BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

発想の森

2009年09月30日 | その他
 一本のカシワの巨木が目に入った。樹齢は百年以上だろうか。
この小学校の成り立ちや、地域の人々の営為を見守っていた守り神とも言うべき
だろう。会場の新内(にいない)ホールは、元の新得町新内小学校、1974年
に閉校したようだが、決してそれは廃校を意味していなかった。年に数回の音楽
会や、なによりこの映画祭のメイン会場に使われているのだ。
 驚くのはこれほどの小さな町の、付近に民家も交通機関も無い森の中で映画祭
(1996年が第1回目)をやろうとした発想と、それから今に14回目として
続いていることだ。ここに移り住んだ映画監督の藤本 幸久氏を中心とするスタッ
フの皆さんは、称賛されていい。ゆるめの運営も許される。発想と空想とが現実
となって、続いているのだから。

 第14回 SHINTOKU 「空想の森映画祭」 新得町 新内ホール
  ( 会期 2009年9月19日―22日 )

車 中 泊

2009年09月28日 | 古本
 5日間寝泊りしていたのは、このコンパクト大衆車だ。
後部座席を倒し段差の3cmをダンボールで埋めると、ほぼ平らになる。
その狭い空間で寝袋に潜り、ナナメになって少し膝を曲げるとヨコになれるとい
う仕組みだ。あの地域9月も半ばを過ぎると、晴れた日の朝は放射冷却で0度近
くの気温になる。夜明け前には寒くて目が覚めてしまった。この映画祭参加は荒
行でもあるのだ。公共交通機関や近くに宿などない。近い人家でも1Km以上は
離れているという。
 初日は映画祭会場の新内ホール(元 新内小学校)前グランドでの車中泊。酸欠
防止のため窓をほんの少し開けていると虫が入ってくる。それと夜中の小用が不
便。そこで翌日からは鹿追にある「道の駅」へ移動する作戦にした。そこは「神
田日勝記念館」と同じ駐車場スペースで兼用だ。驚いたことにいろんなタイプの
車やキャンピングカーが沢山駐車している。トイレや水道が24時間自由に使え
るからか。車外で野外料理などする人もいないので、混んでるわりにはいたって
静かだ。
 結局映画祭の期間中、アタシはそこに泊まることにした。コンビニも目の前だ。
ともかくその「道の駅」から、毎朝会場(約30Kmの距離)へ出動というスタ
イルになった。

輪 郭

2009年09月25日 | その他
 忘れものはないはずだ。
札幌西区の家を出たのは、午前8、30分。道中は順調だった。
この時のためにETCを取り付けたのだが、仮に来年春に無料化になったとして
も、まぁ元はとれるだろう。
 余裕たっぷりの時間だから、走行は定速プラスだ。1車線高速道の2車線追い
越し区間では、後ろに付けていた車が次々に追い越し、広く高い青空に吸い込ま
れていく。トマムからの高速はそんな感じだ。

 直接 映画祭会場に行く予定だったが、時間が早すぎた。
なら新得町手前、鹿追町の「神田日勝記念館」へ先に立ち寄るのが正解だろう。
 記念館ロビーでは、古いリア式プロジェクターで日勝の作品解説ビデオが上映
されている。この記念館が開館(1993年)されてから、それは変わってない
ようだ。古くからの仕事仲間がナレーションを読んでいる。ナレ原文章がしっか
りしていて、きっと彼が読んだなかでもベストだろう。
 今度もまたあの未完の「馬」の、オシリから足にかけて鉛筆でなぞった輪郭を
はっきりと確認した。画集などでは、そこが見えづらい。それを初めて発見した
ときの、ことの次第を思い出す。

 往復800Km,旅のお供は勿論例のCD群だ。アタシは直前に〔吉 幾三〕を
追加していた。これでもうCDを買うことはないだろう。手持ち分だけで飽きな
い量はある。いつでも長い旅が出来るのだ。(笑)


東 へ

2009年09月18日 | その他
 方向は東だが、これも一号線の北上と言えなくもない。

新得町 新内ホール「空想の森映画祭」へ19日から4日間。
鹿追町 「神田 日勝記念館」へ。何度も行っているが、久し振りに。
上士幌町 十勝三股へ。林業がすたれ、鉄道の士幌線が廃線になって、かっては
何千人も居た地域が、いまは2軒の人家があるのみだという。果たして40年前
のその地から出た「あの子の〔青春の痕跡〕」はあるのか。

