BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

ロドリゲス

2013年03月31日 | 映画
 久し振りの映画館、映画→天プラ→酒飲みコースの真ん中は行かなかったが、ほど
よく酒もおさえ気味で按配がいい。
 「シュガーマン 奇跡に愛された男」監督マリク・ベンジェルール 2012年
    ( スウェーデン・イギリス 85分 )
 インタビューが多すぎるのが難だが、まぁさかのぼるドキュメントは仕方あるまい。
証言を積み重ねる手法も時に悪くない。主人公ロドリゲスは、アメリカデトロイトの
場末のバーで歌う。1968年のデビューアルバムは失敗だったが、遠く離れた南ア
フリカで熱狂的に支持されていたのを本人は知らない。
 いまもデトロイトの何処かの現場で解体作業などをしているであろうロドリゲスが
いう。『君の時間をありがとう。/君も俺の時間にありがとうと言う。/そしたらもう
忘れてくれ。』
 作品も人も生き残ることは難しい。せめてあれは百年後、誰かの目に映ってほしい。
あれとはあれのことだが(笑)

 続けて観た「最強のふたり」フランス映画は、どうしてああパターンにはまりきっ
たスジ道を描くのであろうか。主役のふたりは明らかなミスキャスト。はうっー。

てき友達

2013年03月28日 | 古本
 「女 歌」 著者 中島 みゆき  新潮文庫  定価440円
  ( 昭和63年7月25日 発行 )
 かなり以前の昭和時代の刊行。中島みゆきさまが小説を書いていたとは知らなんだ。
詞を書く人は小説も書くということか。

 「小銭をかぞえる」 著者 西村 賢太  文藝春秋  定価1571円+税
  ( 2008年9月25日 第1刷発行 )
 中篇作が2本。とてつもなく難しい漢字が結構あって難儀。だいたいの意味を推測
して読むが、しかしなんだ、西村さん的人物とはあんまり友達になりたくないね(笑)

 肌 ?

2013年03月23日 | 古本
 もう二度と読まないと啖呵を切ったが、つい均一棚に在ったので手を出してしまっ
たみどりさん。しかし金輪際の金輪際だ。これほど意味もないコラムを書いて生きて
る人も珍しい。して何かというと原稿仕事に追われて何もできないと、プィプィする。
あなたのような稚拙なコラムだって一応スペースはあるんでしょうが、さも売れてい
るようなポーズするんじゃない!つうの。ここまでヒドイのは編集者にも責任ありだ。
まったくアタシとは肌が合わない。勿論、向こうだって肌は合わせたくないだろうけ
ど(笑)。
 「毎日一人はおもしろい人がいる」著者 中野 翠 講談社 定価1600円+税
  ( 2002年4月4日 第1刷発行 )※タイトルだけはいつもまぁまぁだ。

 その時代に生きた歌たちには、重なる思い出があるという珠玉のエッセィ。
 「珠玉」という言葉が無理なく沁みる。みどり嬢を読んだ後味の悪さを、森さんに
救われた。森さんなら新刊で買ってもいい。
 「ぼくの歌・みんなの歌」 著者 森 達也  講談社文庫 定価838円+税
  ( 2012年8月10日 第1刷発行 )

