季節 高田昭子
年上の旧友が入院先から連絡を下さる
「無理して来なくてもいいわ。
退院してから会いましょう。」とおっしゃる
季節しばらくして
「退院しました。今後はリハビリに通います。
涼しくなったら会いましょう。」と
私は電車に乗って
遠いところまで会いにゆくことはできる
そう思いつつも 時は過ぎてゆく
友への励ましの言葉をまだ探している
その間に
やさしかった叔父が亡くなり
息子が短い入院をした
昨夜は
何十年も会っていない
仕事仲間の死の知らせが届いた
知らせて下さった友は「私は元気よ」と言い
私も「とりあえず元気です」と伝える
死がゆっくりとからだに寄り添ってくる
でもまだ生きているみたい
多くの人々の血が
流されているこの地上で
父母の死んだ年齢までは まだ時間があるが
死んだ父親の年齢を超えた男は
し「きりに死を口にするようになったが
はるか先だろう
「死」については何もわからないが
「生きる」こともわからないことだらけ
「死」は確実に来る。
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