 てなワケで、一週間程ブログの休載です。こんな時に、もしお時間がありまし
たらアタシの以前のブログ再読を。こまめにひっそりと加筆訂正などしているの
です。

傍線攻撃

2009年09月16日 | 古本
 元の持主はどうやら傍線引きのクセがあったようだ。
なんしろおもて表紙に鉛筆で書いたメモがあったり、文中の傍線(同じ鉛筆で)
がやたら多い。だが全体ページの半ばから、途中で飽きてきたのかその線の頻度
が少なくなりまた短くなる。するとこれは学生の教科書的なものとして使われた
のか。著者は大学の先生だし。それにしても学生のうちに「老後に備えない新
哲学」か。もしかしてこれは〔シルバー大学〕(?)などのテキストか。文字と
傍線をよく見ると、なにか力強さに欠け、縦線がブレて不安定なのだ。
 そして「過疎地の<隠者>」という箇所に激しい傍線攻撃をかけている。(笑)
 この手の前持主を推理することは難しい。

 例の、まとめて22冊とはこの本であらかた勝負がついた。いまはもうあれか
ら6冊を手に入れ、そして今日新刊を1冊手に入れる予定だ。昨日新刊書店に行
くと佐藤 正午さんの新刊小説がでていた。持ち合わせが少なく買えなかったの
だが、オモチャを欲しがる子供のように、アタシは彼を1日も待てないのだ。
正午さんに対してアタシは、全く清く正しい読者になってしまうのです。(笑)

「老後に備えない新哲学」 著者 鷲田 小彌太  彩流社 定価1800円+税
  ( 2006年6月20日 初版第1刷 )

裏 と 表

2009年09月14日 | 古本
 田中 森一さんも半端じゃない豪の人だ。各章の至るところに経済界や政治家
の実名が頻発する。忘れかけてはいるが一昔前の新聞を賑わせた、軒並み大きな
事件に検事か弁護士として係わっていたようだ。
 田中さん、最高裁に上告するも棄却され懲役3年が確定、いまは服役中だ。
有罪であれ無罪であれ、それはただ解釈上の問題としても、田中さんにも佐藤 優
さんと同じ「国策捜査」になった。国策以外の事件捜査など、有り得ないとも。
 まぁしかし、ヤメ検たちの扱う金額や収入も半端じゃなく、狂った銭の世界だ。
P-197には随分正直に書いた箇所がある。
 <裁判官には共産党的な左志向を持つ人も少なくないが、検察官には、そんな
人間は一人もいない。被疑者に人権がある、などと本気で考えている検事もいな
い。検事はみな傲慢であり、被疑者に対しては、「俺が権力だ。俺の言うことを
聞け。呼び出されたら、何をおいても、ハイッと言って馳せ参じて来い」という
発想である。こうした傲慢さは、霞ヶ関の官僚全体にあるが、検察官はことさら
その傾向が強い。> とある。
 終章では多少傲慢な考えを反省したりもしているが、さてどうか。今後どんな
本を書いて来るか楽しみだ。佐藤 優さんとのジョィントも。そして貧乏な学生
に億というお金の単位で、田中さんらしい豪快な奨学金をあげて育ててね。

 「反転 闇社会の守護神と呼ばれて」 著者 田中 森一  幻冬舎
  ( 定価1700円+税 2007年7月10日 第5刷発行 )

通 り

2009年09月12日 | 時と事
 8月1日現在 札幌市の人口は1,903,727人で(広報さっぽろ)、
前月比959人の人口増だ。全道の人口が減り続けるなか、札幌は小さな村が
毎月1つ出来ていることに等しい。いずれ頭打ちになるとしても、増えている
ことに変わりない。
 しかしそんな中、市内それもアタシが住んでいる西区にシャッター通り商店街
があるという。そこで実際にその通りを歩いてみた。けれどアタシがイメージし
たシャッター通りとは随分違う。もしこの通りをシャッター商店街というなら、
室蘭市や人口が10分の1になった町、極端に人口が減り続けている町の商店街
の人達は怒り出すに違いない。少なくともここは人通りもあるし、閉じたシャッ
ター内には人が住んでいるのだ。実際に知っている道内の各地にある本物の〔シ
ャッター通り商店街〕は、打ち捨てられたように静かで人ッ気がない。
 シャッターはサビ付き、もし開けたら置かれていた時間の長さで、大きな悲鳴
の声を上げるのだろうか。その地域の人情もつながりも寸断されている叫びだ。

