳しい評価をしていた。これを読むと我々の朴大統領への期待は幻想に思えてくる。大統領は親日派だから今後日韓関係が改善すると考えるのは勘違いだと呉氏は切り捨てている。

朴槿惠大統領が日本人から親日派と見られるのは父親の朴正熙がそうだったという理由からだ。しかし、実は彼が反日教育を本格的かつ徹底的に行いそれが今日まで続いている、と呉氏は自身の教育経験も踏まえて強調している。

実際に冷静にみると、日本統治時代、日本は韓国に対して大きな悪事など働いてはおらず、逆に貢献のほうが大きい。韓国側はそれを認めず、小さな悪を拡大して「日本は悪かった」といっている。その「日本は悪い」という教育を徹底して行なってきたのが、まさに朴正熙大統領なのだ。

一方で朴正熙元大統領は、「漢江の奇跡」といわれるほどに韓国経済の急激な発展に貢献したとし、今日その評価も高い。しかし、呉善花氏によれば、朴熙政権時の日韓国交樹立により、日本から多額の経済援助を受けたことが大きいとしている。たとえばソウルの地下鉄などはほぼ日本の技術で建設されたといわれる。しかし、韓国政府はそれを国民には知らせず、朴元大統領の功績になっている。韓国のインフラ整備に貢献した新日鉄の元会長の話は象徴的だ。

以前、新日鐵の会長もされた有賀敏彦氏に伺ったことがあるのだが、氏の取り組みが評価されて賞をもらうことになり、朴大統領から青瓦台に招待された。ところが、その賞を渡されたのは個室で、かつ有賀氏たった一人しかいないところだったそうだ。

ところで呉善花氏は、日本人と韓国人の精神構造の大きな違いを指摘している。日本人は古来の神道を基盤にして儒教、仏教、朱子学、そこからさらに新しい思想が多く生まれ、幅広い精神性が形成された。しかし韓国の場合は近世にヴ仏教などが弾圧され、朱子学が絶対的な教えになった。日本では異なる意見も受け入れる風土はあるが、韓国ではひとつの厳格な儒教の教えが国民を支配する。これは日本人に対しても同様だ。

思想的に善は一つでほかは悪、つまり韓国人がいっていることが善で日本人のいうことは悪であり、悪は排除しなければならない、という思考から抜け出せないのである。

こうした考え方は教育の世界でも徹底している。

 教育でいえば、「日本人が悪い」が絶対的に正しく、そこからずれたことをいう人が「間違っている」。だから日本側が「話し合いましょう」といっても、韓国人には通じない。彼らにとって竹島が韓国のものだということは100%疑いようがなく、話し合いをする意味がわからないのである。

一般国民がうけるような父親主導の反日教育を学んだ娘を、親日派として過剰に期待するのは禁物だろう。父親の功績とされる経済発展も疑問符がつく。まして、今や韓国では  格差社会が深刻で犯罪や自殺者が急増して治安も乱れつつある時代だ。こんな困難な時に朴槿惠大統領の政治力にも大いにに制約があるだろう。結局日韓の領土問題や歴史問題が蒸し返される。すでに朴槿惠大統領は竹島の問題でも、慰安婦の問題でも日本に対して厳しい注文をつけている。

呉善花氏は、韓国人からは売国奴扱いにされるほど、母国に対して厳しい見解を取っている。韓流ブームなど表面的なものだとしている。前大統領の竹島訪問はそれを物語っている。呉善花氏がいうように「間を置いて相手を見定めること、距離を置いて付き合っていくこと」が先決だろう。