監督:長沼誠
脚本:吉田智子 森山あけみ
音楽:久石譲
ドッグ・トレーナー:宮 忠臣
《キャスト》
ウルル:ウルフドッグの子犬(エゾオオカミではないです。)
工藤昴:桑代貴明
工藤しずく:北村沙羅
生野大慈:船越英一郎
工藤夏子:桜井幸子
知里辰二郎:大滝秀治
生野千恵(大慈の妹):深田恭子
拓馬:濱口優
まさにこの映画は「物語」なのです。「昴」と「しずく」の兄妹が、傷ついた「エゾオオカミの子供」に出会い、「ウルル」という名前をつけて、世話をすることになったということから展開するのですが、「エゾオオカミ」はすでに日本中で絶滅しているのです。
東京に住む「昴」と「しずく」は、母親「夏子」の入院をきっかけに北海道に行くことになった。5年前に離婚し、野生動物救命所の獣医をしている父親の「生野大慈」に、母親は2人の子供を託したのだった。「ウルル」を治療したのはもちろん父親です。
美しい広大な自然のなかでの「ウルル」との日々は長くは続かなかった。野生動物保護協会の分子生態学者が「大慈」の家を訪れ、「ウルル」は犬ではなく、絶滅したはずの「エゾオオカミの子供」の可能性が高いと主張し、しかるべき機関で預かるべきだと言う。
「ウルル」を預けてしまえば、もう二度と自分たちの元へ戻ってこないと思った「昴」と「しずく」は、母親エゾオオカミの元へ返そうと「ウルル」を連れて旅に出る。「オオカミの国」と呼ばれる伝説の「ホロケシ(アイヌ語で「オオカミの棲むところ)」を目指して……。
この「ホロケシ」を教えたのは、かつて少年時代に読んだ「アイヌ伝説」の本を見せた「拓馬」だった。兄妹はそれを信じて、その絵本にある地図を頼りに旅立つのだった。「ホロケシ」には「ウルル」の母親がいることを信じて。
「野のものは野へ。」は父親の教えでもあり、母親と離れて暮らす兄妹の「母親に会いたい。」という思いがここに重なったのだった。そして「ウルル」は本当に母親に出会えたのだった。その時人間に保護されていた野生動物との別れ方もここで実践される。「ウルル」に自分たちは君と友達ではないと示すことだ。これは野生動物を保護し、治療して野に帰す時の父親のやり方から学ぶ。父親は野に放した動物たちに「爆竹」で脅すのだった。兄妹は「ビー玉」を投げた。泣きながら・・・・・・。
* * *
「エゾオオカミ」 は何故絶滅したのか?
「エゾオオカミ」は、主に「エゾシカ」を食料としていた。古来からアイヌの人々とは共存し、「狩をする神(ホロケウ)」「吠える神(オオセカムイ)」と呼ばれ崇められていた。しかし明治以降、入植者により毛皮や食肉目的で野性のエゾシカが乱獲されたため、食料を失った「エゾオオカミ」は入植者の牛馬などの家畜を襲い始め、害獣となってしまいました。「ストリキニーネ」を、罠の生肉に仕込んだり、後には懸賞金まで懸けた徹底的な駆除により激減し、これに1879年の大雪による大量死が重なった結果、1900年ごろに絶滅したと見られる。 絶滅の原因については、もう1つには狂犬病やジステンパーが挙げられているが、今となっては科学的な原因解明はできない。
「エゾオオカミ」が絶滅した後、北海道では「エゾシカ」の増加による農業被害が多発する背景もあり、生態系の面からオオカミを再導入しようとする動きもあるというから、人間は勝手な生き物だ。
* * *
父親の獣医師には、実は「齊藤慶輔氏」という実際のモデルがいました。齊藤慶輔氏は北海道を中心に傷ついた動物たちの治療のため奔走する野生動物専門獣医師です。
中学までフランスの田舎町で過ごした齊藤慶輔獣医師は、小学校の体験授業で地元の獣医師に出逢い、動物のみならず自然環境全般について熟知している姿に大きな感銘を受けたという。現在では釧路湿原の中にある野生動物保護センターで絶滅の危機にある猛禽類の保護を中心に活動している。
* * *
この映画のなかで、出てくる場面は少ないが、大滝秀治の演じた「アイヌの猟師」は、この兄妹の困難な夢の旅を最後まで見守り続け、別れる時に残した言葉が心に残る。
「どの死もなに1つ無駄ではない。」と・・・・・・。
脚本:吉田智子 森山あけみ
音楽:久石譲
ドッグ・トレーナー:宮 忠臣
《キャスト》
ウルル:ウルフドッグの子犬(エゾオオカミではないです。)
