BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

女優的女優

2018年01月26日 | 古本
女性誌ネタに対してこれはあまたある男性誌のウオッチング。とにかく男性・女性含めよくぞこんなに雑誌類が
あるもんだと感心する。政治・経済は勿論だが趣味に関してこれほどのジャンルがあるのだなや。しかも創刊、
廃刊が限りない。どんな雑誌も永遠はありえないようだ。タイトルだけではなんの雑誌か分からないものも多い。
アタシが一番ショックだったのは「噂の眞相」の黒字休刊だった。(事実上の廃刊になったがよもや復刊はない)
それ以来もう月に待ち望んで手にする雑誌は無くなった。「週刊金曜日」や「創」や「本の雑誌」も時に立ち読み
する程度になった。あの猥雑さの裏にある真実に迫る雑誌はもうこの世にはない。ほぼ創刊時から休刊までの
「ウワシン」は今アタシの博物館で休眠中だ。
以前なにかの偶然で斎藤 美奈子さんの写真をみたが、随分イメージが違った。著者の写真は早期に見ておくか、
途中ではい~やもう絶対に見るべきではないことを知る(笑)そういえば「群よう子」さんの顔はまだみていない。
 「男性誌探訪」 著者 斎藤 美奈子  朝日新聞社 定価1400円+税
  ( 2004年2月20日 第3刷発行 )※これは「AERA」に2000年から連載されていた。

女優 吉永 小百合さんだ。むかし村のスピーカーだけが付いた有線ラジオからながれた昭和30年代早々の
「赤胴鈴之助」に小学6年生で主役ではないが出ていたようだがその記憶はない。(むしろアタシは松島トモ子の
「ペスよ尾をふれ」を真剣に聴いていた)その後は浦山 桐郎監督の「キューポラのある街」、齋藤 武市監督の
「愛と死をみつめて」しか見ていない。もちろん吉永さんはその後は映画やTVであまたの活躍をしていて、いわ
ゆる大女優の道を進む。
そしてアタシは久し振りに行定 勲監督の「北の零年」と坂本 順治監督「北のカナリア」で吉永映画を期待して観た。
だが二つともアタシは全然評価が出来なかった。「北の零年」は明治初期の時代考証が受け入れられず吉永さんの衣装
も納得できない。監督は当時の時代考証を色々勉強したようだが、大きな建物にあんな木材を豊富に使う事は無か
ったし、明治の初期に吉永さんのブーツ靴が信じられない。(坂本 竜馬がブーツを履いたのは本当らしいが)
「北のカナリア」は脚本が納得できない。具体的にいうと夫役の柴田 恭平がいるのだが、島の巡査役 中村 トオル
と恋仲になる。ただその中村トオルには吉永さんが好きになるほどのなんの魅力も感じ無いのだ。それに悪いが中村
トオル氏は全く芝居が出来ない棒立ち役者だ。吉永さんが好意を持つ裏付けとなるシーンもほぼない。つまり説得力
のない話の展開なのだ。二作を通じて吉永さんは役柄を演じるとゆうよりは、女優 吉永 小百合的芝居の域を出ない。
ひたすら年の割には凄い若さをキープしていて、また努力をしていることが分かった。ただ途中に吉永さんにあった
沢山の映画を観ていないし、汚れ役をやった映画も観ていないのが残念。して大下 英治さんはひたすらいい人として
吉永さんを描いた。
 「映画女優 吉永小百合」 著者 大下 英治  朝日新聞出版 定価1700円+税
  ( 2015年12月30日 第1刷発行 )

過去への旅

2018年01月22日 | 古本
つい3日前に読んだはずなのに、何にも覚えていない。読んだと言うよりは文字をなぞっただけだ。
つまり全然面白くない、地名も川もイニシャルだ。実名にしたってなんの支障も無いだろうにもう
それだけでも読む気がしない。富良野塾2期生というからそれだけに期待していたが、多分もう読
まないだろう。それに帯がさもこれが芥川賞受賞と言わんばかりにデザインしている。アタシもよく
確認もしないで手を出しちまった。141ページで字の行間も広くて、つまり短い。それだけが救い
だった。2度と他の作品を読まないことで仇をとってやる。(笑)
 「緑のさる」 著者 山下 澄人  平凡社 定価1400円+税
  ( 2012年3月14日 第1刷発行 )