徒弟制度

2013年03月19日 | その他
 先日の夜のことだった。

 この雪融け時は道路が所々穴ポコだらけになる。冬の寒さでアスファルトに浸み込
んだ水が凍って体積を膨らませ、車が走行する振動で剥れ散る。舗装の継ぎ目などが
特にひどく、かの国の道路は年中こんなものかと思う。
 タイヤの半分ほどが丁度埋まる穴があった。濡れた舗面は黒くて見えづらい。そこ
を時速40キロくらいのアタシの車が通過した。あっ!まずいと思った。ダーンとい
う衝撃音だった。左前車輪のタイヤ周りが壊れても不思議じゃないのだが、そのまま
数百メートル走った。すると段々とハンドルが左にとられ、重くなった。車から降り
て左前輪をみると、空気圧が半分ほどになっている。うむーやっぱりやられたのだ。
ほぼ鋭角に瞬間の圧力が加わって側面にヒビでも入ったのかも知れない。
 そこは暗いところだったので、明るいところを走って探した。4階建ての1階に美
容室店舗がある明るい道路際に車を停めた。お店は閉店間際で、若い人が掃除などし
ていた。お店の前は駐車場になっているので、一言パンクタイヤ交換で停めさせてほ
しいとお願いした。店長らしき人が、まぁいいでしょうと言った。
 車に積んである標準工具で、ほどなくスペアタイヤに交換した。パンクしたタイヤ
はくの字に凹み、円形という形状記憶をなくしていた。
 ふとあの深い穴ポコを通過した車は、みなこんな憂き目に遭ったのではと思った。
出ていたスピードにもよるが、被害車輌は当夜続出したハズだ。こんな時、公の誰に
電話して通報すべきか分からない。通報したところでこんな夜に補修などできないだ
ろうし。
 お店の店長に一言声をかけて去ろうとした。だが店内では終業のミーテングの最中
のようだ。40代半ばの店長と、20代半ばの男女が向かい合って対峙している。
店長の表情は硬く、なにかを説いている。絶対的な立場での訓示説教かも知れない。
若い二人は神妙な表情で姿勢を真直ぐにしていた。今どきの理美容業界もまだ徒弟制
度が残っているかのような光景だった。
 アタシはドアを開けて声をかけることをためらった。さりとてそのままずらかるの
も性に合わない。店長がもし店外のアタシに気付いた瞬間に頭を下げれば、意味は伝
わるはずだ。しかし話しがなかなか終わらない。やがて5,6分は経ったろうか、店
長がこちらの目線に気付いた。アタシは素早く頭を下げ、その場を離れた。
 うむー、あの見事な今もあるのか、徒弟制度的主君的丁稚奉公的雰囲気。いまの
アタシにはもう馴染めない。
 翌日、中古タイヤ販売店に行って見てもらうと、タイヤ内にある細いワイヤー群が
列断していて、案の定修理不能と。しょうがないので中古タイヤ一輪6,000円也。
 トホホでした。

 ※写真、冬道を走るとタイヤハウスは氷つく。

崩 れ

2013年03月17日 | 新 刊
 三冊目の新刊は「キャパの十字架」。あの有名な「崩れ落ちる兵士」は、どうやら
ゲルダ・タローが撮ったもののようだ。しかも兵士は撃たれたのではなく、すべって
大きくうしろにのけぞった瞬間のようだ。キャパもこの写真については多くを語らな
かったよし。
 ロバート・キャパは41才で、ゲルダ・タローは27才で、それぞれ共に戦場で命
を散らせている。

 「キャパの十字架」 著者 沢木 耕太郎  文藝春秋 定価1500円+税
  ( 2013年2月15日 第1刷発行 )

アグルーカ

2013年03月13日 | 新 刊
 1845年(ほぼ168年まえ)、北極探検へ向けて出発した英国のジョン・フラ
ンクリン隊長以下129人が、全員還らぬ人になった。それぞれの隊員が何処まで行
き、命を繋いでいたのか、その極限の軌跡を角幡さんは歩いて辿り、検証した。
 無事に帰ってきたからこそこの本を書いているという安心はあるももの、角幡さん
の旅はいつもぎりぎりで危ない。〔アグルーカ〕とは「大股で歩く男」を意味し、大
きく果断な精神力を持った人物を表す、と書いてあるが、読み終えると角幡さんこそ
がホンマもんの〔アグルーカ〕なのではとの感慨をもつ。
 以前の作品で受賞しまくったが、これぞ今ではベストワンだ。まったくもって面白
い書き手の誕生だ。北海道芦別市生れだし、それも嬉しい。

