BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

トップ屋

2020年12月29日 | 古本
トップ屋という言葉も竹中 労という名も懐かしい。労さんの本をBOOK OFFで見つかるのは珍しい。元祖いまで言う
ノンフィクション作家だが当時はトップ屋と、特に労さんにはその名が相応しかった。
政治も映画も芸能界もその地平は広かった。労さんにはその区別がなく、遠慮会釈なくぶった切った。1930年生まれ、
1991年の没、61年という生涯だった。
 「竹中労 没後20年・反骨のルポライター」 著者 竹中 労 そのほか多数者のエッセイ・論考  河出書房新社 
  ( 定価1600円+税別 2011年7月30日 初版発行 )

ジェームス・太古・マクレガーはネットゲームのハードユーザ。父親のスコットランド最北端のオークニー諸島への旅。
そこでのガイド人・マーク・ホールデンはむしろ初老の男だった。しかしおんぼろ車のガイド人はただ者ではなかった。
マークは太古を大鮃という神がかった魚への釣りへと誘うが。ポンポン船と言う焼き玉エンジンの仕組みが面白い。
アタシが子供の頃、この焼き玉エンジンを使った船も見たし、その独特のエンジン音も記憶に深くある。
藤原新也さんは北欧地区の小説が多い。これはそんなに面白いとはアタシには思えない。
 「大 鮃」 著者 藤原 新也   三五館 定価1600円+税
  ( 2017年1月3日 初版発行 )

止まらない

2020年12月10日 | その他
JRの無人駅が停まらないではなく廃止が止まらない。来年4月のダイヤ改定時の予定だそうだ。大量の18駅で、この大半が
「無人駅叙景」にその姿を留めている。(少なくとも撮影した駅も含めて)そもそも人の姿が見えない寂しい駅ばかりを選んだ
のだから、いずれは廃駅になるのもしょうがないのか。ますますこの作品の百年後の資料的価値が上がるだろう。
そしてあと十年も過ぎれば、路線そのものが廃止路線になっていく。百年も待たなくていいのかもしれないが、上がる価値、それが
悲しい。過って人間の毛細血管のようにあった道内の鉄道路線は、一部を例外にしてことごとくその姿を消す。見事に跡形も無く
消える。駅舎や路線の一部は残せても、鉄路は消えその痕跡さえ消えていく。いちど消えると復活はあり得ない。
10年後に新幹線が札幌に延伸されたとして、それがどんな価値が有るのかアタシには分からんとです。為政者の無責任な価値観が
人々を苦しめる。愚民は愚かな政府しか持てないのは本当だ。亡くなってから、無くなってから泣いても遅いだろうが。
  2020年12月10日〔北海道新聞記事〕

しきりの後悔

2020年12月05日 | 古本
森 功さんのだからまあいいかと思って読んだが、つまらない。つまり今更どうでもいいタレントやヤクザの世界のワルあがきの暴露。
もうそんなことはどうでもいい。メガバンクの話も銀行は所詮金貸しのヤクザ稼業、アタシはハナから大きい銀行ほど信用しない。
面白くない本ほど読むことに時間がかかり、後悔しきりだ。
 「大阪府警暴力団担当刑事」 著者 森 功  講談社 定価1429円+税
  ( 2013年2月20日 第1刷発行 )

〔はこび〕

2020年12月01日 | 古本
桜木紫乃さんの小説に読めない字や意味の分からない語彙もない。日常言葉の、要するに話の〔はこび〕が巧いことに驚嘆する。
今作も短編連作だが、その巧さに舌を巻くが、ではそれ以上になるかと気をもむ。そろそろかな紫乃さん、あの「ブルース」の
ような人間の生きる様の厳しさをアタシはつい求めてしまう。あれこそが桜木さんの最高傑作だ。
これは最近に出た〔エッセイ〕以外全部読んでるアタシの意見。

最近読書の量が減っている。日中はなんだか眠いし、頭がさえるのは寝る1時間前くらいだ。あとはぼーっとしている間に夜に
なる。毎日小一時間はするべきことが有るのが幸い。これって老人性の何とかというやつだろうか(笑)
 「家族じまい」 著者 桜木 紫乃  集英社 定価1600円+税
  ( 2020年6月10日 第一刷発行 )

いま直木賞受賞作の「ホテルローヤル」が劇場にて上映中だが、なんだか腰が重い。なぜだろう・・・