よく探すと小林さんの本はとんでもないジャンルの棚にひょっこりと在る。まあBOOK OFFの
棚は油断ができない。そこがこのBOOK OFF店の面白い所でもあるが。
すでにほぼ若くして夭折した作家の見たであろう東京の風景が撮られている。小林さんの写真は時間
をかけチャンスをうかがってなにげに瞬間を捉える。大勢かまたは数人のあるいはひとりの人が写り
こんでいる場合が多い。それも特に何かをしているというよりは、歩いているか、留まっている人だ。
さらに後ろ姿が多い。その凝視が面白いのだ。
中上 健次 宮沢 賢治 堀 辰雄 石川 啄木 梶井 基次郎 太宰 治 中原 中也 寺山 修司
<それはどこかへ向かう旅ではなく、過去に向かう旅だ。夭折した作家たちを僕は旅した。>そこに
かっての風景がそのままあるわけではない、が小林さんは鍵をこじ開ける様につながっている風景を
納めている。1999年に発刊されたその本を、アタシはいま小林さんの写真と言葉とによっても視
ている。
 「TOKYO Generation」 著者 小林 紀晴  河出書房新社 定価1800円+税
  ( 1999年 6月25日初版発行 )  

遥かな価値

2018年01月19日 | 古本
札幌市内の1960年代、最盛期には53件もの映画館が在った。それも今のシネコンのように固まっている
のではなく、適度な距離を取りながら共存した(勿論中心部にはある程度集中しただろうが)
丸井デパートの7階には「道新ニュース映画劇場」が在ったし、テレビ塔地下、札幌駅地下や琴似にも在った。
アタシは仕事の帰りに立ち寄るのは道新映劇が多かったが、まさにフラッと立ち寄るという感じで、題名で見る
わけではなかった。いつも座るなどは無理で途中でも入れたし、ある程度シーンが重なったところで帰った。
しかも入場料は50円で、ニュースと1本の映画を観れて満足だった。
アタシの18才までいた登別東町にも1件の劇場があり、名を月見館と皆は言ったらしい。なんしろ屋根の所々
に穴が空いており、月が見えたのさと言うのは土地のかなり年配者だ。(アタシが子供の頃登別に移動したころ
にはもう無かった)
とは言え、この北海道のあらゆる村々にも最盛期には相当数の映画館はあったらしい。それはことごとく消え、
いまはその面影さえめったになく新しいビルなどに代わっている。地方の国道などを走っていて稀にこれは元
映画館だろうかなどと見える建物をみると、切なく感傷的になるのはアタシだけではないだろう。
 「ほっかいどう映画館グラフィティー」 著者 和田 由美+北の映像ミュージアム  亜璃西社
  ( 画・浦田 久 定価1800円+税 2015年12月1日 第1刷発行 )

この本を先に読んでいたらアタシの短編ドキュメンタリーなど応募しなかっただろう。とにかくみんなレベルの
高いドキュメンタリー映画ばかりのようだ。なまじのことでは上映の栄誉を受ける事さえ無理だ。
1989年に始まったこの「山形国際ドキュメンタリー映画祭」その当初から通訳として関わった英語・日本語
の通訳者・山之内 悦子さんのまだ続けている回想録的本。昨年も受賞者のトークなどでアタシも見かけたのかも
知れない。隔年で開かれる映画祭の内実をつぶさに見て来た「際」を放射している人だ。
それにつけても、山形市はこの映画祭のために隔年で1億と5千万円の補助金を交互に出していることに驚く。
札幌市の8分の1の人口の街だ。決して財政が豊かでもないだろう町の覚悟がみえる。札幌市は「映画のまち」
を標榜しているハズなのに、この手の理解と価値を知らない。
 「あきらめない映画 山形国際ドキュメンタリー映画祭の日々」 著者 山之内 悦子  大月書店
  ( 定価2000円+税 2013年9月27日 第1刷発行 )

げに・・・

2018年01月12日 | 古本
以前ダチから借りて読んだ文庫本の改題前本だった。多分文庫その時のタイトルは「はた万次郎の青春絵日記」
だったか。いずれにしても一度読んでいた本。まだあの廃屋同然の家にテントを張って寝ているのだろうか。
北海道内でもとりわけ寒い地方で雪も深い。電話もFAXも無い生活だったから作品は何十キロも離れた郵便局
から送っていた。今でも下川とあの家に住み、電話も無い人生を送っているのだろうか。ただこの本は1995
年刊だからもう20年前だ。はたさんは基本的に〔マンガ家〕だ。
 「アブラコの朝」 著者 はた 万次郎  集英社 定価1400円
  ( 1995年7月29日 第2刷発行 )

シーナさん本はもはや二重買いでなくてもどこかで読んだことのある内容で、それにショックを受けることもな
い。買ったあとから、ひょっとするとこれだって登別の本棚にあるかも知れないと思う。まあいいのダシ。
 「すっぽんの首」 著者 椎名 誠  文藝春秋 定価1238円
  ( 2000年10月10日 第1刷 )

この本、ライターがメールでインタビューしてそれに佐藤さんが応えるという仕掛けだ。ただ前半〔伊藤 ことこ〕
さんが担当したが、すぐに〔東根 ユミ〕へ代わった。そんなのアリかよと思うが、しかしそれさえすべてのQ&A
を佐藤さんが書いているのかという疑いが晴れない。作家などはそんなこと平気でやれる人種だ。だって小説書き
なのだから(笑)途中編集部よりのお詫びが入っているが、どうもやらせ臭い。
奥付には「ロングインタビュー 小説のつくり方」を改題した文庫本とある。まあ紙の世界も節操がない。
 「書くインタビュー 1」 著者 佐藤正午 聞き手 伊藤 ことこ 東根 ユミ 小学館 定価540円+税
  ( 2015年 6月10日 初版第1刷発行 )

