ヴィクトール・フランクルの「夜と霧」が有名だが、このベンジャミン・ジェイコブスの「アウシュビッツの歯科医」もなかなかのものだ。
ヴィクトールは心理学者だったがベンジャミンは歯科医だった。が歯科医と言っても歯学部の大学の1年生だった。多少の小さなケースに
入る歯科治療道具を持っていたにすぎないが、もちろん実習などの教育は受けていた。ナチスにつかまった際に母親がその小さなケースを
持って行けと強制した。そしてその小さなケースに入った治療道具が彼の命を救った。つまり収容所のアウシュビッツでは歯科医として、
ナチスの連中にも重宝された。のちに一緒に収容されていた父や兄にも多少の恩恵はうけたが、基本的な待遇は凄惨を極める。集められて
いた部屋から死人の金歯などを抜いて集めさせられた。それを加工し治療に使わされた。その場面がもし映画だったらみんな目を背けるだろう。
だがこれは映画化は無理だろう。骨と皮だけになった収容者の大勢をどうするのか。ニュース歴史映画などでその様子は見ているのだ。
ところでだ、この北海道でもこれに似た場面は枚挙にいとまがない。囚人などでの道路や開墾の強制労働、朝鮮人や中国人をタコ部屋に
押し込め、栄養とも言えない食べ物で炭鉱などに長い時間を働かせた。人種差別や優性思想はつい先年、戦後まで続いていたのはドイツ、
ヨーロッパ、この日本も同じと言える。今だって世界のあっちこっちにある。アタシらは見て見ないふりは出来んのだ。
「アウシュビッツの歯科医」 著者 ベンジャミン・ジェイコブス 紀伊国屋書店 定価1900円+税
監訳者 上田 祥士 訳者 向井 和美( 2018年12月19日 第6刷発行 )
ヴィクトールは心理学者だったがベンジャミンは歯科医だった。が歯科医と言っても歯学部の大学の1年生だった。多少の小さなケースに
入る歯科治療道具を持っていたにすぎないが、もちろん実習などの教育は受けていた。ナチスにつかまった際に母親がその小さなケースを
持って行けと強制した。そしてその小さなケースに入った治療道具が彼の命を救った。つまり収容所のアウシュビッツでは歯科医として、
ナチスの連中にも重宝された。のちに一緒に収容されていた父や兄にも多少の恩恵はうけたが、基本的な待遇は凄惨を極める。集められて
いた部屋から死人の金歯などを抜いて集めさせられた。それを加工し治療に使わされた。その場面がもし映画だったらみんな目を背けるだろう。
だがこれは映画化は無理だろう。骨と皮だけになった収容者の大勢をどうするのか。ニュース歴史映画などでその様子は見ているのだ。
ところでだ、この北海道でもこれに似た場面は枚挙にいとまがない。囚人などでの道路や開墾の強制労働、朝鮮人や中国人をタコ部屋に
押し込め、栄養とも言えない食べ物で炭鉱などに長い時間を働かせた。人種差別や優性思想はつい先年、戦後まで続いていたのはドイツ、
ヨーロッパ、この日本も同じと言える。今だって世界のあっちこっちにある。アタシらは見て見ないふりは出来んのだ。
「アウシュビッツの歯科医」 著者 ベンジャミン・ジェイコブス 紀伊国屋書店 定価1900円+税
監訳者 上田 祥士 訳者 向井 和美( 2018年12月19日 第6刷発行 )