eつれづれ管理者(66kV特高変電所、技術者)

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1相でのAC耐圧試験はダメ

2012年11月12日 | eつれづれ
PASのAC耐圧試験で面倒を、かえりみず1相ずつAC耐圧試験をするバカはいないだろうが、全部接続なりキュービクルよりPAS間まで試験をする場合(関東地区、他は、そうかどうか知らないが??)、高圧ケーブル長さがあり耐圧トランス容量の関係上(リアクトルも無し)1本ずつしか印加出来ない状態...直流耐圧試験は、こんなもの関係ないが。
下図は高圧ケーブルが接続なっている状態図で高圧ケーブルの静電容量を介して循環電流が流れてしまう。

本PASのVTが接続なっている相はU-W間で上図の様にW相1本にAC耐圧印加する。

この時のAC耐圧試験風景。

VT二次側のP1.P2線は開放にしてテスターにて電圧を測定する...高圧側の電圧を更に上昇すれば二次側もUPするが、既に100Vを超過。

この時の高圧側の印加電圧は5,800Vである。高圧ケーブルは接続なっていないのでVT等、機器の静電容量、零相電圧検出器(ZPD)の接地コンデンサの静電容量しか無い状態である。PAS単体でのIc(対地静電容量成分電流)は少ないが二次側の電圧は200Vを超過するだろう。

一応、今回はこれで実験を止めたがP1.P2線をSOG制御線と一括短絡接地し、この状態を再現した場合、二次側コイル焼損するのは間違い無いだろう。
尚、後でVTがマトモか確認するには接続されている高圧側相2本に100Vを入れP1.P2の電圧を確認すれば簡単に判明する。2相の耐圧試験時は零相電圧検出器(ZPD)1つ分の静電容量が無い事になるので二次側充電電流も少なくなる。


VT接続なっているU-W間、一括のAC耐圧試験も行う。この状態でのAC耐圧試験は高圧ケーブルがあっても循環電流は流れないので取説通りOK。10,350Vの印加時、一次側励磁電流は0.205Aで二次側充電電流は2.7mA、クランプリーカーは2.1mAとなったSOG制線とP1.P2線の開放時の誘起電圧は0V...短絡接地しても変化無し。
下のクランプリーカー指示値は二次側充電電流値で正規の三相一括、PAS耐圧試験時に流れた物で試験器指示は印加電圧10,350V.一次側励磁電流0.315A.二次側充電電流は3.6mAで特に問題無く終了した。

15日(木)には手持ちの高圧ケーブルCVT38sqをPAS1相に接続してIc(対地静電容量成分電流)の電流を加算させてVTを焼損させてゴミ処分予定。ここまでヤルノカ的、教科書にも無い?!...針金電気ヤでした。
補足:
通常はSOG制御線等の信号線は全部短絡接地(VT二次P1.P2線も)してAC耐圧試験をするので、VT線が接続なっている高圧側1本のAC耐圧試験は二次側短絡状態となるので高圧ケーブルなど接続なっていなくとも焼損する事になる。高圧ケーブル無しの状態で零相電圧検出器(ZPD)が無い無方向性SOG制御装置付は循環電流が大きく流れないので焼損しないカモ知れない。(対地間の印加電圧は高いしVT間の静電容量はあるが...)

フライホイール蓄電開発

2012年11月12日 | eつれづれ

再生可能エネルギーの普及に伴って必要となる大規模蓄電システムにリニアモーターカーにも用いられる超電導技術を活用したユニークな研究開発が進んでいる。超電導技術を使うことで、エネルギーの高貯蔵や部材のメンテナンスフリーを実現。開発を主導する鉄道総合技術研究所は10キロワット時級の小型試験機で良好な結果を得ており来年度からは300キロワット時級の開発に本格的に着手する。実用化されると、大型蓄電池分野で国際的にも有望なシステムとなりそうだ。鉄道総研が開発を進めるのは超電導磁気軸受けを使ったフライホイール蓄電システム。フライホイールの運動エネルギーを電力として蓄積するシステムは鉄道分野で古くから使われており沖縄電力の風力発電設備にも採用されている。新システムでは、フライホイールを支持する軸受けに超電導コイルと超電導バルク体を組み合わせて適用する点が開発のポイントになる。従来のフライホイール蓄電システムは長寿命や有害な廃棄物が出ないなどのメリットがある一方、軸受けのメンテナンスや低貯蔵エネルギーといった課題があった。だが、超電導技術によって回転体を常に浮上させることで、ベアリング部分の摩耗損失をなくしメンテナンスフリーが可能になる。


化学的なバッテリーバンクと異なり蓄電するシステム...kWの容量UPすればメンテも無く良いかも知れない期待したい技術だ。