久し振りに〔小林 紀晴〕さんの本が出ていた。多少写真はあるが文章の方がほとんどだ。
小林さん1968年生まれだからもう今年で50才になる。今現在何を撮り何を書いているのかは、新刊を買わない
ので分からない。きっと変わらないスタイルで真面目なことばかり書いていることが想像できる。
奥付に写真家〔小林 キユウ〕氏は実兄と書いてあったがアタシは知らなかった。紀晴さんがそのように書いた文章
を読んだことが無い。
 「旅をすること」 著者 小林 紀晴  エレファントパブリッシング 定価1700円+税
  ( 2004年10月16日 初版第1刷発行 )

〔有〕さん本を途中で投げ出したことはない。でもこれはいくらなんでもサジを80ページでなげた。朝日新聞連載
だったようだが、想像するに多分そう話題にはならなかった気がする。なんしろマージャンゲームを文章化されても
やった事無い者にはよく分からん。帯に書いてあるようになんだかの「企み」があるにせよそんなに読者は最後まで
読むほど気が長くない。特にアタシは(笑)
 「ねたあとに」 著者 長嶋 有  朝日新聞出版 定価1700円+税
  ( 2009年2月28日 第1刷発行 )

昔の王妃の立場は危ういもんだったようだ。三行半(昔の西洋では在ったかどうかは知らんが)ひとつで、それも
些細なことで斬首か良くて幽閉など平気であったようだ。斬首も昔はマサカリ風で、失敗して3度も切りつけたりが
あったので、それで「ギロチン」が開発されたのだとか。すぐに気を失うのだから残酷ではないと考えられたようだ。
日本の死刑は念の為30分ほど吊るす様だ。して医師がその死を確認するそうだ。死因ははっきりしているのだから
形どうりの手順だ。この前読んだ三井 環さんの本に書いてあった。
とにかくあまたの悲しみの王妃の末路、げに恐ろしい。それを調べ書く中野 京子さん美人なのにげに恐ろしい(笑)
 「残酷な王と悲しみの王妃」 著者 中野 京子  集英社文庫 560円+税
  ( 2014年6月7日 第3刷 )





忖度大会

2018年01月05日 | その他
昨年の有馬記念はミエミエだった。キタサンを楽に先頭にたたせ、普通なら途中で仕掛けたり第4コーナーで何か
あるハズがだれもなにもしない。これは引退馬への無言の花向けと競馬社会全体の秩序維持の展開でしかなかった。
強い馬には違いはなかろうが、強いものにはまかれろということなんだろう。八百長レースには見えないよう、プロ
の騎手たちも心得たもんだ。こんなことなら馬単で10万ほど買っておけばいいものを、残念ながら馬券をもう何十
年も買ってない。資金も無いのだから負ける前の負け犬の遠吠えだ(笑)

池坊 保子チェンチェイが貴乃花を上司に対する礼節を欠いていると批判したが、白鵬の土俵態度の方がアタシはよっ
ぽど気になる。〔待った〕だったと負けてから自ら手を挙げ土俵下ですねた。それも随分長い時間だ。行司はなすす
べもなく棒立ち。白鵬を気にせずさっさと勝ち名のりあげ、懸賞を与えてしまえば、白鵬はバツ悪くすぐ引き下がった
のにね。行司も横綱に気を使ったのか。これも今後の行司人生の為のコトナカレか自己判断放棄だ。それと白鵬のダメ
押しや懸賞金を受け取る所作が気に食わない。彼に誰も何も言えないのは、相撲協会全体がモンゴルのお相撲さんに
忖度しているのか(笑)

日ハムがボールパーク構想とやらで、第二ドームを造ろうとその候補地をあげて競わせている。(手を挙げたのは自主的
にだろうが)これはいかにして自らの企業が利益を多くあげられるかという問題でしかない。真駒内のいまある自然を切
り崩して半年雪の下になるパークなどいらない。広い土地なら苫小牧東部には広大過ぎる雪の少ない地域の土地が余って
いるし、道東にいけばBPが何個も好きなだけつくれる土地がある。それがだめなら青森にだってちょっと危ない下北半
島の横、空き地がある。つまりはファンの為の球場などは詭弁なのだ。この際東京ドームに出戻りでも選手は喜ぶだろう。
それでもメディアは何かと球団や選手を無批判に持ち上げる。球団への忖度、ファンへのこれはダブル忖度だ(笑)
余談だが、もし北広島さんが候補地から外れたら気の毒すぎる。どれほ誘致プレゼンのために金や人員をつぎ込んだか、
キタヒロ市民はその気にさせた日ハムに怒っていい。