 西区のそれは、まだある種の余裕みたいなものが感じられる。そしてその商店
街の手前にある広い通りに面した商店街、こんな風にシャレをかます店主がいる
ようだ。店名も「サイクルショップ 冬眠」ときた。なる程北海道の自転車屋さん
は、雪の半年は冬眠しているのに等しい。世の中、冬眠仲間はいるのだ。(笑)
 

消 火 栓

2009年09月10日 | その他
 おゃ、「消火栓」がいつの間にか白という色に変更になったのか、と思った。
近頃白いタイ焼きなどがあるのだから、これもご時勢なのか。しかし消火栓を白
色にするという消防法(?)の改定など知らないし、またぁー麻生さんたら退陣
のドサクサでこんなことを秘かに企んでと、邪推した。これは零細が多いペンキ
屋さんに対する経済救済かとも。しかしこんなことでは冬の雪の中、これでは闇
夜のカラス状態ではとも心配した。ところがこれはペンキの下塗りというやつで、
元通りの黄色で今は仕上がっている。アタシのとんだ早トチリというやつで危惧
に終わった。(笑)ウムー、雪の季節以外なら案外白色も悪くないかも。(笑)

照明の証明

2009年09月06日 | 古本
 例の22冊の中でこの本が一番厚く、発行年月が新しいといえば新しい。
575枚というページ数で、まぁよくもこれ程に資料を重ねたのかと思う。
大下 英治さんったら、頼まれたらどうでも名を貸すのか。ライターの書いた
ものをざーっと目を通して、一丁出来上がりということか。
 本人に依頼でもされたのか、厚さというページ数に反比例して全く内容の薄い
本に仕上がった。選挙区でこの本でも配布したのか、ぬべなるか本人は比例で
復活当選だ。きっとオホーック圏の古本屋さんには、大量のこの本が〔展示〕
されているのに違いない。本人も自民党じゃないオホーック党だと言っていて、
今回の選挙で郵政民営化のことはおくびにもださない。党幹事長だったのにね。
それとも、それに触れられないように慌ててこの本を回収?(笑)

 そして面白い誤植をみつけた。それは57ページと58ページの2ヶ所に同じ
意味で使われている。パソコン的変換ミスといえばそうなのだが笑える。
P-57は、<「照明写真を、撮ってください」> P-58は<翌日、願書に
出来上がったばかりの照明写真を貼り付け、提出した。>とある。
 確かに写真には照明が付きものだが、これは明らかに「証明写真」の間違いだ
ろう。みんな無責任に、無頓着にこんな本をつくるから、こんな誤植を見逃され
るんだよ。 結局誰も真面目にチェックなどしなかった、という照明じゃなくて
証明だろ。 ネ、徳間書店さん、大下 英治さん。(笑)

 「武部 勤の熱き開拓魂」 著者 大下 英治 徳間書店 定価1800円+税
  ( 第一刷 2005年10月31日 ) 

ビッグイシュー

2009年09月04日 | その他
 もしこの雑誌本を街中で売っている人を見かけたら、アタシがエラソーに
云うのもなんだが買ってあげて欲しい。300円で、うち160円が販売者で
あるホームレスの方の収入になるようだ。内容は特にどうということもないのだ
が、万人用ともなればいたしかたなし。

 対談 湯浅 誠×中島 岳志「どうする?21世紀の格差と貧困~年越し派遣
村から見た日本社会~」を聞いてきた。(9/3 かでる2・7)
主催は〔札幌市教職員組合〕で、面白い人選だった。
 考えてみると、いたるところに[貧困と格差]ありで、オイラ達この先
どうするべか。 貧乏になら慣れ親しんでいるんだけどね。
そして貧困と貧乏の差って?(笑)