BIN山本の『映画にも程がある』

好きな古本との出会いと別れのエピソード、映画やテレビ、社会一般への痛烈なかくかくしかじか・・・

我的家在山的那一邊

2021年09月29日 | 古本
中国語の分かる人は読めるだろうが、アタシも読めないし発音もできない。ただ意味は多分「私の家は山の向こう」だ。
有田芳生さんが書いた歌手テレサ・テンが亡くなって10年後に書いたノンフィクション。
有田さんはテレサに信頼され、かなりの歌の世界や私生活に食い込んでいた。多分これ以上の本は出ないだろう。
テレサは1953年1月31日に生まれ、42歳と2ヶ月ほどの1995年5月8日に生涯を終えた。
彼女が歌った大半のヒット曲は聴いて知っている。ただそんなにファンという訳ではないが、何故亡くなったのかには
関心があった。天安門事件では深く心を痛めていたようだ。そして事件後アメリカやフランスに行った運動を先導して
いた人たちへも批判は忘れなかった。世界中から集まったカンパ資金、中国共産党は何十年もかかって権力闘争で消耗
したが、先導者は数ヶ月で腐敗したと。
それにしてもアタシに分からんことが有る。顔が好みだからと言って14歳年下のフランス人・ステファンという男を
恋人にした。彼は撮影か何かで付いて来たただのアシスタントだった。ただのアシスタントでもそれはいい。しかし
ただのヒモ的ぐうたらだった。テレサを本当に愛し、守ったとは言い難い。それが悔しい、

むかし、ススキノに在ったディスコに「テレサ・ガリレオ」という名の店が有って、そこのCMを撮影した。テレサ・テン
とはなんの関係もない話だが(笑)
 「私の家は山の向こう」 著者 有田 芳生  文春文庫 定価533円+税
  ( 2007年3月10日 第1刷 )

無 冠

2021年09月22日 | 古本
人の親は99パーセント以上が無冠だ。平凡であり凡庸だ。それがいつしか阿久悠さんはそんな父親のノンフィクション、
いや父の小説を書いた。作詞家として有名になった自分が身内の事をテレビに出したり語る事は「恥ずかしいことだ」と
冒頭にはあったが。(アタシはその見識をタレントなどにも言いたいが、父母のお涙物はみんな好きらしい)
まあそれはともかくいいことにしょう。より興味を持ったのは、この小説が編集者によって最終章を書き直すように云われ
(ただ編集者は改稿を求めたのであり、それが最終章とは書いてないが)
たことで、阿久さんはお蔵入りを決めた。それが死後の後片付けにより発見され、出版されたことだ。つまり編集者はどこが
いけないと感じたのか、そこがアタシは知りたい。確かに外国に旅行中にマネージャーから思わぬ父の死を知らされ、戸惑った。
そして出来るだけ派手に大きな葬儀をと伝えた。参列者が列をなし、有名人からや大手の芸能に係わるプロダクションやTV 局
からの花輪が境内にとどまらず、道路に長くはみ出した、などとは父ではなく自分への自慢に過ぎない。編集者はその辺をたし
なめたものに、という事だったとアタシは思うのだがどうだろう、聞いてみたいものだ。
 「無冠の父」 著者 阿久 悠  岩波書店 定価1800円+税
  ( 2011年10月13日 第1刷発行 )

圧力隔壁という隠蔽

2021年09月16日 | 新 刊
ついに青山透子さんはここまで断言した。日航123便の墜落原因は圧力隔壁などではないと。いままで出版した
「日航123便墜落 疑惑の始まりー天空の星たちへ」や「日航123便 墜落の新事実ー目撃証言から深層に迫る」
などはどちらかというと目撃や傍証証言だったが、それでさえも十分だったか今回は決定打だ。
垂直尾翼のほぼ真ん中に、突然「異常外力着力点」に、つまり爆薬の積んでいない模擬ミサイルが命中したのだ。
どうして521人もの人間の命が奪われた事件が、こうも隠蔽されその線に沿った事故調査委員会の結果しか明かされ
て来ないのかは、それは明らかな事件であり当時の首相〔中曽根康弘〕の自己保身である。
青山さんは堪能な英語力を駆使、アメリカに保存され公開された外交文章などを当時のロン・ヤスの公文書の中から
何気ない文章の中に、はっきりとこれは「事件」だとみちびいた。
圧力隔壁の破壊などは明らかに科学的矛盾にみちた結論であり、だれも寄せ付けなかった事故現場で我先にとその証拠を
到着した自衛隊は寸断し隠した。その作業時間を確保するための墜落地点のメディアへのウソ情報であり、いち早く現場
を特定した地元の消防団や関係者を立ち入り禁止としたのである。
現場での模擬ミサイル弾の塗料などを火炎放射器で焼き、人間にもその証拠が付いていた人は黒焦げになるまで焼き尽くした。
ヘリの燃料もジェット機の燃料も、灯油に多少燃焼効率の良くなるものを混ぜたものを燃料としている。生の草や木や人間は
あそこまでは燃えないのは明らか。かくして現場は目を覆う悲惨な墜落現場となった。そしてその隠蔽作業に当たった人達は
平然と朝に無言で下山したのである。
不肖・宮嶋茂樹、この時何処にいた?
垂直尾翼の壊れて落ちた相模湾の水深は200メートル以内。いまの技術でのサルベージはワケも無い。決定的な証拠が
残っているであろう〔ブツ〕を、政府はもう済んだことにして探し引き上げようともしない。
まるで「桜を見る会」でありモリカケと同じ構図。いま衆議院選挙が近くにある。それでも日本の後進国愚民は自民党に
投票して、安穏とした自分の生活を守ろうとする。
 「日航123便墜落 圧力隔壁説をくつがえす」 著者 青山 透子 河出書房新社 定価1650円+税
  ( 20207月30日 初版発行 )

戦場からの狭間

2021年09月13日 | 古本
「岡村明彦」名前だけは知っていたが、後半生はホスピス運動にのめり込んだようだ。してこの作者もまた同じようなのめり込みようだ。
岡村さん同様に過ごして活動した足跡をだどる。作者もまた求道者のように辿り着くす。どちらかというとべトナムの戦争写真よりは、
その後の方が多いような気がする。実はほぼ半分なのだが文体的に重いせいか、後半が長く感じる。文体もくどい。
ホスピスと言っても多様で深刻な精神世界が多い。その辺にうといアタシはなんだか飽きて、早読みしてしまった。
著者の松澤さんさんはこれが出版された1995年当時は病院に看護師として勤務とある。出版から25年、いまも岡村さんと仕事の狭間、
日々どうしていらっしゃるのだろう。
 「報道写真家 岡村昭彦」 著者 松澤 和正  NOVA出版 定価2600円
  ( 1995年5月31日 第1刷発行 )