ふくろう日記・別室

日々の備忘録です。

ボルゲーゼ美術館展

2010-01-28 02:07:54 | Art
 27日午後、東京都美術館で観てきました。詳細につきましては後回しにして、個人的には、今読み続けている、リルケの「オルフォイスへのソネット第二部・4」に登場する一角獣に、「ラファエロ・サンツィオ」の《一角獣を抱く貴婦人・1505-06年》で再会しました。



 さらに「マルチェッロ・プロヴェンツアーレ」の描いた《オルフォイスの姿のシピオーネ・ボルゲーゼ》でした。なんと楽器は竪琴ではなくてバイオリンです。オルフォイスの音楽によってたくさんの動物たちが集まったというお話はありますが、この絵のなかには、そのお話には登場しない龍と鷲がいます。この龍と鷲はボルゲーゼ家の家紋だそうです。



 そしてまたまた最近読んだ本「つぶて・中沢厚」のなかに書かれていた聖書のなかの「ダヴィテの石投げ」のその後の様子がわかる《ゴリアテの首を持つダヴィテと従兵・作者不詳・17世紀前半》がありました。こういう偶然の出会いがどんなに楽しかったことか・・・。



 「ボルゲーゼ美術館展」の詳細はここをご覧ください。

 ボルゲーゼ枢機卿が収集したものは、ルネサンスからバロックにかけての彫刻と絵画です。さらにローマ市内中心部にあるボルゲーゼ宮に収められていた絵画コレクションの大半が、ここに展示されるようになったのは1891年のことでした。19世紀になるまでコレクション全体は散逸することなく奇跡的にほぼ完全な形で保たれていました。

 しかし1807年にナポレオンの圧力により、ボルゲーゼ家はコレクションから古代彫刻やレリーフを中心に約400点もの作品を売却し、それらは現在ルーヴル美術館の「ボルゲーゼ・コレクション」となっています。

 それでも現在のボルゲーゼ美術館には、様々な名作が収められており、世界で最も著名な個人コレクションとされています。


ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの《シピオーネ・ボルゲーゼ枢機卿の胸像・1632年》


サンドロ・ボッティチェリの《聖母子、洗礼者ヨハネと天使・1488年》



 あらゆる芸術は、人々の暮らしと共に「戦争」による「略奪」「侵略」の歴史なのです。この「痛み」と共にそれらを観るのもまた人間なのでした。