工藤昴:桑代貴明
工藤しずく:北村沙羅
生野大慈:船越英一郎
工藤夏子:桜井幸子
知里辰二郎:大滝秀治
生野千恵(大慈の妹):深田恭子
拓馬:濱口優
まさにこの映画は「物語」なのです。「昴」と「しずく」の兄妹が、傷ついた「エゾオオカミの子供」に出会い、「ウルル」という名前をつけて、世話をすることになったということから展開するのですが、「エゾオオカミ」はすでに日本中で絶滅しているのです。
東京に住む「昴」と「しずく」は、母親「夏子」の入院をきっかけに北海道に行くことになった。5年前に離婚し、野生動物救命所の獣医をしている父親の「生野大慈」に、母親は2人の子供を託したのだった。「ウルル」を治療したのはもちろん父親です。
美しい広大な自然のなかでの「ウルル」との日々は長くは続かなかった。野生動物保護協会の分子生態学者が「大慈」の家を訪れ、「ウルル」は犬ではなく、絶滅したはずの「エゾオオカミの子供」の可能性が高いと主張し、しかるべき機関で預かるべきだと言う。
「ウルル」を預けてしまえば、もう二度と自分たちの元へ戻ってこないと思った「昴」と「しずく」は、母親エゾオオカミの元へ返そうと「ウルル」を連れて旅に出る。「オオカミの国」と呼ばれる伝説の「ホロケシ(アイヌ語で「オオカミの棲むところ)」を目指して……。
この「ホロケシ」を教えたのは、かつて少年時代に読んだ「アイヌ伝説」の本を見せた「拓馬」だった。兄妹はそれを信じて、その絵本にある地図を頼りに旅立つのだった。「ホロケシ」には「ウルル」の母親がいることを信じて。
「野のものは野へ。」は父親の教えでもあり、母親と離れて暮らす兄妹の「母親に会いたい。」という思いがここに重なったのだった。そして「ウルル」は本当に母親に出会えたのだった。その時人間に保護されていた野生動物との別れ方もここで実践される。「ウルル」に自分たちは君と友達ではないと示すことだ。これは野生動物を保護し、治療して野に帰す時の父親のやり方から学ぶ。父親は野に放した動物たちに「爆竹」で脅すのだった。兄妹は「ビー玉」を投げた。泣きながら・・・・・・。
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「エゾオオカミ」 は何故絶滅したのか?
「エゾオオカミ」は、主に「エゾシカ」を食料としていた。古来からアイヌの人々とは共存し、「狩をする神(ホロケウ)」「吠える神(オオセカムイ)」と呼ばれ崇められていた。しかし明治以降、入植者により毛皮や食肉目的で野性のエゾシカが乱獲されたため、食料を失った「エゾオオカミ」は入植者の牛馬などの家畜を襲い始め、害獣となってしまいました。「ストリキニーネ」を、罠の生肉に仕込んだり、後には懸賞金まで懸けた徹底的な駆除により激減し、これに1879年の大雪による大量死が重なった結果、1900年ごろに絶滅したと見られる。 絶滅の原因については、もう1つには狂犬病やジステンパーが挙げられているが、今となっては科学的な原因解明はできない。
「エゾオオカミ」が絶滅した後、北海道では「エゾシカ」の増加による農業被害が多発する背景もあり、生態系の面からオオカミを再導入しようとする動きもあるというから、人間は勝手な生き物だ。
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父親の獣医師には、実は「齊藤慶輔氏」という実際のモデルがいました。齊藤慶輔氏は北海道を中心に傷ついた動物たちの治療のため奔走する野生動物専門獣医師です。
中学までフランスの田舎町で過ごした齊藤慶輔獣医師は、小学校の体験授業で地元の獣医師に出逢い、動物のみならず自然環境全般について熟知している姿に大きな感銘を受けたという。現在では釧路湿原の中にある野生動物保護センターで絶滅の危機にある猛禽類の保護を中心に活動している。
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この映画のなかで、出てくる場面は少ないが、大滝秀治の演じた「アイヌの猟師」は、この兄妹の困難な夢の旅を最後まで見守り続け、別れる時に残した言葉が心に残る。
「どの死もなに1つ無駄ではない。」と・・・・・・。