BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

醍 醐 味

2012年11月29日 | 古本
 上下二段、700ページ、厚さ43mm、重さ690グラム、定価2600円+税。
この本が何故上下巻に分けなかったのかという理由が、読みおえて解かった。つまり
前半と後半では読み手の興奮度が変わる。だから、たいてい上巻のみを先に買って読
んだという人が、この本に限り下巻もという人は半減しただろう。ゆえに一冊にまとめ、
一機に読ませる醍醐味においてこの本は価値を増大させたのだ。
 そしてこの著者増田 俊也氏をもつて、木村政彦という柔道家は見事に捉えられ復活
した。あのときの力道山に負けたという歴史の裏側の真実を、照射した。日本最強の
柔道家「木村政彦」にとって、破天荒な生活などは取るに足りないものだったのだ。

お知らせ

2012年11月28日 | その他
 昨日の吹雪でわが「実にならないサクランボの木の葉」がようやく地に落ちた。
実がならない分、葉の生命力は強く、まだ青々としていたのだし。うむ~、なにかを
示唆する(笑)。

 ここでお知らせです。3年前から取り組んでおりました「無人駅叙景」の見本盤が
ようやく完成いたしました。そこで『見本盤的!堂々の試写会』を12月1日(土)
18時から〔カフェ喜庵〕にて行います。(tel 011-663-3599)

 場所 西区発寒3条6丁目10-28 地下鉄「発寒南駅」そば (歩5分)
 ※もし場所が分らない方は090-8631-7050まで。お迎えに上がります。

 第1部 季節に辿る辺境・秘境駅物語「無人駅叙景」(72分)BL TV上映
 第2部 塚原 義弘 ギターライブ でお楽しみいただきます。

  皆さんにみていただけるとアタシは嬉しいです。是非いらして下さい。

小説的風味

2012年11月23日 | 古本
 意外に面白くなかったのが放課後だった。編集者が無理にテーマをつくり、作家さん
が〔まぁね〕と応える。違う意味で作家とはどうにでも喰いついて書くということか。
 「作家の放課後」 編者 「ヨムヨム」編集部  新潮文庫 定価520円+税
  ( 平成24年3月1日 発行 )

 まわれ映写機は、勝手知ったるお話しを少々アレンジして小説的風味。それでも多分
読んでなかったので買い読み。こうなったら手に入るかぎり読み続けるのです。
 「まわれ映写機」 著者 椎名 誠  幻冬舎文庫  定価571円+税
  ( 平成19年2月10日 初版発行 )

 カツヤさんの本は厚さ(303ページ)のワリには短時間で読めるのがエライ。
あのキャラクターに疲れを知らないようだ。
 「バカが国家をやっている」 著者 勝谷 誠彦  扶桑社 定価1400円+税
  ( 2008年11月20日 第2刷発行 )

読み待ち

2012年11月18日 | 古本
 狙っていた半額系で手に入れたが、実際冷静になってこの本を手にとると、その分量
にたじろぐ。上下二段組700ページ、重さは料理用はかりで690グラム。しかし
てこの本は、続けて2,3日読むことだけに集中できるタイミングを待つしかない。
 いささかシヨッキングなタイトルが功を奏したのか、2011年9月の刊行からほ
ぼ半年で15刷に増刷されている。もろもろの事象にメドがついて、ゆっくりできる
日からの読み待ちになる。読む前の本を俎上は初めて。読後にまた改めて。題名は長
いが、変な言い訳風的副題が無いのがいい。

 「木村政彦はなぜ力道山を殺さなかったのか」 著者 増田 俊也  新潮社
  ( 定価2600円+税 2012年1月20日 15刷 )

