BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

301冊目

2014年07月29日 | 古本
 部屋壁の真ん中に融雪排水パイプが通っていて、その煙突状の幅に添っての細長い本棚だ。
そこしか空きが無かったというシーナタワーの事情。
 そしてきっと301冊目(?)がすぐ買ってあるのです。単行から改題しての文庫化で、
重複の恐れはあるがまあシーナさんは特別だからいいのだ。
 「いっぽん海 まっぷたつ」 著者 椎名 誠  角川文庫 定価600円+税
  ( 平成26年2月25日 初版発行 )

 久し振りの出久根さん、未読があれば躊躇しない。そうとう前の出版を見つけ読める喜び。
俗事だってこんなに快濶に書けるひとはそういない。
 「朝茶と一冊」 著者 出久根 達郎  文春文庫 定価590円+税
  ( 2000年7月10日 第1刷 )

シーナタワー

2014年07月27日 | その他
 近所に住む仕事仲間が本を抱えてやってきた。数えると新刊で買ったという文庫が99冊
あった。すべてシーナさんであった。ならばと思い立ち、幅30cm全10段の本棚をつく
った。そこにアタシが持っていた文庫や単行を収めた。
 名づけてシーナタワー。別にあるシーナコーナーの本棚と併せて、重複はあるもののこれ
でゆうに多分300冊超えになった。ふむー。

覚えてる

2014年07月23日 | 古本
 恐らく高野さんもデビュー当時の「ワセダ三畳青春期」と「アジア新聞屋台村」「異国ト
ーキョ漂流記」あたりが爆笑的に面白い。特に「ワセダー」は「第1回酒飲み書店員大賞」
を受賞しているし。体力、腕力で書いたエンタメノンフが新鮮だったが、最近の辺境探検物
はもう手の内が見えてしまう。紛争国への道行きも、メディアの公式な伝え方とは違うところ
もあって、それはそれで面白いのだが。
 「世にも奇妙なマラソン大会」 著者 高野 秀行  集英社文庫 定価520円+税
  ( 2014年4月25日 第1刷 )

 昔読んだかも知れない名作の内容など、ほぼ忘れている。ましてそれがラストにどう書か
れていたかなんて、とても覚えちゃいない。
 映画ならそれはむしろラストシーンの方を強く記憶していることが多いが、さすがに斎藤
美奈子さんは目の付け所が違って、小説のラストを面白く分析してくれた。とてもありがた
い文芸評論家なのだ。
 「名作うしろ読み」 著者 斎藤 美奈子  中論公論新社 定価1500円+税
  ( 2013年 1月25日 初版発行 )

洞察の陰影

2014年07月18日 | 古本
  「夕張」風間 健介写真集

 いつものグラビアアイドル写真集棚のすぐ横にあった。時々こういう写真集がでるのだか
らあなどれないし嬉しい。それにしても扉に「教職員研究図書」という蔵書印が押してあっ
た。いかなる事情でどこから流れたのかは知らないが、これもアタシに対する教育的配慮と
思ってありがたく安く買わせていただいた。きっと多くの人の手に触れられたのか、タバコ
臭いのも、カバーの痛み具合も人気を感じる。だが読書カードが書かれ、投函されることは
なかったようだ。
 写真の世界には、こういう作品を黙々と撮り続ける人が普通にいる。写真の持つ力と、
人の奥深い洞察が、陰影も強く印画紙にのこっている。
 「夕張」風間健介写真集  著者 風間 健介  寿郎社 定価4800+税
  ( 2005年8月25日 初版第1刷発行 )

井戸を掘った人

2014年07月15日 | 新 刊
 以前関わった特番が2005年の夏だったことが分った。遠い昔のことに思えるが、僅か
9年前のことだったのだ。その頃はまだフィィルドを重いカメラを持って走り廻れたのだ。
仕事で撮るオレの画は高校生に勝てないと思いながら。
 その時、優勝校(金のモモンガ牌)は旭川工業高で、優秀校(青のモモンガ牌)は大阪
市立工芸高だった。その工芸高で出場したメンバー女子は大学を経て、今や東川町の学芸員
となり大会をサポートしている。素晴らしいことだし奇遇な必然だ。優勝した旭川の主将女
子はいまどんな道を歩いているのだろうか。
 現町長による巻頭言に「写真甲子園」は当時札幌に拠点を持ち活動していた写真家〔勇崎
哲史〕氏の提案だったことが書かれている。井戸を掘った人を忘れていないことが嬉しい。
 「写真甲子園 20年の軌跡」 監修 立木 義浩 写真甲子園実行委員会編
  ( 北海道新聞社 定価2800円+税 2014年3月31日 第1刷発行 )