 「アグルーカの行方」 著者 角幡 唯介  集英社 定価1800円+税
  ( 2012年9月30日 第1刷発行 )

鬼 六

2013年03月12日 | 新 刊
 あんまりにも古本列伝は収穫不足。そこで大型新刊書店へ。すると当然のように読
みたい本がわんさか。一度に3冊も買ってしまった。均一本なら50冊以上は買える
金額だが、いたしかたないのだ。目の前にある読みたい本を我慢するほど、アタシは
人間ができていない。

 新聞記事で出ていたが、沢木 耕太郎さんに「檀」があるのだから、これも「団」に
しょうと思ったという大崎さんの冗談は良かった。それがもしダメなら「鬼六」は
どうだったのだろう。「赦す人」は漢字にもタイトルとしてもどうも馴染めない。
 ともかく大崎さんの4作目のノンフィクション、いい。文豪 団 鬼六さんの生涯。
終章は泣けるさ。

 「赦す人」 著者 大崎 善生  新潮社 定価1900円+税
  ( 2012年11月30日 発行 )

モテ紳士

2013年03月06日 | その他
 先日のことだが、あんな光景を見たのは初めてだった。

 近くの片側二車線の交差点で、アタシはセンターライン内側に赤信号で停まった。
すると上手からひとりの歩幅が小さく足取りのおぼつかない年輩の紳士が横断歩道を
渡り始めた。舗道は雪が融け濡れている状態だった。しかしその足取りに比べ上体・
風貌は矍鑠としている。しゃれた丸いサングラスをかけ、頭髪は少しだけ白くオール
バック、着こなしのコートは品よく姿勢もいい。泰然として前を向き歩いている。
 アタシの下手に一台の乗用車が停まった。そのハズミなのか屋根に載っていた雪が
ボンネットにナダレをうった。ただそんなに大量でもなく運転席の視界を大きく遮る
ほどでもなかった。運転していたのは若い女性で、降りて雪をどかすことはなかった。
雪国ではそんな経験は誰にでもあり、特に支障がなければ大概そのままだ。
 するとどうだ、横断中だったあの紳士が気を利かせたのか、右手でその女性のボン
ネットに載っていた雪を一瞬のうちに払いのけた。
 女性は苦笑いをしてちょこんと頭を下げ、アタシは呆気にとられながら見ていた。
紳士は何事も無かったように飄々として歩道を渡りきった。信号が替わってアタシと
彼女の車は同時に走りだした。
 
 あの紳士、きっと若いころは随分と女性にモテたに違いない。いやいや、いまだって
きっとモテモテなんだろう(笑)。

優 良 可

2013年03月04日 | 古本
 「新・屈せざる者たち」を先に読んでいたが、この「屈せざる者たち」も圧巻だ。
特に映画監督 原 一男さんとの対談は、お互い遠慮なく火花がでてる。この対談は
1995年7月号の「文学界」の載ったようで、当時読んでなかったアタシはなにを
していたんだろう。
 「屈せざる者たち」 著者 辺見 庸  角川文庫 定価590円+税
  ( 平成12年3月25日 初版発行 )

 シーナさんだから発刊できたし、シーナさんだからすぐ古本にでてくれたという
今年の1月刊でした。
 「にっぽん全国 百年食堂」 著者 椎名 誠  講談社 定価1400円+税
  ( 2013年1月30日 第1刷発行 )

 「インパラの朝」と「食べる。」の間に出ていたものだがどうにもこれは頂けない。
オビに「ひとり永田町に飛び込み、国会議員18人と向き合った」とあるが、その意味
が不明。なにもそんなことしなくてもいいのに、なにを気迷っているのだろうか。そう
思うとオビの写真までが不美人にみえる。装丁も白紙ページがムダに多く水増し。
 「Beフラット」 著者 中村 安希  亜紀 書房 定価1500円+税
  ( 2011年5月24日 第1版第1刷発行 )