だいこん

2012年11月12日 | その他
 先日のことだ。片側2車線の道路〔手押し式信号機〕のあるところで走行車線信号
が赤になり、アタシが先頭で停まった。すると杖をつき腰を曲げた小さなおばあさん
が、反対車線の方から横断を始めた。腰は足元だけを見るほどに曲がり、歩幅はクツ
の半分を行ったり来たりする。それもゆっくりだから丁度車線のセンターラインで歩
行者用信号が点滅し始めた。おばあさんのスピードに変化はなく、心配になった。
 そしてついにおばあさんがアタシの目の前あたりで信号が変わった。まだ渡り切る
には1,5車線の距離が残っている。後ろには数台の後続車がいて、隣には空車のタ
クシーだ。
 誰かがもし警笛を鳴らしたら、アタシは車を降りてアメリカ映画的アクションで、
「ゥルセー!バカヤロー!!」と怒鳴るつもりだった。だが後続車もそのおばあさん
の様子は分っていたようで、誰も警笛を鳴らすことはなかった。タクシーならきっと
ワレ先にと車を発進するだろうと思ったが、それは危惧だった。タクシーは発進して
も無理ではなかったのに、おばあさんが完全に道路を渡り切ってから車をゆっくり発
進させた。メガネをかけた中年のドライバーが優しい人にみえた。その日のあと、
アタシの心持ちは悪くなかった。どうやらアタシのあたまが軒下の干した大根のよう
に萎びていたのだ(笑)。


インパラ2冊

2012年11月08日 | 古本
 違う店で2度みかけた。長いあいだ居座っていた。しかし古本屋さんにあるという
ことは、それだけ売れたということでアタシは嬉しい。
 その2店で2度みかけた記念に2冊目を買った。この本いつか誰かにプレゼントす
るのもいい。「インパラの朝」、潔い短いタイトルがいい。
 一カ所に執着しない旅の仕方がいい。一カ所に留まらない旅の仕方がいい。そこと
利害関係を持たないのがいい。表紙カバー裏に印刷された文章が、これがまた潔よい
のだ。 以下引用。

<私は四五リットルのバックパックの底に980円のシュラフを詰めた。三日分の着
替えと洗面用具、パブロンとバファリンと正露丸を入れた。それからタンポンとチョ
コラBB。口紅とアイシャドウと交通安全のお守りを用意した。パソコンとマイクと
ビデオカメラを買い揃え、小型のリックに詰め込んだ。果物ナイフや針金と一緒に、
ミッキーマウスのプリントがついた覆面も忍ばせた。そして、ジムで鍛えた両腕に四
本の予防注射を打ち、体重を三キロ増やして日本を離れた。>

 ここだけ読んでも実に圧倒的に面白いのです。1979年京都生まれ、中村 安希。
 「インパラの朝」 著者 中村 安希  集英社 定価1500円+税
  ( 2009年11月18日 第1刷発行 )※副題に小さく〔ユーラシア・
                  アフリカ大陸 684日〕と付いているが。

イナバさん

2012年11月02日 | 古本
 新刊書店に行くと読みたいノンフィクションが続々と刊行されているが、余程のこ
とがないかぎりその場で買うことはしない。ひたすら少なくとも半額系になるのを待
つのだ。そんな待ち望んでいた本の一冊、それがこの「恥さらし」だ。
 当時大きくメディアでとり上げられて話題になった。その辺りの告白懺悔本だが、
それなりに勇気ある内容。ただまだ全てを曝したことにはなってないだろう。まあ
その非が稲葉さんではなく道警にあるのは勿論だ。
 しかししかしだ、げに恐ろしきは巨大組織権力のその保身と不作為だ。その彼らに
不可能はない。やらせ、でっち挙げ、改ざん、隠蔽、冤罪、なんでもアリで、懲りな
い面々とは塀の中の人だけではないのだ。
 できたら稲葉さん、続編でも面白く書いて下さい。

 「恥さらし 北海道警悪徳刑事の告白」 著者 稲葉 圭昭  講談社
  ( 定価1700円+税  2011年10月6日 第1刷発行 )