駄行と蛇行

2014年07月10日 | 古本
 コードネーム・ツル(大倉乾吾)とカメ(不肖・宮嶋茂樹)との取材撮影後自慢ホラ話し
対談。ほぼ同経歴のふたりが狙う作戦は、表紙のように一目でそれと分かる扮装ではない。
状況に応じてサラリーマンや工事人夫など、いかようにも自在に変装する。そのしょうもな
い駄行する〝暴く〟二人の手柄ばなし。まあ報道のフリーカメラマンも大変なのだ。
 「不肖・宮嶋&忍者・大倉 一撮入魂!」 著者 おふたりの対談  文藝春秋
  ( 定価1190円+税 2002年4月25日 第1刷 )

 古本屋さんに出るのを待ち続けた本。きっと誰もが同級生の女子の中にいて、当てはまる
であろう女の人生。20歳も年上の職人と東京へ駆け落ちする気持ちは、いまいちよく書か
れていないが、ありえないことでもない。そのありえるかもしれない高校図書部の、仲間だ
ったその後の生き方。短編連作で桜木さんはどんどん巧くなり、進化している。そしてタイ
トルの付け方もいいのだ。この際桜木さん、全部好きだー!!  くれぐれもトードさんの
ようにはならないで。
 「蛇行する月」 著者 桜木 紫乃  双葉社 定価1300円+税
  ( 2013年10月20日 第1刷発行 )

ミステリー

2014年07月07日 | 古本
 以前から探していた本、そしてこの本そのものがミステリーで面白い。
 あるお方のミステリーは散々だったが、見事その後は大活躍だ。
 「なぜ、北海道はミステリー作家の宝庫なのか?」 著者 鷲田 小彌太・井上 美香
  ( 亜璃西社 定価1600円+税 2009年7月27日 )

 これはミステリーでも何でもない、書いてあるそのままだ。しかしだ、いまどきアメリカ
国民で、あの事件がオズワルドの単独犯行だなどと信じている、オメデタイ国民はいるので
あろうか。民主主義と正義を標榜している国で大統領さえ暗殺し、冤罪をでっち上げ幕引き
を計る。本当にオトロシイ。2039年に真実が分かったとしても、誰にも利益がない。
 「大がかりな嘘」 著者 マーク・レーン 訳者 飯塚 忠雄 扶桑社 定価2300円
  ( 1992年5月25日 第1刷 )

ルピナスの花

2014年07月01日 | その他
 そこを通りかかったのは3月中旬、まだ雪に覆われた駅舎を一瞬にして通過した。その
一瞬を忘れがたく再訪してみると、そこは自然発生したルピナスの花がホームと駅舎周りに
群生していた。
 2001年6月30日で役目を終えた奥白滝駅は、自然だけが伸び伸びと育っていた。
出入口はベニヤ板で塞がれ、窓は元は白色だったと思われるカーテンに閉ざれ、人の足と
目を拒んでいるかのようだ。かっては旅館や鉄道官舎、個人商店が在ったというが、その
建物の痕跡のかけらも今はない。線路の向こう側は人が関わった歴史さえ想像つかない深い
森だ。

 してすぐ近くの〔道の駅しらたき〕はどうにも人寂しい。一応用意はしてあるももの夜中
にクマにドアをノックされかねないのだ。アタシは予定を変えて30K先にある同じ町の
道の駅〔まるせっぷ〕に河岸を変えた。この夜、なんとなく身体が痒い。悪い予感がした。
昼間、車の中でジーパンの上にもぞもぞしている〔ダニ〕を1匹見つけていたからだ。チリ
紙で取って指で強い圧力を加えてツブした。そーっと紙を開くと足をバタバタして生きてて
いる。カメのように甲羅が硬いらしい。こんどは両親指の爪を強く押し当てそのままガム
テープに包んだ。1匹いたのだからまだどこかに取付かれていても不思議はない。
 笛や鈴、爆竹とクマ撃退スプレーなどは用意いていたが、〔ダニ〕の事までは思い至ら
なかった。してその心配は家に戻り、痒い辺りを鏡に映して見るとやっぱりだった。右脇の
腋毛が疎になった辺り、幅4mm縦6mmくらいな楕円が赤くなっている。左手で触ると
やや盛り上がりを感じる。アタシは右手を首に回し、鏡を見ながら左手で爪をたて、剥ぎ取
った。目をこらすと足をもぞもぞさせ、生きているのだ。
 うむー、無事に戻ったのだから文句は言うまい。しかしアタシはワキが甘かったという
ほかはない。チャンチャン(笑)