BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

サロベツ原野で

2008年05月09日 | 映画
 [市町村映画]という分類がある。仕事がら道内のその種の
短編(約30分位の長さが普通だ)をみたり、実際かかわる
ことがある。各市町村の観光、産業、行政などを紹介する内容
だが、その切り口においてプロデュサー、監督、撮影スタッフの手腕が試される。
それは企業PR映画の短編においても、同じことがいえる。
 札幌在住の俳優、関口 正幸さんに以前直接聞いたことがある。「企業もの
短編で、ボク kissシーン をやったことがあるんですよ」それが黒木 和雄監督
の北海道電力PR映画「わが愛 北海道」だった。
青年(関口正幸)は若い女性(及川久美子)を見初め、語りかけることで道内の
各地域紹介や発展の希望を想像するのだが、しかしその女性の存在だって 夢
まぼろしなのだ。カメラワークも展開も、企業ものとしては極めて異例だ。
まして kissシーン だ。だが実際に「わが愛 北海道」をみると、そのシーンは
入っていない。つまり撮ったけれど、編集で落としたのだ。シーンをめぐって
自社の上層部との対立、そのモメ事をきっかけとして黒木さんは[岩波映画社]を
去った。その後の黒木さんの映画監督人生は、アタシなどが言うまでもない。
 関口さんは「北のサロベツ原野でそのシーンを撮った」と 確か言っていた。
いずれ会った機会に、もっと詳しいシチェーションを聞いてみたい。

 「黒木 和雄とその時代」 著者 佐藤忠男 現代書館 定価2000円+税
   (2006年8月15日 第1版第1刷発行)
 「わが愛 北海道」 監督 黒木 和雄  岩波映画  1962年 47分
(助監督 東陽一 小川伸介  ナレーター 木村功)ワイド・カラー35mm
 



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